重力ピエロ (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
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【あらすじ】

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、

美しい母。

家族には、過去に辛い出来事があった。

その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃

事件は始まる。

連続放火と、火事を予見するような謎の

グラフィティアートの出現。

そしてそのグラフィティアートと遺伝子の

ルールの奇妙なリンク。

謎解きに乗り出した兄が遂に直面する

圧倒的な真実とは…。


【感想】

この作品の前半ではアートや遺伝子に

ついての説明に多くの行が使われています。

知識としても面白かったですが、物語の展開

につれて、隠された謎解きのキーワードに

気付きます。

加えて、人間ドラマとしても面白い作品です。

そして、この作品も他の伊坂幸太郎作品と

密かにリンクしていました。

多くのミステリー好きの読み手が伊坂幸太郎さん

を指示する理由は、物語の面白さのみならず

こういった「隠し絵」のような遊び心にもあるのでは

ないでしょうか。

伊坂幸太郎作品によく登場するセリフ、

「未来は神様のレシピで決められている」

これは、ラッシュライフでも語られていました。

このセリフの解釈は受け手によって様々ではないか

と思います。

もしも未来が神様のレシピで決められているなら…

「いくら頑張ったって意味がない」って思う人もいれば

「なるようにしかならないからくよくよするのをやめよう」

と思う人もいるかもしれません。

とにかく何度も登場するこのセリフは伊坂幸太郎さんの

お気に入りなんでしょうね。

「ラッシュライフ」を読んだ後にこの作品を読む事を

お勧めします。