ライプチヒ歳時記-乗馬用小道

                森の中にあった乗馬専用小道の標識  


「ワイルドパークってどんなとこ?」
サトシが興味津々でダンナに尋ねている。

日曜の今日は、朝からオニギリ弁当を作り、うちのアパートから4,5キロ離れた
”ワイルドパーク”へ歩いていく計画を立てていた。
すると、ギョッとするような事を平然と言ってのけるダンナの姿が台所から見える。
「まず、第一ステージでナイフを渡されるねん。サイやライオンが出てきたら戦うんやで!
死んだらあかんで!それで見事クリアしたら、第二ステージでは銃を装備して~、、、、、。」
意味不明なことを口走っているウチのダンナ。
おかげで、彼は可哀想に顔面蒼白、意気消沈、すっかりおびえきっていた。

そのあと、その恐ろしい誤解はすっかり解け、晴れ晴れとした表情の息子を連れて
家族でその公園へと向かった。
最初、目にした動物はイノシシの親子だった。
初めてみるイノシシの子供だ。
「わあー、かっわいいい~!!」リカが歓声を上げる。
それから、ピューマがいた。
もちろん囲いがしてあり、彼は安堵している様だ。
でも、ナイフを持ってサバイバルする公園って、フツーないだろっ!
今度は、息子に突っ込みを入れる技を伝授しようと思う。

その後も色んな動物を見て回ったけど、この公園は無料だった。
一抹の不安が頭をよぎるが、せっかくだしドイツ語が分からなかったことにして
それで済ませよう。って、これでいいのかっ?

そそくさと公園を後にしてまた帰り道を歩いていると、川ではカルガモの親子が
一列に並んで「クワッ、クワッ」と気持ちよさそうに泳いでいた。
遊歩道にはこれまた今まで見た事のない、黒色の身体をしたカタツムリがノソノソ這っている。
自転車に引かれないように、そっと端へ置いた。
遊具で子供達が遊んでいる間、ドイツでよく見かけるクロウタドリという名の鳥を
間近で見れた。

こんな何気ない一コマが、ドイツをすごく満喫している気分になる。
「ワイルドパーク」の囲いに入った動物達よりも、遥かにずっと素敵な生き物達に出会えて
今日は大満足の一日だった。



ライプチヒ歳時記-かたつむり