☆始めに☆

育まれる愛の最終話です
いよいよ
天使との対面・・・

~第十八章 育くまれる愛⑩~


時計が0時をさす頃
彼女の陣痛が始まって6時間
時計を見る感覚が縮まってきた


「ううう・・・いたい・・・あぁ・・・」
「吐いて・・・吸って

痛みを逃がすかのように
自分の手を力強く握る彼女
どの体勢が楽なのかも分からず
彼女が動きたいように動かせ
自分はそれに応じるだけ
腰が割れるように痛い
もう嫌だ・・・
彼女にしては珍しく
ぽつりぽつりと吐き出される弱音


「大丈夫・・もう少しだから」


頑張って・・・
もうすぐで赤ちゃんに会えるよ
そんな言葉しかかけられず
本当に何も出来ないと・・・
落ち込む暇はなかった
すぐに陣痛の波が押し寄せる


ガラガラガラ!!


「ヌナーー!!


急に入ってきたジェルミ
仕事終わりなんだろう
走ってきたのか息が切れいてた
中の様子を見て
ごくりと息を飲むジェルミ
すごい憔悴しきっているウンジェを見て
少し驚いているようだった
当たり前だ・・・
宿舎での姿とはまるで違う
ジェルミが拳を作り
ガッツポーズを見せると


「ヌナーファイティン!!
 皆待ってるからね!!
 もうちょっと頑張って!!」


そう言って廊下に出て行った
ふっと彼女は笑顔になると
再び陣痛の波が押し寄せる
そろそろ彼女も限界なんじゃないか?
いつ生まれるんだろう
いつ・・いつ・・・・?


「イ・ウンジェさんですね
 はい、足を開いてください・・・
 ・・そろそろですね
 よくここまで頑張りました
 あと一頑張りですよ!!
 分娩台に行きましょうか」

「はい・・・」

「今、陣痛来ていないですね?
 じゃ、旦那さん支えて上げてください
 歩きますよ」

「歩くんですか!?」


そうですけど・・?
あたかも普通そうに言われ
面食らっていたが
ウンジェは体を起こして歩こうとしていた
慌てて肩をかして歩みを進める
分娩室は近かったが
それまで持つのかも心配だった
彼女の陣痛の波は早い


「くっ・・」


もう少し・・というところで
彼女は歩みを止めてしまったが
ここで止まったら動けなくなるわよ!
と助産師さんの言葉に頷き
力強く歩みを進める


本当に女の人には敵わない・・


「旦那さん、たち会いますか?」

「・・・・はい」

「では、準備しましょうね
 こちらに来てください」


違う看護師に誘導され
ウンジェが気になったが
急いで身支度を整えるため
分娩室を離れた


***


「はい!!力んでーーー!!」

「んー・・・・はぁはぁはぁ」


分娩室に入ると
彼女の声が聞こえてきた
痛いと声に出しながら
助産師の声に合わせて力を込める


「頑張れ!!」

「シヌ・・・んーーーー・・・はぁはぁ」

「いいわよーウンジェさん
 上手上手
 はい!!もう一回!!
 頑張って!赤ちゃんも頑張ってるわ!」

「んーーーーっ!!!」


何度力んでも
なかなか出てこない我が子
ウンジェも辛そうだった
長い時間陣痛に耐えてきたからか
あまり体力も残されていない
それでも彼女の瞳は真っ直ぐで
早く赤ちゃんを出してあげようと
助産師の言葉に応じていた
俺もその言葉に自分の声を重ねて
彼女の呼吸を促す
しかし、なかなか我が子は顔をださない


「吸引しますか?先生・・」

「もう少しチャレンジして出てこないときは
 吸引しよう
 両方とも大変な事になる
 さ、ウンジェさんここが頑張り時です
 力んで!!」

「んーーーーーっ」

「ほら!!頭が出ました!!
 良かったぁ!!あとは大丈夫だからね


力まないように呼吸を繰り返しながら
赤ちゃんがするすると出てくるのを待つ
そして・・・
この世に生まれた我が子が
弱弱しいながらも
その命の声を響かせた


「ウンジェ・・・生まれた」

「良かった・・・」


元気な男の子よ!!頑張ったわね♪
体を綺麗にしてもらい
タオルに身を包んだ小さな我が子


「しっかりと守るのよ?」


そう助産師が俺に子供を抱かせてくれた
軽くて・・小さくて
元気良く泣いている我が子
猿みたいだぞ?なんて言われてたけど
我が子は本当に・・・可愛くて愛おしい


愛おしい・・小さい命


「ウンジェ・・ほら」

「やっと会えたね・・
 初めまして、パパとママだよ」


大きな瞳を細めて
愛しそうに我が子を見つめる彼女
その瞳には一筋の涙
漸く会えた我が子
自分の全ての力を振り絞って
産み落とした小さな命


「ありがとう・・頑張ってくれて」

「ありがとう・・励ましてくれて」


小さな命を
産みの母に託すと
我が子は口をパクパクとさせる
助産師に助けられ
ウンジェは初乳を我が子に与えた


口をもごもごと動かし
そしてすっと目を閉じる
大きくなってね・・・
そう紡ぐ君はすでに母親で
その神聖的な姿に
俺はただただ・・見とれていた


ありがとう
 俺に家庭を授けてくれて
ありがとう
 俺に守るものを与えてくれて
ありがとう
 俺の人生に楽しみをくれて


感謝の言葉しか見つからない
育まれた愛
今、やっと君の姿を見ることができた
いつか大きくなったら
今日の日の事を話してあげよう
お前が生まれた満月の夜
俺とウンジェが
改めて家族を感じた夜の話を・・
この話をするまでも・・それからも
ずっとずっと
俺達の愛を送り続けるよ
パパとママとして・・愛する君に

あなたの①ポチが
次の話に繋がります♪
どうぞよろしくお願いします★
どどーーーん!!


今日はおっきいまんまのシヌひょんww

また、アメンバーになる方はこちらへ♪

アメンバー募集中

年齢、読みたい理由が未記入の場合は承認できません

承認作業は結構まめにしております

2日経ってもダメな場合は不備がありますので

再度注意事項を読み申請してください!!


最後まで読んでいただき
誠にありがとうございました♪