SFホラー『エイリアン』の最新作となるスピンオフ映画。
『エイリアン1』と『2』の間を舞台にした作品は小説『エイリアン 虚空の影』とゲーム『エイリアン アイソレーション』があるが、映画としては今回が初めて。
『1』から20年後を舞台としており、『1』のラストで宇宙に漂流されたビッグチャップが回収されるところから物語はスタートする。実はこのエイリアンはまだ生きており、無人探査機が回収したことで別の宇宙船で新たな惨劇を引き起こしてしまっている。その宇宙船は廃棄されるが、六人の若者が冷凍休眠装置を盗み出すために侵入。会社から不当な扱いを受けている自分達が暮らす星から脱出するのに冷凍休眠装置が必要なのだ。その際船内のシステムを起動させた影響で保管されていたフェイスハガーが覚醒。若者の一人が寄生され新たなエイリアンが誕生してしまう。
『エイリアン』シリーズにはアンドロイドが欠かせない存在だが、本作にも『アンディ』というアンドロイドが主人公レインの付き添いとして登場。最初は味方だったが、チップを組み込み直したせいで「乗組員の命より会社の利益が最優先」という指令に更新され、自分達がエイリアンの危機にさらされないために仲間を見捨てるという非情な行動を取ってしまう。このへんは初代主人公リプリーを想起させるが、終盤は元のチップに戻したことで再びレインの味方となる。
内容は正に‟原点回帰”と言えるもので、シリーズファンの監督が極力CGを排除したことで臨場感は向上。妊婦の女性から人間とエイリアンのハイブリッドが誕生するという生理的嫌悪感を容赦なく見せつけてくれる。また、『1』に登場したアンドロイド『アッシュ』と同じ型が登場するのも面白い。顔は俳優のイアン・ホルムをCGIで再現しており、シリーズとの繋がりに対するこだわりを感じさせる。
結局生き残ったのはレインとアッシュの二人。レインが音声メッセージを残したところで物語は終了するが、二人がこの先どうなるかは不明。『エイリアン2』の頃生きているとするならどこにいるのか、何をしているのか色々と想像が膨らむばかりである。監督は続編のアイデアはあるようだが、「二年は早い」とのことなので続編が製作されるのは当面先だろう。それでも来年にはドラマ版『エイリアン アース』やPSVR2専用ゲームが控えているので、『エイリアン・ユニバース』はまだまだ堪能できるのが嬉しい。まぁ、ゲームのほうはまず高額なVR2を手に入れねばならないというハードルがあるけれども。