「お姉ちゃんが来る!」
「え~、ノアにお姉さんなんていたんだ~?」
「そうなの、お姉ちゃんはとても優秀な魔法使いでね、
魔力もあるし、プログラムもできるし、魔道具だって作れるのよ」
「魔道具~?」
「そう、プログラムした魔法は謂わばソフトで。
その、ハードが魔道具なのよ」
「じゃあ、僕は魔道具なの~?」
「なに言ってるの?ねこはねこよ」
「意味わかんない」
「媒体は、道具じゃなくってもいいんだけどね、
魔道具はその魔力の威力を高めたり、
特殊な効果を与えたりするものなのよ」
「ふ~ん、ノアは作れないの~?」
「私が授業で作ったのがあるはずだけど~…たしかここに」
「散らかってるよね~」
「うるさい!……あっ!あった~!」
「ん、コンロ~?」
「そう、コンロ、これに、火の魔法をプログラムしたのを
入れてあげると……ほら、ここで調節できるでしょ」
「コンロじゃん」
「だから、これも魔道具なのよ」
「実用的なものもあるんだね~」
「あら、知らないの?今じゃ、なんでも魔道具なのよ。
このテレビも、時計も、このアトリエだって、魔道具よ」
「えぇ!!知らなかった~」
「だから、今の魔法使いの職業はね、
ソフトを作る人と、ハードを作る人、
あとは、研究だったり、プロのスポーツマンだったり、
魔法使いにもいろいろあるの」
「いやに現実的だね~」
「魔法使いも大変なのよ」
「ノアのお姉さんは何してる人なの?」
「お姉ちゃんはいろいろやってるけど、
有名な所だと、自分のブランド立ち上げてたわねぇ…」
「ブランド?」
「アンリエッタ=セリカっていうねブランドがあるんだけど、
今じゃ、世界でも有数のブランドなのよ」
「えぇ!!何のブランドなの~?」
「魔道具よ。今のご時世、ただ実用的な魔道具を作っても、
売れないの。デザインとかセンスとかの芸術的センスが
求められてくるのよ」
「…いやに現実的だね~」
「魔法使いも大変なのよ…って、これさっきも言った」
にゃ~~!!
「あら、お姉ちゃんかしら」
「あぁ、なんかドキドキする」
カシャリ
「お姉ちゃん、こんにちわ」
「こんにちわ、ノア、相変わらず可愛いのね」
「お姉ちゃんこそ、お綺麗ですこと」
「ホホホホホッ」
「にゃ、にゃ、にゃ~!!!」
「どうしたの!?ねこ!?」
「あら、この子猫」
よかった、ここをぽっちとにゃ~