秋の夕暮れ
ちょっと切ないお話が書きたい年頃
くまぐまです
お付き合いいただければ・・・
意中の彼を思い描きながらどうぞ




線香花火/aiko




「もう・・・終わりにしよう」


その言葉が心に届くまで
・・・とても時間がかかった


すっかり季節は秋に変わり
落ち葉が私達の足元を通り過ぎて行く
寒いと感じるのは
風が吹いているからなのか・・・
それとも
隣にあったはずの温もりが
もう・・・遠いからだろうか
自分で自分を抱きしめる事でしか
今、私は寒さから身を守れない


あの楽しかった海辺のデートは
もう随分昔の事
あれが最後のデートになるだなんて
夢にも思っていなかった


あの日が最後だって知っていたら
私はあなたのこと
もっともっときつく抱きしめたのだろうか
この冷え切った体に
少しでも覚えていられるように・・・
それとも
きつく当たっていたのだろうか
離れるだなんて・・許せないって・・・・
線香花火と共にはじけた夏の夜
もう戻ることのない時間


テレビで活躍するあなた
私とのデートはいつも夜の浜辺だった
手に花火を持ってお互いの顔を照らし
微笑み合ったあの日の夜


「秋は紅葉を見に行こう」

「冬には雪だね」

「春には桜を見て・・・
 また夏にここにこよう
 ずっとずっと・・・隣にいてね」


砂浜で重ねた約束
いくつもいくつも・・たくさんあって
砂浜の恋は
私にたくさんの夢をくれた


あれが最後の夏
そんなこと
考えもしないで・・・


一つずつ思い出にしても
いくつもあるから
整理するのに
どれだけ時間がかかるのだろう


朝焼けを迎えた帰り道
近くなった距離と
熱い首元が恥ずかしかった
太陽が見えるまで
話しこんで冷えてしまった膝も
夜明け前に交わした
小さくて切ないキスも・・・


あなたの熱い眼差しも
愛の言葉を紡いだその唇も
私に優しく振れたしなやかな指や
抱きしめて離してくれなかった
力強い腕も・・・・



どれも想い出になるの・・・?
想い出に・・・できるの?



ゆっくりと忍び寄る風が示す
季節の変わり目
目の前にいる君の瞳も
熱い物から切ないものに変わってしまった



私の体から
ゆっくりと余熱が逃げていく

もう・・さよならなのかな



涙が秋の風が舞い上げられ
空へとはじけた
さよなら・・・・・私の恋
あなたの事が大好きでした


たとえ線香花火のように
夏の終わりと共に
儚く消え去ってしまったとしても・・・


好きでした・・本当に



***



ふっと感じる温もり

恐る恐る目を開けてみると

柔らかく微笑むあなたがいた



「怖い夢でも・・見た?」



穏やかな微笑で

同じ毛布に包まっている彼

そっと親指で私の涙を拭うと

唇に小さくキスをくれた



夏が終わり秋が訪れ

季節は冬に差し掛かる

あなたがいないと寒くって

きっとこの冬越せないや・・・

冗談っぽく笑えば

ぎゅーっと私を抱きしめてくれた



「何言ってるの?まったく・・」



呆れた顔でそう紡げば

しなやかな指で

私の髪を掻きあげた



私の隣で微笑む愛おしい人・・・覚えてる?

あの夏

線香花火を見つめながら交わした言葉



「どうしてこんなに

 キラキラ輝くんだろうね」



消える事なんて

儚い光だなんて

決して話していなかった

ただ

そのまばゆく光る姿だけを

私達は目に焼き付けていただけだから・・・




***



結局寂しく終われない私

悪い癖でございますね・・・はい



かっこいいBEASTマンネに

サランヘーと

ぽちりとお願いいたします◎


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