■運動にでかけて節税をしているカップル

 前回の記事では雑損控除の説明をした。今回は雑損失控除と同じ所得控除のうち医療費控除の紹介をしたいと思う。

【写真】レーシック手術、ほぼ自己負担ゼロで受ける方法 賢い節税方法をマスターしよう

 今回の登場人物は、森野賢治(仮名)さんと小島優子(仮名)さんのカップル。医療費控除を通して優子さんのようにあなたの人生が変わるかもしれない・・・。

■運動で節税ができるのか? 

 賢治君と優子さんはお付き合いを始めて早1年が経過していた。出会いはスポーツジムで賢治君が優子さんを見て衝撃を受けたことからはじまる。いわゆる一目惚れだ。

 お付き合いをはじめてからも2人は運動を続けている。賢治君が運動を続けている理由は、自分から積極的にというわけではなく、体調を良くするために、医師から運動療法を勧められているからだ。

 ここで唐突に税金の話を始めると、医師が治療のために運動療法が必要と診断された場合は、一定の要件を満たすことで医療費控除が受けることができる。これは一般的にはあまり知られていない。
 ここで「一定の要件」とは、以下になる。
1. 医師の指導による「運動療法処方箋」に基づいて行う運動療法であること
2 .健康増進施設として厚生労働大臣が認定した「指定運動療法施設」を利用した運動療
法であること
3 .概ね週1回以上の頻度で8週間以上継続して行う運動療法であること。確定申告にて医療費控除をするためには、「運動療法実施証明書」と運動療法処方箋に基づいて利用した「指定運動療法施設の利用料金領収書」が必要になる。

 しかし一方で、賢治君と同じメニューをこなして運動をする優子さんの施設利用料に関しては、医療費控除の対象にはならない。この事実を知った優子さんは、この機会に今まで縁のなかった医療費控除という存在を知り、節税のために勉強をすることにした。

■レーシックを受けて人生変わりました

 少しでも税金の負担を少なくするため医療費控除の勉強を始めた優子さん。彼女は、子供の頃から近視のため常にメガネを欠かせない生活を過ごしてきた。そこで、メガネは医療費控除の対象になるのか調べてみた。

 すると日常生活の必要性から購入するメガネは、そもそも視力を回復させる治療の費用ではないので医療費控除の対象にはならないことがわかった。でも優子さんは諦めなかった。メガネがだめなら近視手術をしようと考えたのだ。そこで近視手術について調べてみると、どうやら医療費控除の対象になるということがわかった。優子さんは思い切ってレーシック(視力回復レーザー手術)を受けることにした。

 手術は無事に成功した。手術後、裸眼でも視界がクリアに見えるようになり、わずらわしかったメガネとお別れができることに感動した。

 しかも優子さんには加入していた医療保険からレーシック手術による手術給付金が支払われた。医療費控除の確定申告も済ませたので、結果的にほぼ自己負担なしで視力回復をしたのだ。

 ただし、最近では多くの保険会社がレーシック詐欺(保険に加入して手術後すぐ解約する)を嫌がって、レーシックを保険給付対象外に変更する動きもあります。レーシックを受ける場合は、事前に保険加入時の条件を確認しておきましょう。

■わたし整形して人生変えちゃいます

 レーシックにより視力を回復した優子さんはさらなる手術を考えていた。それは美容整形である。一重で小ぶりな目をしている優子さんは、以前からクリクリで大きな目に憧れを持っていた。

 美容整形で美しくなった自分を想像しただけで優子さんのテンションはあがり、レーシックに続き思い切って目を大きくする手術を受けることにしたのだ。

 その結果、無事に手術は成功し、彼女の目は一回り大きくなり、パッチリとした二重に変身できた。彼女自身、より一層美しくなったと感じ、満足していた。

 しかし、税金面では想定外の事態が起こった。それは、目を大きくする美容整形手術は医療費控除の対象にならなかったのだ。レーシックと同じように「医療費控除の対象なるでしょ」と思い込んでいたのだが、事前にしっかり確認するべきであったことは言うまでもない。

 今回の美容整形手術では医療費控除をうけられなかったが、しかし優子さんは「美」を手に入れた。整形手術については賛否両論あるだろうが、本人の責任で行い、その結果に満足しているのだから良かったのだろう。

■出産で還付金ゲット

 美容整形により圧倒的な「美」を手に入れた優子さんは、彼氏の賢治君と幸せな日々を送っていた。現在の優子さんは彼と結婚をし、さらにおめでたいことに妊娠中とのことだ。

 しっかりものの優子さんは出産関連の医療費控除もお勉強済みで次の確定申告に備えているという。妊婦については定期健診費用、分娩費用が医療費控除の対象となるほか、通院する際のタクシー代は医療費控除の対象となるので、領収証などをとっておこう。しかし医師などに対する謝礼金までは医療費控除の対象とならないのでご注意を。


(松本 崇宏)


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