~第十九章 hug⑮~



あれからジェルミは
私に少しレッスンをつけてくれたけど
案の定・・・・
お互いドキドキして
それどころじゃなくって
おさらい程度で終わってしまった


帰り道・・・・
想いが通じ合ってるのに
自分が言い出したから
まだ・・正式に彼女じゃない私
その微妙な距離を
ちょっと歯がゆく感じた


過去に付き合ったことだってある
だからこそ・・・
好きな人には触れたいし
触れてもらいたいんだけどなぁ・・・
キスとか・・・ハグとか
甘えてみたかったりもするんだけど・・
ぼーっと言葉も交わさず
彼の背中の体温を感じながら
着いた私のアパート


「はい、着いたよ~♪」

「わざわざありがとうね」

「いいんだ、俺がしたいだけだし」


彼は自分の意思を
押し付けることは決してしない
だからこそ
彼の一つ一つの仕草が可愛くって
とても愛おしかったりする
じゃぁね、って言っても
なかなか受け取らないヘルメット


「ジェルミ・・?」

「分かってる・・・ここは外だしさ
 ・・・うん、分かってるんだけど」

「ん?どした?」

「帰るの勿体無いなぁって・・・・
 また最後にぎゅってしたいけど
 ・・・・・・ぉ・・・我慢する!」


ニカって笑うジェルミ
あまりにも可愛いこというから
ちょっと噴出しちゃった


「ユリ~俺だけ!?」

「ううん、私もww」

「じゃぁ何で笑うんだよ~!!!」

「だって、可愛いからさwwあっ!」


急に腕を掴まれて
顔をキスする寸前まで近づけられる
・・・・ええええええ!?


「こんなギャップどう?」

「んもぉぉぉぉぉぉぉお!!」

「よし、頑張ってかえるね!!
 ユリ~あんにょ~ん♪」


投げキッスをちゅっちゅーーっと
たくさんくれたジェルミ
笑顔で手を振って別れた


ついこの前まで
胸が痛くて苦しかったのに
今では
愛を感じれることに
嬉しくて胸がきゅってなる
もっと近づきたくて
それで切なくて苦しい


でも・・・ユイ分かってくれるかな
いつ言えばいいんだろう
温かかった心は
ゆっくりと家に入るころには
冷え切ってしまった


***


「ユリ~昨日はごめんねぇ~」

「あ・・ユイ」

「先生に告白したんだ~♪
 我ながら大胆だって思ったんだけど
 キス・・したくなっちゃって」


大声で話すユイに
クラスの中がどよめいている
あのA.N.JELLのジェルミに
キスしただなんて!!!!!!
男の子達が興奮して
口々にジェルミの名前を出していた
それを嬉しそうに眺めているユイ


「ビックリしたでしょ?」

「うん・・大丈夫」

「好きな気持ちって止められないし!」


ね?と首を傾げて
私を除きこむユイ・・・
そうだね、と言い返すのが精一杯だった
ユイはきっと
私とジェルミの想いが繋がったことを
知らないでいる・・


「あんにょ~ん
 ん?へ?何静かになっちゃって・・・」

「ひゅーーーーーーーーーーーっ!
 ユイとキスしたんだって?」

「へ?ユイ?」


ぱっと私と目が合って
苦く笑えば・・って気づいてる?
ニヤニヤして
あたしとキスしたこととか
今・・・想いだしてるんじゃないでしょうね?
そんな場合じゃないよーーージェルミ!!


「先生・・ごめんね、驚かせて」

「ユイ・・はっ!」


指を咥えてガクガク・・・って
その分かりやすいところ
もう少しどうにかなりませんかね?
あぁ・・ため息しか出ない
どうにかしなきゃ
そう思っているのに
ジェルミ・・それはないよ・・・・がっくし


「あたし、頑張るからね」


ふっと隣を見上げれば
目線を合わせることなく
そう言い放ったユイ
また小さなため息が出た


その日から
ユイは必要以上に私の隣にいた
わざわざ私を連れ立て
ジェルミのいる休憩室にいったり
教室もいつも隣
帰り道も・・・一緒
たまにジェルミと帰ろうとすると
後ろから走ってきたこともあった


その度に彼女は言う


「ユリなら手伝ってくれるから」

「ユリの近くにいれば
 ジェルミ先生に会えるから」

「ユリ・・応援してくれるよね?」

「ユリ大好き!!さすが親友♪」


満面の笑みを浮かべていう彼女に
何も言えないまま
1週間が過ぎようとしていた
大好きな学校に行くのが・・苦痛
今日はあたしのレッスン日なのに
久しぶりにジェルミのレッスンを受けられる
それなのに
こんなに気持ちが沈んでいるのは・・・


「ユリ!レッスン見学させてもらっていい?」

「え・・・・?」

「問題ないよね・・・?
 だって、ユリ・・先生と何もないもんね?
 そうだよね?」


いつもは笑って言うのに
今日ばかりは・・目の奥が笑ってない
怖かった




ぐごーーーーー(ToT)
ユイがじわじわと
笑顔で攻め立てていますね
必死の妨害?そんな感じ・・・
さーて・・・どうなる?

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