最後の演出作品と成りました『元禄港歌』
昨年12月、稽古初日顔合わせでのインパクトを忘れません。
「馬鹿野郎‼︎辞めちまえ‼︎」
稽古が始まってからも…
「瞽女が綺麗過ぎる‼︎そっちの汚ねぇのと変われ‼︎」
「歌舞伎の人、瞽女で並んでみて‼︎」
「やっぱりこっちの方がいいかなぁ…。明後日、演って見せて‼︎」
この発言で、翌日はお休みだった稽古を返上して、埼玉の稽古場で瞽女役の方に用意された三味線をお借りして、段一郎さん・笑羽さん・郁治郎・私の四人で五時間ノンストップで『瞽女唄・葛の葉』をお稽古した事は、良い思い出です。
五時間ノンストップで稽古した結果、披露する事も無く、女優さんでの瞽女さんに決まりました。
が…
「汚ねぇの」と言われた女優さんもさぞかしでしょうが、「綺麗」を理由に瞽女役を交代させられた女優さん達は…
「もう来なくていいよ‼︎」
と言われる恐怖と戦っていたそうで、私の様に、若旦那におんぶに抱っこな者は直ぐに
「こんな芝居に出ます。」
なんて告知が出来たのに対して、その他の皆様は、本当に寸前まで出演告知が出来なかったそうです‼︎
蜷川幸雄さん、最後の演出作品と成りました『元禄港歌』で初めて、ほんの少しだけでしたが…。
ご一緒出来た事は、一演劇人として嬉しく思います。
大きな椿が…
ボトッと音を立てて
ありがとうございました。
ご冥福を心よりお祈り致します。