延喜式神名帳における“武蔵国”の式内社巡りにおいて『都筑郡 杉山神社』を制覇しました!
杉山神社とは・・・
都筑郡で唯一の式内社であり、式内社とは延喜式神名帳に記されている神社のことです。
延喜式とは・・・
延喜5年(905年)に朝廷の詔命のもと編纂がスタートした法典のことで、実際にこの延喜式が施行されたのは康保4年(967年)ということなので実に62年間にわたって編纂や修訂がされたことになります。全50巻になるその延喜式の中に“神名帳”という神社のリストがあり、記載された神社の数は全国で2,861社になります。
都筑郡とは・・・
7世紀の律令制度で決められていた武蔵国都筑郡のことで、現代では横浜市都筑区、青葉区、緑区、港北区、保土ケ谷区、旭区、川崎市麻生区の一部を加えたエリアです。
しかし 、延喜式神名帳に記載された“杉山神社”がどこの神社を指すのか?いまだ明らかになっていないのです。
(ネットより転用した杉山神社の数)
杉山神社の名前が史料上最初に登場するのは、承和5年(838年)の“続日本後紀”にて『武蔵国都筑郡枌山(杉山)神社』という記述です。同書には杉山神社が霊験ある神社と朝廷からも認められた事が記されています。
その後“延喜式神名帳”で式内社とされ、次の文献が14世紀半ばに成立した“神道集”です。
そして江戸時代に編纂された“新編武蔵風土”には都筑郡24社、橘樹郡37社、久良岐郡5社、南多摩郡(現在の東京都町田市や稲城市)6社の合計72社の杉山神社が記載されているのです。
これを全て巡ることは人生リタイアしないと難しいことなので、様々な研究などから有力視されているところを巡ってきたのです。
これらのキーワードは“鶴見川流域にある”ことが特徴です。
古来からの研究により杉山神社の論社と比定される神社は4社あります。
・緑区西八朔町の【西八朔社】
・都筑区中川町の【大棚社】
・都筑区茅ヶ崎町の【茅ヶ崎社】
・港北区新吉田町の【吉田社】
武蔵式社記には、
『都筑郡吉田と云うに杉山という小地名ありて其の処に座す社実蹟なり』
とあるように新吉田の杉山神社が有力かと思われますが、そんな由緒ある神社とは思えない荒れ放題の境内にはビックリしました。
また、武蔵国総社六所宮である大國魂神社には六之宮として西八朔社が祀られているのです。
また鶴見神社も都筑郡ではありませんが古くは杉山大明神を祀っており、杉山神社の論社であり横浜・川崎における最古の神社であるといわれております。
これ以上深入りすると危険なので、これにて“武蔵国 都筑郡”式内社巡りは終了とします。
個人的には新吉田の【吉田社】が好きなのですが、しっかりと管理して存続して欲しいものです。あの区画を整備したら立派な神社になるはずです。