DVD特選映画◆【医療の映画】【1】・・・「ジョンQ」「赤ひげ」◆ | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。



DVD特選映画という新しいタイトルを作りました。第一回目は、既に9月10月の特選映画の冒頭でも取り上げていた「医療の映画」をまとめました。初めにこれまで取り上げたDVDとその簡単なコメントを載せておきます。そして、ここ一か月間に、このテーマで括れる過去の名作・傑作をDVDで簡単に紹介してきました。今月はさらに、もう既に公開時に映画館で見た作品、既に名作傑作として評価の高い医療分野の作品を可能な限り、場合によっては既に一度は見たが、もう一度改めて見ました。まだまだ、私の知らない名作・傑作が「医療の映画」のテーマでとりあげても良い作品があるかもしれませんが、もしそれがあるならば教えてください…。

映画は、明日の現実と悲劇と喜びと笑顔を映す鏡で
す。邦画でも洋画でもたくさんの医療映画が制作されました。その中で私が選んだ特選映画は、例えば、日本の医療が今進んでいる方向ー、市場原理によって利潤追求をとことん進める「医療の企業化」の最先端としてアメリカの医療制度を真っ向から批判した『シッコ』のドキュメンタリ―トがあり、「ジョンQ」で描かれたドラマがありますーね。

西欧の医師の倫理的伝統に「ヒポクラテスの誓い」というのがあるらしいです。医師たちは医学校を卒業するときに、古代ギリシャの「医学の父」と言われるヒポクラテスの誓詞を読み上げるそうです…。ヒポクラテスは東洋の伝統で言えば、古代中国の「華ダ」でしょうかー。伝説の名医の医術と倫理を時代劇の「赤ひげ」が体現していました…。邦画の特選映画にそれを選びました。また、臓器移植にまつわる「尊厳死」とか「死」の判定、また、群馬医大の腹腔鏡手術の失敗と死亡を聴くと、医師の使命と倫理などを考えさせる映画として『孤高のメス』は優れています。
















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王冠1●「レナードの」(1990年公開。 ペニー・マーシャル監督)…人間の精神や意識は、複雑で怪異で

神秘的な構造を持っているんだな、とつくづく感嘆させる精神病理学の映画です。もう少し詳しいコメントは以前の掲載文をご参照ください。


王冠1●「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年公開。監督:ジョージ・ミラー 。脚本:ジョージ・ミラー、ニック・エンライト )。…「ロレンツォ」は二回見ましたが、今回も映画にのめり込み魅了されました。病気を完治させる治療法も特効薬もなく、ただ死を待つしかない難病「副腎白質ジストロフィー」の新薬開発の作品です。ひとり息子・ロレンツォを助けるために、銀行家のオドーネ夫妻は、図書館に通い、世界中の研究者や医学者の文献を漁り、エルカ酸とオレイン酸を配合したオイル治療法を独自で開発するー。この難病に関する国際的シンポジウムまで開催する。


●「パッチアダムス」(1998年公開。トム・シャドヤック 監督)…自殺未遂の果て、自らの意志で精神科に入院したアダムスが後に、ヴァージニア大学の医学部に入学して、医師になり医学界の常識を覆した病院建設を志す名作でした。


王冠1王冠1●「シッコ」(2007年公開。マイケル・ムーア監督)・・・『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、1999年4月20日に発生したコロンバイン高校銃乱射事件での銃社会アメリカの問題を取ったドキュメンタリーでした。『華氏911』は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をめぐり、ブッシュ大統領を批判するドキュメントでした。そして、「シッコ」では矛盾を抱えるアメリカの医療システムにメスを入れるドキュメンタリー映画です。4700万人の無保険者を抱えるアメリカの医療システムの実態を明らかにする為に、カナダ、イギリス、フランスを訪れ、キューバをアメリカの医療問題に悩む人びとと共に訪れる…。福祉の中の「医療」制度は参考になります。キューバの医療制度は興味津々でした。


●「アフェイク」(2007年公開。ジョビー・ハロルド監督)心臓移植にかこつけて遺産詐取を狙う計画的殺人だった…と言う医療サスペンスの群を抜いた傑作でした。心臓疾患を抱えていため、今まさに心臓移植の手術するため手術台の上で全身麻酔で眠る富豪の若手実業家・クレイトンが主人公の医療ミステリー&犯罪映画の傑作ですーね。


王冠1王冠1王冠1●「ジョンQ -最後の決断-」(2002年公開。ニック・カサヴェテス監督)・・・イリノイ州シカゴの労働者、ジョン(デンゼル・ワシントン)はつい最近会社のリストラの対象となり、フルタイムからパートタイムになり、給料は半減し生活は苦しくなった。そんな時に、一人息子のマイクが野球試合中に突然倒れ、病院で診断された結果、心臓の欠陥で心臓移植しないと絶命すると診断されるー。しかし、会社が契約したジョンの保険は、高額な医療に制約のある、まして移植手術には適用されない社会保健であった。そう、アメリカには日本のような政府の「皆保険制度」はなく、企業や個人が民間保険会社と契約する保健制度しかない。デモ保険料が高く、従って収入の低い低所得階層は保険料が払えないため「無保険」の貧困層がたくさんいます。それ自体が、医療ばかりでなく政治の大きな問題ともなっています…。マイクの心臓移植をするために家財道具を売るなど病院の支払いに走ったが、病院からは非情にも治療打ち切り退院の勧告を受けるー。ジョンは最後の最後に、拳銃を持って救急病棟を占拠する心臓外科医や、その場の救急患者を人質に、息子の臓器提供の登録と心臓手術を要求する…。歴代アメリカ大統領は、何度か『皆保険制度』を導入しょうとしたが、いずれも猛烈な反対に合い、頓挫しているー。

●「21グラム」(2003年公開。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督) ・・・クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)と建築家の夫と2人の幼い娘を持つ幸せな家庭の主婦でした。ところが突然の交通事故で子供と夫を同時に失う。ジャック(ベニチオ・デル・トロ)は刑務所から出所したならず者。だが、今は敬虔な信仰を持ち2人の子供と妻を養っていた。誕生日の帰宅途中に軽い付き合いで酒を飲み、車で子供と男をひき殺す人身事故を起こす。大学で数学を教えるポール(ショーン・ペン)は余命1か月と宣告され、離婚寸前の妻と共に心臓 のドナーを待つ瀕死の病人でした。この21グラムの「心臓」をむめぐり三組の男女が偶然出逢う「心臓」サスペンスドラマです…。


●「小さな命の呼ぶとき」(2010年公開。監督:トムボーン。脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス 原作:ジータ・アナンド)…2人の子供が「ポンペ病」と呼ばれる難病に冒され、余命9年を宣告されてしまう。子供の命を何んとか助けたいという親の愛情は凄いなものだ…!賢明な努力は、医学界も製薬会社も動か、難病さえ乗り越えてしまう愛の力でした。全うできない子供の命、儚い「死」とに向き合うエネルギーは、宇宙の神秘を突き止めようとする「人類」の底力ですね…!


●「コンテイジョン」 (2011年公開。スティーヴン・ソダーバーグ監督」…蝙蝠と豚が媒介する未知の致死性感染ウイルスが猛烈な勢いで香港のマカオ賭博場からアメリカ、ヨーロッパ、世界中に拡散蔓延していく、感染ウィルスパニック映画…も見ました。この伝染病パニックで人類絶滅のストーリは、これまでさまざまに映画化されています。最早「医療と映画」のテーマとしては手垢のついた作品ですかー

ね。この恐怖の伝染病パニック映画はほかに多数名作があります。例えば、アフリカ奥地で発生した致死性を持つウィルス感染の恐怖を描いた「アウトブレイク」は最もポビラーですねー。



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王冠1王冠1王冠1◆「赤ひげ」(1965年公開。黒澤明監督。山本周五郎原作『赤ひげ診療譚』。小国英雄 他脚本)・・・ 長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本登(加山雄三)は、幕府の御番医になる希望に燃えていたが、医師見習いとして、江戸時代後期・享保改革で徳川幕府が設立した小石川養生所に住み込むことになる。しかし、養生所のうす汚く貧乏臭さと、社会の権威に対していつも怒りを吐く無骨な老医師所長・赤ひげ(三船敏郎)に嫌悪感を抱くー。しかし次第に、赤ひげの貧乏しい病人への接し方や病を診断する医術の眼と手腕の確かさに、心を動かされ、信頼心と好感を寄せていく…。黒澤映画における最後の「白黒映画作品」であり、黒澤ヒューマニズムの名作と言われるだけあって、現代医療の進むべき道、患者に向かうべき病院と医師の『倫理』がここにはあります…ね。


王冠1◆「白い巨塔」(1966年公開。山崎豊子原作小説、山本薩夫監督。橋下忍脚本)・・・敢えて社会派ドラマの山本薩夫監督、主演は田宮二郎モノクロを選んでもう一度観賞しました。大学病院内の教授選挙、医学界に渦巻く権力構造の内幕を描いた作品でした。依然、医学界や大学病院が「象牙の塔」のような権威主義に支配されているかどうかは知りません。今日、「セカンドオピニオン」とかが常識になっていますが、しかし依然として、医師と患者の間には、医師の言葉や治療に関して疑いを拒絶する「絶対権威」が存在します、それは威圧以上に、はありますね…。


王冠1◆「華岡青洲の妻」(1967年公開。有吉佐和子原作。増村保造監督。新藤兼人脚本。・・・映画やテレビドラマなど多くのがありますが、古いモノクロ映画を改めて観賞しました。華岡青洲(雲平)役に市川雷蔵、妻役に若尾文子、雲平の母役に高峰秀子、雲平の父役直道に伊藤雄之助、名優ばかりが演じています。中国の伝説的な医師「カダ」を手本にして、

母や妻を実験台にしてマンダラケの花を使って世界最初の全身麻酔を試み、乳ガンの手術に成功した医療物語です。新しい外科手術の一歩を踏み出した緊迫感がありますーね。


◆「震える舌」(1980年公開。 野村芳太郎監督)…破傷風に罹った女の子と両親の看病を描いた邦画ドラマのもあります。「破傷風」というとペストやコレラと同じくもはや文明社会から消え去った風土病のように思える病原菌が主役でした。先日の東日本豪雨による鬼怒川の堤防決壊のニュースで、泥水で汚れた自宅を片付けていた常総市の60代男性が破傷風に罹ったと診断されたという。怖いですーね…!


◆「チーム・バチスタの栄光」(2008年公開。医師・海堂尊の原作小説。中村義洋監督 )・・・心臓手術「バチスタ手術」の事故の原因を探る内部調査を任された田口(竹内結子)と、厚生労働省から派遣された役人白鳥(阿部寛)による医療サスペンス映画です。心臓施術の緊迫感と臨場感がいかにも医療映画独特です。ただ、外科医の視覚狭視が施術の失敗の原因だったーという、サスペンスにしては「何だ

よ」と呆れるあっけない陳腐な謎解きでした…。


◆「ディアドクター」(2009年公開。 西川美和監督)…村でただ一人の、僻地医師の伊野(笑福亭鶴瓶)が突然失踪する。村人から大きな信頼を受けていたが、実は彼は医師免許を持たないニセ医者だった。バレそうなので逃げた。僻地の無医村や地方の医師不足や、「医学」とは誰のために何のためにーを考えさせる作品でした。


王冠1王冠1◆「孤高のメス(2010年公開。成島出監督。大鐘稔彦原作。加藤正人脚本)・・・ピッツバーグ大学で高度な外科医術を身につけた医師・当麻鉄彦(堤真一)が地方都市の「さざなみ市民病院」に赴任した。市長大川が末期の肝硬変(柄本明)のために、吐血して倒れる。助かる道は肝臓移植だけーなので迷った末に、1997 年10月には臓器移植法が施行され、脳死の臓器ドナーからの臓器提供が可能となったが、当時まだ違法となっている生体肝肝臓移植手術を施す…。心臓移植を初め未だ国内では禁じられているために何十億という莫大な費用を準備してアメリカに渡って、移植移植手術する患者は多いで

す。現役医師・大鐘稔彦の提起する臓器移植にまつわる高度な外科医術と高額医療は、現代医療の大きな問題です…。


◆「神様のカルテ」(2011年公開。医師・夏川草介の原作小説。深川栄洋監督)…長野・松本の本庄病で、内科医として働く栗原一止(櫻井翔)。24時間365日体制で医師不足の病院でもあった。そんな彼に友人から先端医療に携われる大学病院の医局行きを勧める誘いがあった。医局に行くか行かないかで揺れる病院勤務医を描く作品。職業としての医師の生き甲斐の問題なのかなー。


◆『終の信託』(2012年公開。周防正行監督)…重度のぜんそく患者の懇願から延命治療を止めた医師の尊厳死か安楽死かの問題を描いた作品です。確かに、これも現代医学の問題ですねー。特に、末期がん患者の終末期医療の場合、常に痛みを麻酔でコントロールしながらも、薬のチューブと人工心肺などの器械で植物人間状態で延命措置はできますが、生を拒否して「死」を選択するー、そんな安楽死を「尊厳死」と呼ぶようになりました。また、心臓移植など臓器提供するドナーの「死」を判定することと、病気で苦しむ終末医療にとっても、「尊厳死」を廻る現代医療の問題としても法的問題にもなってきました。ただね、周防監督にはもっと鮮烈な医療に関する問題意識を持ってほしかったですーよ。


◆「救いたい」(2014年公開。神山征二郎監督) ・・・仙台医療センターで麻酔科医長として勤務している隆子(鈴木京香)と、開業医の夫貞一(三浦友和)の夫婦二人を主人公に、東日本大震災の時以来、自分の医院を閉めて被災地で診療所を開始する町の医者のアットホームな病院物語です。災害の際の病人を救う医療の役割は大きいです。そんなことを考えさせる映画でした。


◆「風に立つライオン」 (2015年公開。 三池崇史監督)。…ケニアの病院で医療ボランティアとして従事した実在の医師・柴田紘一郎氏の話がもとになっている。いわば、「国境なき医師団」という非政府組織 (NGOで、国際的なボランティア医師たちが、国の壁を超えて紛争地域や貧困地域、災害被災地域を中心に、世界70か国以上年間約4,700人の医療スタッフが戦場で負傷した戦士も民衆も疫病の蔓延してい

る村へ緊急医療援助しています。


★「王冠1印」は私の映画評価です、王冠1王冠1は傑作映画です。王冠1王冠1王冠1を特選映画にしました。もっといい作品がありましたら、ご紹介ください。


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文

章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…