【FTisland:ホンギ】Distance①


今・・・踏切の向こう側に


いつもそばに居た人がいる


何も知らずに歩く背中に


初雪が舞い降りる・・・・・・・


冬の始まりに
全てが終わりそうだったあの日・・・



***




「ホンギ~!!っばぁ!!」


「っつ・・・なんだよ、ヌナかよ」


「なんだよってひどくなーい?」



俺の肩に手を乗せて
肩口から顔を覗かせている女性
女の割にはちょっと高い身長
まぁ・・・俺より少し小さい
真っ黒な髪と大きな真っ黒な目
それと対照的に真っ白な肌を持つ人


・・・・俺の彼女、っぽい人



日本からこっちの音楽大学に入学してきて
クラシック系の音楽勉強してたはずなのに
なーぜかうちの事務所に入って
・・・・なーぜかPAやってんだよね
彼女は絶対音感?ってのがあるらしく
この職業にはもってこいの人らしい


「フニぃ~
 ちょっとこっちで確認してみて!」


「はいはい・・・どれ?」



こうやって仕事場にもだいぶなれてきた
いや・・・なじみすぎだよな、これ
おい、フニ・・・顔がちけーっつーの


「ホンヒョン・・・
 お顔が怖いですよぉ~」


「うっせー・・・ったく」



こうやって
スンヒョンに馬鹿にされる要素が
増えたのも・・・彼女が来てからだ



彼女は不思議な素質を持っているのか
俺たちの前に現れて
すーっと入り込んできた
仕事上、ライブでも関わり合いがあるし
なんだか熱心に
FTislandの音教えてください!!
なんて来たのが始まりだったんだけど・・・



いつの間にか
・・・俺の隣にいることが多かった


俺は彼女のことが好きなのだろうか・・・
次第に彼女の隣に
あいつらがいることですら
イラつく事が増えていた・・・そんなある日


「ホンギ・・・ちょっといい?」


「ん?あぁ・・・いいけど?」



目で会話しているのか
ジェジが彼女を見てうんうん頷いてる
あーそれすらも気に食わねー
彼女の腕をつかんで
部屋から出て廊下に向かった


「あのさ!!」


もじもじして・・・何?



「ホンギってさー彼女い・・・
 いや、これは
 スタッフのあたしにでも
 うーん言えないか・・・・
 うーん・・・・・あのさー」



もじもじから焦りに変わったようだ
彼女・・・・って
ん?この反応ってもしや・・・



「もしかして
 ヌナ・・俺のこと好き、ってこと?」


「へ?うん」


「うんってw」


ばれちゃってたの~?って
にへらーって笑った彼女を見て
思わず俺も笑っちゃったしwwww
ちょっとからかったつもりだったのに
思わぬ収穫だった


「彼氏になってあげようか?」


「え!?」


「いや?」


「えええ!?」


「どうするの?」


「・・・お願いします」


そういって頭を下げる彼女
俺はこの日
初めて彼女を抱きしめた


***



ちょっとーーーー
抱きしめられちゃってますけど!!
どうしようどうしよう
上手く頭が回らないんだけど~


チラッと見ると
ジェジとミナンが顔を出して
にっこにこと笑ってる・・・・
これは現実らしい・・・うん
夢じゃないのよね??


「おーい、ホンギ
 ここ廊下だけど?」


「へ?あぁ~うん」


頭ぽりぽりとかいてる彼
ふふふww知ってるよ
かっこつけたって
こういったところで
可愛い所が見え隠れ~ふふふw
フニに促されて中にはいれば
メンバーがいるからか
いつものヒョンの顔に戻ってしまう


ま・・・いっか
一応、その・・・・あの・・・・



「ホンヒョーン!!!
 ずーっと希望していた
 ヌナの彼氏になった気分はどう?」


「おい、スンヒョン・・・・
 てめーっこのこのこのこの!!!!」


美形のお顔がくずれちゃってるよ??w
でも否定しないって事は
彼氏になってくれたんだよね~??


「ヌナ、良かったね♪」


「ありがと~ミナン!!!!」


「ね?僕の言ったとおりだったでしょ?
 ホンヒョンは素直じゃないから
 いろいろとよろしくね~」


「こちらこそ、よろしくお願いします」ペコリ


こうして私たちのお付き合いが始まった
ロマンチックな告白じゃないし
なーんだか・・・微妙だけどw
それでも彼の隣にいる事を許してもらえるなら
本当にうれしい事だった


だって・・・あのイ・ホンギだよ!?



私をこの世界に導いてくれた人
ずっとずっと
クラシック一本で過ごしてきた私
ふと文化祭に来ている彼らを見て
人生が180度も変わるとは
思ってもみなかった


彼らの音楽は本当にドキドキして
・・・・すごい楽しくって
時には切なくて、泣きそうになる
全ての音が重なった上に
彼の声が乗っているからなんだ
そう気づいた時には彼のファンになっていた


そしてその次の年
就職先を探している時に
彼らの事務所のスタッフ募集を見つける
これも運命的だったと思うんだ
私は楽団の話を蹴って応募した
音のひとつになることより
音を彼らと作り上げたい
そう思ったの


私の耳と、この学歴が役に立って
私は今、PAとして働いている
アイドルバンドだからと
本当に演奏していないといわれていた過去
そんなのあたしの手で
見事に払拭させたいんだ
こんなにいいバンドだから


「がんばるぞーー!!!」


「ヌナ・・・またどっか飛んでた?」


「へ?」


「すぐに妄想の中にトリップして
 どっか消えちゃうんだもんな~」


彼が私の肩にあごを乗せる
ふふwwかわいい
彼と付き合ってわかった事
とーってもギャップが激しい子
AB型だから?
俺様してると思ったら
急に子犬みたいに耳をたらして
くーんって寄ってくる


今日は子犬モードらしい



「ヌナ~
 俺さぁ、また冬から忙しいんだって」


「アジアツアーあるもんねぇ
 しっかり喉ケアしないとじゃない?」


「冬は乾燥するからなぁ・・・嫌い」


よしよし・・・・
ぎゅーって抱きしめて背中をぽふぽふ
嬉しそうに顔をくしゃっとさせた
ちゅっと音を立ててキスをされれば
ちゅっと音を立ててキスのお返し
そして私たちは堕ちていく
この甘い時間とお互いの温もりに


寒い冬が始まろうとしていたこの日
私たちはまだまだ
ベッドの中で甘い関係に
酔いしれていた





こんな始まりです~
ちょっといつもと違うでしょ?
楽しみにしてくれる方も多いので
がんばりまーす!!
応援の1ポチお願いします!!