~第十四章 誓い⑥~


「お色直しを終えました
 新郎新婦の入場です


テギョンとミニョが
開いた扉に立っている
ミニョは淡いグリーンのカクテルドレスだ
・・・そうライム
ワンがミニョはもう白からライムに
染められちゃっているからと
この色をチョイスしたらしい
テギョンは白のジャケットとパンツだが
要所要所にライムの色が入っている


「全く・・・似合いすぎるってのも
 問題だよな・・・あの服」

「モデル出身のソンジェも
 一目置くって感じなの?」

「認めたくないけどね・・
 いや、俺が作った服がいいからか!」


ソンジェとワンが微笑みあうと
2人の前にミニョが立ち止まった
テギョンもその後ろに立つ
2人は驚きの表情を向けた


「ソンジェさん・・・コーディーヌナ
 本当に・・本当にありがとうございました」


困難に立ち向かうときには
そっと背中を押してくれた2人
そのありがとうの言葉だけで
2人は胸がいっぱいになった
幸せになってね
そういう気持ちで拍手を送る


ミニョはニッコリ微笑むと
再び歩き出した
テギョンは逆の方向に歩き出す
音楽が鳴り響く中
少しざわめいた会場内


「これ・・・みんなに」


ミニョがきたのは
A.N.JELLが座っているテーブル
驚いている3人に
私からのサプライズですと
ニッコリと微笑んだ


ミニョの手には・・
3つのブレスレット
星のモチーフのそれは
黒・白・黄色が用意されていた


「私が作ったので
 少し不恰好かもしれませんが
 皆さんに・・・感謝の気持ちです」


ふふふ♪と
サプライズ成功を喜ぶミニョに
皆の顔が思わず緩んだ
全くミニョは本当に期待を裏切る
いい意味で裏切ってくれるよ・・・
ミニョの手によって
右腕につけられると
ミニョは自分の右腕も出した


「これはオッパとも私とも
 おそろいです!
 大切にしてくださいね♪
 皆さんの将来に光が満ちるように
 心からお祈りして作りましたから」


天使からの贈り物
3人とも笑顔で受け取った
A.N.JELLの絆の証を・・・


***


「母さん・・・」


テギョンはファンランの前にいた
そして右手をそっと差し出す
戸惑いながら周りを見る彼女の背中を
アン社長は促すように押した


「テギョン・・」

「母さん・・俺を産んでくれてありがとう
 今日から親孝行させてくれないか?」


それでも不安そうな表情を浮かべ
辺りを見回していると
ギョンセと目が合った
彼は優しく微笑んで小さく頷く
ファンランの中で
何かが小さく溶け出しているのを感じた
そっと手を添えると
テギョンが腕を軽く曲げる


「母さん・・・
 これからもよろしくお願いします
 私はあなたの息子です・・
 今までも・・これからも」


小さく伝えられた想いに
ファンランは小さく頷いた
ずっと私を求め・・・
それでも追い払ってきた過去
手に入れられなかった愛に
あれほどまで固執して
大切な物を見失っていた
愛ではない・・・
ミニョにそう言われたあの日
本当に失いそうになったあの日


私も彼女に出会えて
      本当に良かった


ファンランの頬には一筋の涙
その涙の意味を誰よりも
テギョンがしっかりと受け止めていた
そして壇上のミニョの元に着く


「ミニョさん・・・」

「ファンランさん・・・
 いえ、今日からお母さんって
 そう呼んでもいいんですよね?」

「そうね・・・」

「私のこともミニョって呼んでください
 お母さん・・・
 お母さんテギョンさんを産んでくださって
 本当にありがとうございました
 テギョンさんに出会えたことが
 私の人生で一番の幸せでした・・・
 本当に感謝しています
 そして・・私の母になってくれたあなたにも」


今まで味わってきたたくさんの挫折は
今、この上ない幸せに
しっかりと結びついている

父と母がいなかった
でも兄への大切な想いを私は持っている

男になるべく夢の道を絶った
でもそれ以上に大切な仲間を得て
新たな夢を手に出来た

テギョンと沖縄で手を離した
でもそのおかげで彼への愛を確かめた

そして・・・・
ファンランに母の歌を取られ・・
母は辛い生涯に幕を閉じた
でも・・・愛する人は失った愛情を
再び取り戻すことができた



彼の幸せが私の幸せ
    私の幸せが彼の幸せ



父さん・・母さん・・・・
2人がいない人生を
過ごしてきた時間のほうが
今は長いようです
どうか・・・ファンランさんを
許してあげてください・・
彼女は十分苦しみました
今流れている涙に
何の偽りもないでしょう

私はもう大丈夫だよ
心配要らない
こんなにたくさんの人から愛を得て
前を向いて歩いています
父さんと母さんにもらった
たくさんの愛情とこの命を
私は大事に生きていくね
愛するこの人と


ミニョが手を差し伸べると
ファンランがゆっくりと
手を差し伸べ握り締めた
その手の温もりに
自分の母親の温もりを重ねる
母さん・・・ありがとう
私を産んでくれて


***


「最後にいいですか?」


テギョンが壇上から一礼をして
マイクを手に立つ
その横にしっかりと
ミニョが寄り添っていた


「今日はお忙しい中お越しいただき
 誠にありがとうございました・・・
 今日・・皆さんのお力添えで
 晴れて夫婦として
 共に歩むと神に誓うことができました
 こんな未熟者についてきてくれると言った
 ミニョを裏切らないように・・
 真っ直ぐに生きていきたいと思います」


テギョンの横で微笑むミニョ
彼らの微笑ましく寄り添う姿に
誰もが拍手を送り続けた・・・


***


式を終え・・2人はホテルに滞在している
ホテルから見上げる星空は
いつもより少し霞んで見えるようで
ミニョは目を凝らして一生懸命見ていた
あの告白された日も
ペアリングを受け取った日も
私はいつも星に囲まれている


「オッパ!!流れ星です!!」


ミニョが慌ててお祈りのポーズをする
そんな様子をテギョンは微笑んで
隣で見ていた


「オッパの分まで
 お願いしておきましたからね!!」

「俺に無断で願い事か?
 随分偉くなったな、コ・ミニョ」


昔のような口ぶりに
思わず噴出すミニョ
その様子を満足気に見ていた


「それにしても
 可愛い指輪ですよね・・これ」

「あいつらにしては
 とても良く出来ているな」

「2人で1人っていう意味ですよね・・
 ねぇオッパ
 これからは二人三脚ですよ?


どういうことだ?
とたずねるテギョンに
ミニョは手を重ねてこう応えた


「これから2人で過ごす人生のほうが
 はるかに長いんです
 楽な道のりだけではないでしょう
 でもこうやって・・・2人で歩いていけば
 寂しい道のりなんてないんです
 暗い道のりでも眩しい場所へでも
 2人なら大丈夫ですよね?
 辛いことがもしあったら・・
 今日の日を思い出して
 また前を向きましょうね、その時は」

「あぁ・・・・
 お前がいれば何だってできそうだ」


お前と一緒だから
未来という物に興味を持った
ここから先いつまで2人で
共に同じ夢に向かって歩き
長い道だが・・変わらずに今日の気持ちを
持ち続けるとお前に誓うよ


神にだって誓ってやる


「お前はドジだから・・・・
 泣きたくなったら胸を貸してやる
 躓きそうになったら
 俺のうでをつかむんだ・・・
 いつでもそばにいてやるから・・
 俺が先に死んだら
 お前のことが心配でどうしようもないから
 長生きだってしてやる・・なんだって」

「はい・・・」

「さっそくか・・・泣き虫」


ミニョが胸に顔を埋めると
テギョンは優しく頭を撫でた
この温もりを俺は離さないぞ
ミニョの人生・・・
俺を選んでよかったって
最後に微笑んでもらいたいから・・

俺は最高の男だなんて
口が裂けてもいえないけれど
お前を想う気持ちは
世界で一番だ・・・絶対に


テギョンは見えない星を思い描き
胸にある温もりにキスを落とす
幸せになろう
2人で一緒に・・・
誓いのキスを見つめる星達が
より強く光を放った


・・・・・・・・・・

結婚式とは
2人が永遠の愛を誓う日と共に
親に感謝の気持ちを伝える日かな
と個人的に思っています
2人の想いを星にたくし
ますます
素敵な夫婦になっていくでしょう♪
誓いの章・・・これにてお終い!!
参列していただいた皆さん
お疲れ様でした・・・(';ω;`)

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