その3から続きます。

 

今回は、最後に残った反町と新高島。これらは平成16(2004)年に供用が開始された地下駅であり、どちらも8連対応として建設されたという共通点があります。

なお、新高島は厳密にいうと東横線の駅ではありませんが、便宜上ここで取り上げます。

 

【反町駅】

 

地上時代の反町駅は駅前で道路をオーバークロスし、横浜方でトンネルに突っ込んでいましたが、現在の反町駅は地下駅となっています。

まずは同駅の渋谷方から。

 

 

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こちら、つまり反町駅の渋谷方は上下線とも単線のトンネルになっていて、トンネル断面が小さいため、こちらにはホームを伸ばすことはできません。できなくはないのでしょうが、大変な工事になってしまいます。

以下、上下線のトンネルをそれぞれ撮影したものです。なお、ホーム上からの撮影であり、かつフラッシュは使用しておりません。

1枚目が下り線、2枚目が上り線ですが、いずれもノーキャプションで。

 

 

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トンネル断面の関係で、余裕がないことがお分かりいただけると思います。

 

では横浜方はどうか?

こちらも、下り線→上り線の順で写真をご覧いただきます。あえてノーキャプションで。

なお、先ほどの渋谷方の写真と同様、フラッシュの使用はしていないことを申し添えておきます。

 

 

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反町駅は元住吉駅と同様、横浜方に非常用ホームが伸びているのですが、ではその幅はというと、やはり通常のホームに比べてかなり狭いものと言わざるを得ません。これ以上の拡幅も、地下駅である以上は困難でしょう。

 

よって、反町駅は「△」判定とします。

 

以上で東横線は終わりですが、横浜高速鉄道の新高島駅についても、ここで取り上げておきます。

 

【新高島駅】

 

この駅はもともとのみなとみらい線の計画にはなかった駅で、後になって(一説には工事着手後とも)追加された駅ということです。各停しか停車しないと想定されたためか、みなとみらい線の他の駅(10連対応)とは異なり、ホームは8連対応となっています。しかも、他の駅が全て島式ホームなのに対し、新高島だけは相対式ホームということも異なっています。

この駅の非常用ホームですが、新丸子駅のように両側に1両分ずつ伸びているようです。

 

まずは渋谷方から。

 

 

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細いホーム(?)が伸びている

 

ホームというにはあまりにも細い乗降台のようなものが、渋谷方に伸びているのがお分かりいただけるかと思います。

この幅では、恒常的なホームにするのは到底無理でしょう。

 

そして横浜方ですが、こちらも渋谷方と似たり寄ったりの幅です。

 

 

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かなり狭い(写真は上り線ホーム)

 

こちら側も、恒常的なホームにするのは無理だと思われます。

 

以上により、新高島駅は「×」判定です。

 

さて、これで東横線・みなとみらい線の各停しか停車しない駅の現地調査・検証を終了しました。

各駅の判定は以下のとおりです。

 

◎=都立大学、新丸子、元住吉

○=祐天寺、妙蓮寺、東白楽

△=代官山、大倉山、反町

×=白楽、新高島

 

全11駅のうち、△と×の駅が半数近くあるのには驚きました。

 

9年前に副都心線が開業したとき、メトロが自社車両で8連を用意したことについて、将来の東横線への直通の布石ということはいわれていましたが、同時に副都心線そのものの需要予測により、全列車10連では輸送力過剰になることが考慮されたといわれています。

しかし、全列車10連にした方が、車両運用も異常時のリカバリーも楽なはず。にもかかわらず、あえて全列車10連にしなかった理由は、東急東横線内の駅で、10連に対応させることがどうしても無理な駅があるためだといわれました。管理人が思うに、そのどうしても無理な駅とは、白楽と新高島ではないかと思うのです。その他の駅でも、勿論その気になれば10連対応が可能な駅もありますが、そこまでやらないということは、企業としての東急がそこまでの設備投資はしないと判断した、ということでもあります。

それなら10連に2両分の扉非扱い装置をつければいいのでは、という人も出てくるでしょうが、東急だけならまだしも、東武・西武・メトロの乗り入れ可能な全編成に対する対応の費用、誰が出すんでしょう? 扉非扱いのある駅が生じるのは東急の都合だとすれば、東急(と横浜高速)がこれらの会社の編成について改造費用を支出すべきことになるはずです。果たして東急がそこまでやるでしょうか? あるいは、やるべきなんでしょうか? そこまでするくらいなら、東急としても、10連と8連の混在もやむなし、と考える方が自然でしょう。

また、横浜高速は、神奈川県や横浜市など地方自治体が出資している第3セクターですから、そのような会社が他の企業のために費用を支出することが許されるのかという問題も、当然出てくることになります。

そのような次第で、副都心線を中心とする相互乗り入れは、10連と8連が混在する結果になったのだと思います。その結果は会社としての東急(と横浜高速)の経営判断ですから、仕方ありません。

 

そして全4回にわたる現地視察に基づく検証の結果、10連対応ができなくはないが困難な駅、そもそも無理な駅が半数近くに上るという現実を見れば、東横線各停の10連化などあり得ない、という結論しか出てきません。

 

検証は以上で終了です。お付き合いいただきありがとうございましたm(__)m