産経症・血盟団事件再び? | 誰かの妄想

産経症・血盟団事件再び?

ま、血盟団事件については、各自調べてください(不親切。いや、でも有名なのでネットですぐ検索できますんで)。


「▼今のところ事件に政治、思想的背景はなく、厳密な意味ではテロとはいえない。一部のメディアはことさら、反核や平和といった言葉とからめて論じたがるが、かえって事件の本質から目をそらすことになる。」(産経抄2007/4/20)


いやー、別に何の根拠もないんですが、産経にそう言われると逆に疑わしくなるので・・・。


って、調べてみたら、城尾容疑者の30年来の知り合いとか言う松尾千秋弁護士はこんなこと書いてるし・・・。

「8・15に考える憲法」「9条改正で米依存脱却を」

「基本的には、日本の歴史、文化、伝統を踏まえた独自の憲法を日本国民の手で作るべき―というのが持論だが、当面の話として、少なくとも九条は改正すべき。」
「平和憲法というだれも反対できないごまかしの言葉によって、現実が無視されている。その最たる部分が九条の戦争放棄、戦力不保持だ。」


肩書きも日本会議長崎副会長だそうで。


調べて2秒で「反核や平和といった言葉と」からめたくなってしまった・・・。

ていうか、もろ怪しいじゃねーか!


他にも
http://www.sukuukai.jp/report/03092801.html

救う会全国協議会幹事会
会長    佐藤勝巳
常任副会長 西岡 力
副会長   島田洋一、黒坂 真
事務局長  平田隆太郎
事務局次長 福井義高

幹事
(中略)
長崎準・松尾 千秋
(後略)

とか


http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007041800408 )では
「 弁護士は「個性が強く、主義主張を曲げない人」と同容疑者を評した上で、事件の背景について、「市職員に受け入れられず、トップの市長をという発想だったのでは」と語った。」

http://www.janjan.jp/election/0704/0704183967/1.php )では
「城尾容疑者の弁護を務めたことのある松尾千秋弁護士は、18日朝の「テレビ朝日・スーパーモーニング」で「市に不満は持っていることは聞いていたが、過去のことにこだわらないようにと諭していた。思想的な背景は全くないと思う」などと話した。 」

とか。


こんなこと言ってるけど、本当に思想的背景がないのかな?


・故伊藤一長市長の活動


2002年8月に臨界前核実験を行ったアメリカに対し抗議文を出してますね。
http://www.nucfreejapan.com/kaku_1_12.htm

経歴を見ると、必ずしも反戦・非核に積極的とは言えないです。

「長崎新聞 非核の時代へ =伊藤市政の軌跡=」
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/01.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/02.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/03.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/04.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/05.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/06.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2004/kikaku/kikaku5/07.html

まあ、1995年の市長選挙は自民党推薦だったようですから(今回どうだったかは知りません)、反戦に積極的なわけはないですね。なので産経も、こう書いてます。
「▼伊藤市長が核廃絶運動に熱心に取り組み、米国の核政策に批判的だったのは事実だ。昨年7月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのを受けて、翌月の原爆忌で読み上げた平和宣言には、その脅威にも警告を発している。北朝鮮への言及がまったくない広島の平和宣言の“偏り”とは対照的だった。」

それでも、伊藤市長の非核の運動実績そのものは(不完全にしても)評価できると思います。
伊藤市長個人の思いというより、長崎市民自体が自民寄りの市長ですら動かしたといえるかも知れません。
評価すべきは、長崎市民の政治意識の高さなのかも知れません。

ともあれ、伊藤市長本人の思いはどうあれ、活動としては非核活動を行ってきたわけですね。


その一方で、松尾弁護士。
「私は自力の武装によって、米軍に日本からお引き取り願いたい―と考える。」
(「9条改正で米依存脱却を」より)
さすがに核保有を明言はしてないけど、アメリカに依存しない自力武装って、ほぼ核保有を示唆してるでしょ。


実際、日本会議地方議員連盟のブログの2007/2/14の記事「6ヶ国合意のねらいは何か-軍事的な抑止力を持つことなくして拉致の進展は望めない」 には、
核武装の前段階として、相手国を攻撃できる誘導ミサイルを早急に配備すべきであり、これならば、同盟国アメリカも賛同してくれるはずです。」とあります(他は周辺国が日本の核武装を阻止しようとしている、などとあって、日本がどうするべき、という言い回しは避けてますが、ここは筆が滑ったのかもしれません)。
言うまでもなく「核武装の前段階として~すべき」とあるので、日本会議の最終目標は、日本の核武装とわかります。


非核を訴える伊藤市長と核武装を主張する日本会議。自民つながりがあるとしても、公的には対立しているように見えますわな。

見方によっては、城尾容疑者は鉄砲玉だったのか、とも取れます。


ところで、個人的感覚にすぎませんが、松尾弁護士のテレビへの露出も不自然な気がします。

松尾弁護士が反憲法9条で、日本の核武装を主張する日本会議のメンバーであることは、知ってる人は知ってます(こんな簡単にわかるくらいだし)。

それを知ってる人から見れば、事実はどうあれ、次期長崎市長が取り組むべき非核運動に対する強力な圧力になるでしょう。城尾容疑者の個人的恨みで事件が片付けられれば、なおさらです(主観的には黒幕は逮捕されないことになりますから)。言うまでもなくメディアやネットの情報しかない状況なので、事実はどうかわかりません。本当に城尾容疑者の個人的恨みかもしれません。


ただし、

・松尾弁護士が反憲法9条で、日本の核武装を主張する日本会議のメンバーであること
・松尾弁護士の知り合いの城尾容疑者が伊藤市長暗殺を実行したこと
・伊藤市長が非核運動をしていたこと

これらはメディアやネットでも確認できる事実です。この事実をつなぐ裏があるかどうかはわかりません。

重要なのは、これらが全く関係ない独立の事象であったとしても、今後の非核運動に対する圧力になってしまう、という点です。

松尾弁護士のメディア露出の多さは、その圧力を高める効果をもつでしょう。


今後、日本が60年前と同じ馬鹿げた戦争をしてボロ負けすれば、真相が明らかになるかも知れませんね・・・。




【産経抄】
 土佐高知を飛び出し、日本全国に足跡を残した幕末の志士、坂本竜馬は、日本初の「会社」を設立するなど長崎との縁も深い。大株主となった薩摩藩の船で意気揚々と長崎に乗り込んだ竜馬に、司馬遼太郎はこんなセリフを言わせている。「長崎は、わしの希望じゃ」。

 ▼竜馬ファンで、高校時代から市長を志していたという伊藤一長市長(61)射殺事件の輪郭が少しずつはっきりしてきた。暴力団幹部の城尾哲弥容疑者(59)は、車をめぐるトラブルで長崎市に金銭を要求し、それが拒絶されたことを恨んだのが動機のひとつのようだ。

 ▼平成8年、産廃処理場の建設をめぐって岐阜県御嵩町の町長が自宅で襲われ、13年には栃木県鹿沼市環境対策部の職員が拉致殺害される事件があった。行政機関に不当な利益を要求し、かなえられなければ暴力に訴える。「行政対象暴力」という名の膿(うみ)がたまりにたまり、長崎において最悪な形で噴き出した観がある。

 ▼今のところ事件に政治、思想的背景はなく、厳密な意味ではテロとはいえない。一部のメディアはことさら、反核や平和といった言葉とからめて論じたがるが、かえって事件の本質から目をそらすことになる。

 ▼伊藤市長が核廃絶運動に熱心に取り組み、米国の核政策に批判的だったのは事実だ。昨年7月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのを受けて、翌月の原爆忌で読み上げた平和宣言には、その脅威にも警告を発している。北朝鮮への言及がまったくない広島の平和宣言の“偏り”とは対照的だった。

 ▼『竜馬がゆく』に描かれた竜馬は、破天荒にみえて、実は冷静に現実を見つめている。そのバランス感覚を受け継ぎ、政治家として活躍がますます期待できただけに、余計にくやしい。

(2007/04/20 05:00)