こんにちわ。
開設してから、もう3週間程も経過してしまいました。
週に1度くらいは更新して行くつもりだったんですが、思ったより難しいです。
気を取り直して、早速、第一弾の記事を更新してみようと思います。
初めての記事ですし、新年という事で、総括的な物を考えてみました。
題して
「日本語ラップの未来を占う」
です!
まずは便宜的に時代を区分してみたいと思います。
80年代~90年代初頭と言えば、俗に言う所の「日本語ラップ」という形にはまだ収まってなかったと思うんです。
むしろ、新しいエキセントリックなものに対して敏感にアンテナを張っていた、サブカルチャー好きや、ニューウェーブ系のクリエイターがラップを取り入れ始めたと言っても過言では無いと思うのです。
つまり、ロックや文学の延長としてヒップホップが取り入れられ始めた時期だと思うのです。
スチャダラパーなどはもうヒップホップを始めてはいたと思いますが、ここは便宜上
「日本語ラップ以前」時代
と、名づけてみようと思います。
そして、90年代中盤~00年代初頭。
ここは一番ヒップホップが盛り上がっていた時代だろうと思います。
まさに、ヒップホップ、日本語ラップに呪われてしまうヘッズ達が急増したのでしょう。
今のラップ・レジェンド達がこぞってゲームにエントリーしたのもこの時代だと思われます。
沢山の副産物を生み出しながら、子孫を残しながら、
怒涛のグルーヴでグルーヴしていたであろう時代。
ここを
「さんぴん・証言」時代
と呼んで良いでしょう。結局分かりやすいタイトル引用スタイルになってしまいましたが。
そして、「さんぴん・証言」時代のコンプレックスを抱えながら突入する、00年代中期~後期。
約10年前の「さんぴん・証言」が余りにも大きな存在だったために、
超えなくてはいけないという焦燥感だったり、受け継がなくてはいけないと言う義務感。
そういう、必ずしもシーンに対して良いとは言えない影響があったように思えます。
当時の中堅、今で言うベテランはフレッシュなアルバムを作ると言うよりも、今までのスタイルの軸をいかにブラさないかを重視しているように感じませんか?
それが、「さんぴん・証言」時代のコンプレックスの名残だと思うんです。
そして、そうしている間にも、どんどん進化していくUSのヒップホップとのギャップが広がったのも、この時期の特徴だと思うんです。
つまり、日本のメインストリームのMC達が「ハーコーじゃなきゃ駄目」だとか時代遅れの事を続けるあまり、メインストリームがメインストリームの機能を失い始めるのです。
そして、時代の感性にフィットする、次世代のMC達が台頭してくるのです。
今までは、さんぴんや証言とは切っても切れない関係だったシーンの中心に、にわかに世代交代がおき始めるのです。
「キング」だったMC達が一挙に「レジェンド」化されていったわけです。
言うならば、
「政権交代」時代
でしょうか。
政権交代も起こり、一気に多様化が進み、アーティストもイベントも最盛期より遥かに多いであろう、
10年代に突入したのが、つい去年の話。
さて、ここからが本題です!
この先、シーンはどうなっていくのか。そして、ここ5~6年くらいのタームは何時代になるのか。
それらを占っていこうと思います。
まず、ここ最近の風潮として、特段強烈なのが、
例の旬なフロウ
でしょう。
元来のオーソドックスなラップスタンスはどんどん少なくなり、
若手と言えば殆どがヴァイリンガル系のラップをする。
今のところこの、
リンガル系ラッパーの大量発生
というのがトピックであると思うんです。
前向きに捉えるならば、
全体的なラップスキルの向上だとも言えます。
それを踏まえた上で、この先の何年かの時代をこう名づけたいと思います。
「スキル先行」時代
と。
言い換えるならば、スキルとオリジナリティが混同される時代の幕開けだと思うんです。
リンガル系のフロウをするMCが個性的では必ずしも無いはずなのに、
あたかもオリジナリティがあるMCかの様な評判を獲得していく現象が起きるでしょう。
具体的には、カニエ・ウエストや、ドレイクに良く似ている事が=個性的だ。
という事に。
このタームの中で、圧倒的にラップが上手いリンガル系のMCが一世風靡する時代が来るでしょう。
そして、スキルフル=リンガル系。
という大きな流れが来ると思われます。
リンガル系かどうかで、ラップの上手い下手を区分してしまうリスナーが増えてくるでしょう。
それは、リンガル系じゃないと下手だと思われてしまう時代と言ってもいいでしょう。
もう、その時代は始まってはいるので、あまり予見としては美しくないですが。
リンガル系のフロウのMCはラップが上手いのは確かですが、
リンガル系である事が、上手いことの条件では無いですよね。
この流れの中に、リンガル系では無く、ラップも上手くない、
しかし、個性的で面白いMCというのが埋没してしまうと思うのです。
例えばユーザロックやECDのような、決してラップは上手くないけれど、面白い作品を作ることが出来るラッパー。
そういう本来、本当に個性的だったMC達が極端に減少して行くように思われます。
ラップのスキルが高まって来たことは素晴らしい事なのですが、
その弊害が、大きくシーンの発展の足を引っ張る時代が到来するでしょう。
もちろん、その大きな流れの中でカウンター的に出てくる今っぽくない若手も居るでしょう。
しかし、この大きな流れはしばらく続くと思うのです。
この「スキル先行」時代を冬と思うか春と思うか、
それはアナタ次第です。
もし、仮に、
「聴感上、外国っぽい」と言うだけで、ものの価値が上がるようなことになれば、
本来のウィットに富んでいる日本語ラップの美しさは失われていってしまう。
そして、それが日本語ラップヘッズの必ずしも望む姿では無いと僕は考えるのです。
ワタナベ・コウスケ