飛行機搭乗とデジカメの画素欠損 | 水中カメラマンのデスクワークな日々

飛行機搭乗とデジカメの画素欠損

 デジカメを持って年末年始に飛行機に乗って遠方に旅行という方も多いでしょう。
 フィルムカメラの時は、飛行機に乗る際の手荷物検査でX線によるフィルムの感光に気を使っていましたがデジタルになってその心配は無くなりました。

 しかし、デジタル機器ならではの飛行機搭乗による新たな問題がある事をご存知でしょうか?

 それは「宇宙線被爆による画素欠損

 デジカメで撮影していて(特に夜景とか黒い被写体)で、写真を拡大した時、画面に白や赤や青の小さい点、つまり画素抜け(画素欠け)を見つけた経験は無いでしょうか?

そして使っている内に、「以前より数が増えた?」なんて思った経験は無いでしょうか?

 たぶん600万画素~1000万画素超のデジカメなら、1カ所どころか10カ所前後は画素抜けはあるものです。

 もし画素抜けが見つからないとしたら、それは、ソフトによって画素欠陥を補償しているので見た目にはわからないのです。

(ちなみに、画素欠損の話はデジタルビデオでも同様です。)

 この画素欠陥、デジカメを長年使用していくうちに増えていく大きな原因は宇宙線による被爆だと考えられています。特に、「宇宙線は、航空機飛行高度の10000mでは地上の100倍以上」といわれ、 航空機内の客室でも、アルミのカメラケースでも宇宙線は突き抜けて(とうより二次宇宙線?)デジカメの撮像素子(CCDやCMOS)を攻撃しているのです。(当然人体にもですが)

 宇宙線被爆の影響はデジカメの撮像素子だけではなく高集積の半導体全てに渡る課題でして、半導体の高集積化によって高性能化した電子機器も宇宙線被爆により誤動作(ソフトエラー、ハードエラー)するリスクがあるのです。

 実例はまだ聞いた事ありませんが、メモリーもどんどん高密度高容量化していくとメモリー内の撮影データも宇宙線被爆によってエラーになる、なんて事も起こるかもしれません。

 現状、宇宙線被爆を根本的に防ぐ手段はありません。
 画素欠損が生じてしまったらソフト的になんらかの補償手段をとるのが現実的な解決方法です。
 RAW現像ソフトを使っていて感じているのは、明らかな画素欠損はRAW現像ソフトが自動認識して補償してくれているようです。おそらくコンパクトデジカメも画素欠損を自動補償している気がします。

 一眼デジカメについている「長時間露光時におけるノイズ除去機能」もノイズ除去と一緒に画素欠損を自動補償してくれているようです。

 私もD100を買った最初の頃は、非常に気になっていたのですが、最近は「気にしてもしょうがない」と全然気にしなくなりました。

 もし気になって仕方ないようでしたら、撮像素子(CCDやCMOS)を高温(40℃以上)に暖めるといいようです。
 高温だと撮像素子は宇宙線被曝を受けにくいとか。
 でも、デジカメを高温(40℃以上)に暖めて飛行機に乗るって現実的ではありませんね。
 ちなみに携帯カイロで暖めて運搬するっていう方法は、Sonyの特許です。