学校へ行く。

なんで学校へ行くんだっけ?勉強?

なんで勉強するんだっけ?わからないな。

勉強する意味があるのか?

これも、わからない…

よく、考える思考力がどうとか言われるが、

僕はもう何も考えられない。

意味ないじゃないか…勉強なんてできる意味がない。

勉強なんてする意味がない。

授業をサボった。



どうすればいい…学校なんて休めばよかった。

ふらふらうろつく、すると、不破と令奈さんがいた。

なんで、ここで…まぁいいさ。


「おい、君授業じゃないのか?」


「不破こそ授業だろ」


「あぁ、いいよ、単位取れるし。

君こそめずらしいな…どうした?」


「どうもしないよ…もう、授業なんて受ける意味がない」


「……おいおい、まさか」


「そのまさか…だ。僕はどうすればいい」


二人とも同情したような目で僕を見る。


「ごめんね」


「謝られても…」


「だって、こうなることわかってたの」


「えっ!?」


「指輪買いに行ったとき、あなたのお姉さん…見たの…、

それでわかったのよ…あぁ、恋愛してるんだなって」


「それは…いつ?」


「3日前」


「ハハハッ!!そう!?その日か!あぁっ!!」


それは、姉さんの誕生日の前日、

姉さんとデートした日の前日だ。

あのときすでに姉さんは…。


「榎……」


「あぁ、ごめん、ごめんよ…わからないな。

ほんとどうしたらいいんだ」


パシン!!


「痛い…」


令奈さんにビンタされた


「あなた…お姉さんを理解してあげなさい」


「……わかってる…理解してるよ……でも!!」


「よしよし」


「待って!優しくしないで!!あなたは不破の彼女だ、

今、優しくされたら僕は……ごめん!また、今度!

大丈夫、僕は大丈夫!」


僕は走って、その場をはなれた。






「あいつ…大丈夫かな」


「大丈夫よ…きっと」


「つらいな…」


「えぇ、とても」


「俺たちはここまでしかしてあげられないんだ、

なにか悔しいな…」


「でも、できることだけのことはしたわ…あとは彼次第でしょ」


「あいつ……弱いから」


「そうね…でも、これから強くならないと」


「そうだな……戻ってきたら……女紹介してやるか」


「駄目よ~、だっているじゃない…榎君には」


「えっ?」


「ほら、彼女よ…あの」


「ハハハッ!あの子か。それはいいな。

でも、大丈夫か?二人ともわからない、わからないって、

ハハハハハッ!」


「いいじゃない……お似合いよ。

私、あの子と話したかったし…」


「おいおい、君の悪い癖だ」


「いいじゃない、あなた達だってそうとう変な仲よ」


「えっ、まさか令奈、嫉妬してたの?」


「当然じゃない!だって、あなた榎君のことばかり話すんですもの」


「悪い、悪い、でも、これで一安心かな…」


「そうね」







とは言ったものの、大丈夫なわけがない。

もう駄目かもしれない。生きてる意味が見出せない。

なんで、人は生きてるんだろう…いや、違う。

生きてるのは、生命活動をしているから。

脳があって、心臓があって、肺があって、

動脈があって、それぞれがそれぞれの活動を

しているから生きている。そんなことが知りたいんじゃない。

なんで、生まれてくる。意味があるのか!?

そう、人は意味があって生まれてくるのか?

僕は今まで、生きている意味があった。

僕は姉さんのために生きていた。

しかし、それを失った今、僕に生きてる意味が無い!

最初からなかったら、探せばいい。

だけど、あったものを失ったんだ。

これほど、悲しいことはない!

まさか、それを知るために生まれてくるわけじゃないよね。

そんなのは悲劇。人生は悲劇?

かといって、また、それを探しだす気力もない。

どうすればいいんだ、あったものを失ったら

それで終わり?…残酷だ…残酷すぎじゃないか。

人生に意味なんて無いってこと……。



僕はふらふらうろついた。

特に意味はない。ただうろつきたいだけ。

こうして、うろつくためにうろつく、

純粋なうろつき…なんだそれ?

僕もとうとう末期のようだね。

そもそも、生きるために生きてる人がいるのだろうか?

皆、なにかするために生きてるんじゃないの?

おそらく、純粋に生きている人は…きっと、

死に直面した人や、貧困に苦しんでいる人。

僕たちは贅沢だ。

もっと、純粋に生きるべきだ。

でも、生きるために生きるってことは難しいね。

僕は、もう生きたくもない。

でも、死ぬ気にもなれない。臆病者だ…。

どうすればいいんだろう…また、わからなくなってきたな。

どうしよう、建物の屋上に行けばなにか見えるだろうか。

案外、死が見えたりして…そうなるかもしれないね。

僕が死んだら姉さんは悲しむんだろうなぁ…。

あぁ、駄目だ、死んじゃいけない。

でも、屋上に行こう、気分転換ができるかもしれない。

僕は、そこにあった建物の屋上に行った。



「あら?」


「ハハッ、驚いたな…なんで君がここにいるんだ?」


どうして、こんなときに会うんだろう…屋上には今井加代子がいた。