「ごめん、美佳…」
「いいよ、楓は大丈夫?いきなりどうしちゃったの?」
「なんだか、嬉しくなっちゃって」
「そうだよね、私も家の皆が楓が来ること喜んでたら、
なんだか嬉しくなっちゃったよ…みんな、楓のことが好きなんだなって」
「ありがとう…美佳」
美佳は素直で、純粋で、優しい。
私はこの優しさに甘えてしまう。
でも、私は甘えるだけで、美佳には何もしてあげられない。
ずるい…そう自分でも思うのに、美佳は何も言ってこない。
あなたは、ほんとに優しい…優しすぎて、
可哀想になってきます。
あなたは気づいていますか?気づいていないのでしょう。
本当は、私はあなたを利用しているだけかもしれないのです。
たまに思います、あなたにお兄さんがいなければ、
これだけ仲良くなっていなかったかもしれません。
あなたのお兄さんに会うために仲良くなったのかもしれません。
偽り、偽りの友情だと言われても、返す言葉がありません。
罪、罪の意識があなたに対してあるのです。
罰、その罰は、あなたがこの事に気づいたときのことを
思う恐怖と、その後の仕打ちでしょうか。
そして、私にはそれを償うことはできないのです。
どんなに償っても、償いきれるとは思えません。
だから、願います、望みます。
あなたが、ずっとこのまま優しいあなたでいて欲しいと。
都合のいいことばかりでごめんなさい。
私は…私は、あなたになら…………。
「美佳…」
「な~に?」
「ごめんなさい」
「いいのよ、もう。でもめずらしいもの見ちゃった。
楓があんなに泣くなんて」
「フフッ、あなたは、ほんとに優しいのね」
「えっ!?今日はどうしたの?楓」
「……なんでもないわ」
あなたになら、例え殺されようとも構わないと思っています。