夏の終わり頃。
疎遠になっていた友人の1人から、結婚の知らせが入った。
その頃の私は「恋愛」も「結婚」も、もうしない。
どっちもこりごりだと、真剣に思っていた。
けれど、友人からの「結婚報告」の連絡は、他人事ながらとても嬉しかったし、暖かな気持ちになれた。
27歳。
人生をやり直すには、十分な歳。けれど、この頃の私は「恋愛」に対しても「結婚」にたいしても、希望を見出せずにいた。
恋愛をして、誰かを好きになって、好きになったらすきになった分だけ傷つくのはもうイヤだったし、結婚して夫婦になっても心から寄り添える相手でなければうまくいかないことも短い結婚生活の間に学んだ。
「どうして離婚したの?」と、聞かれることは別にイヤではない。
私自身、バツイチであることを恥ずかしいとは思っていないし(親には申し訳ないと思うが)、それも自分の人生の一部だと変に割り切れているから、適当にかわす自信はある。
ただ、もしもこの先に「誰か」と付き合って「結婚したい」と思ったときに、その相手を含めた家族の方には「申し訳ない」と思いはするのだろうが・・・。
1ルームのアパートの郵便受けに、シンプルだけれど品の良い招待状が届いたのは、結婚の知らせが入ってすぐのこと。
この結婚式には、関西在住の友人・すぐりさんも招待されていると聞いて、すぐに連絡を取った。
受話器越しに響く、すぐりさんの声は明るく屈託がない。
彼女は「どうして離婚したのか」その理由をよく知る友人の1人でもあるからか「当日は大丈夫?」と、しきりに私の様子を心配していたように記憶している。
この頃、自分では意識していなかったのだけれど、傍目から見た私の精神状態は決して良くはなかったらしい。
ともあれ「友人の結婚式」は、オンナからしてみればちょっとしたイベントでもある。
当日は何を着ていくか、メイクはどうするか等の話でひとしきり盛り上がったあと、すぐりさんからこの結婚式が「ホームパーティー形式」であることを聞く。
もともと、料理好きの私の役割分担は料理係。その他にも食料調達、メイク道具を揃えるなどなどの仕事を貰えて、テンションも上がる。
それから数日後。
結婚式の場所提供者の奥様と、すぐりさん、私の3人で打ち合わせをするのだけれども・・・。
その時に「彼氏いないなら、誰かいいの紹介するよ~」そんな言葉から、私とヒロくんは出会うことになる。
けれどその時は「恋愛はいい」なんて真剣に思っていただけに、まともには取り合わなかったのだけれど。
続く
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