試合後、フェイエノールトの小野伸二選手が試合を観に来ていたので、
写真を一緒に撮った。
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サインを求められたのでサインを書いた。
そして、僕は「お互い頑張りましょう」と言って控え室に戻った。
そのあとはシャワーを浴びて、
あとの超ハイレベルな試合をみて楽しませてもらった。

次の日は昨日リング上で引退を表明したソアレスと1日中遊んだ。
家にまで招待してもらって、歓迎をうけた。
向こうの人は自分の家に呼ぶのは
本当に信頼してくれる人じゃないと入れてくれないらしい。
だから、なおさら嬉しかった。

車の中でソアレスと英語!で話したことで印象に残っている会話を話そう。

「ソアレスは子供たちもキックボクサーにするの?」

「いや無理矢理にはやらせないよ。でももし子供達がやりたいと言ったら、
俺は喜んで先生になるよ。キックでは生活できないから勧めることはできないよ。」

「でもこうやって僕達がキックを続けているのは、
それでもやっぱりキックが好きだからだよね。」

「Yes・・・Yes.Because I love kickboxing.」

「・・・・・・」

そのときのなんとも言えない表情をしていたソアレスの横顔を
僕は一生忘れないだろう。

僕はこの日1日中ソアレスと遊んで、ソアレスの人間性などを垣間見て、
一人の男として、また一人の人間として心から尊敬できる男だと思った。

本当にソアレスは良いやつだ。現役最後のサインをソアレスからもらった。
日本代表として会場では他の選手からは誰一人としてサインはもらわなかった。
自分だって、このすごい面子のなかの一人なんだから胸を張って良いだろう。
けど、ソアレスからだけは戦友としてもらっておく。もらっておくべきだった。

ソアレス現役生活お疲れ様。あなたとの激闘は本当に僕の人生の良い糧になりました。

言葉は伝わりにくかったけど、俺達は心で会話できたよね?

~アムステルダム編に続く