「パイロットフィッシュ」 大崎善生 2008-047
大崎善生氏「パイロットフィッシュ」読了しました。
フィクション作品としてのデビュー作。
デビュー作にして吉川英治文学新人賞受賞作なのだそうです。
フィクション作品としてのデビュー作。
デビュー作にして吉川英治文学新人賞受賞作なのだそうです。
amazonリンク |
|
出版元 |
角川書店 |
初版刊行年月 |
2001/10 |
著者/編者 |
大崎善生 |
総評 |
21点/30点満点中 |
採点の詳細 |
ストーリ性:4点 読了感:4点 ぐいぐい:4点 キャラ立ち:3点 意外性:3点 装丁:3点 |
あらすじ |
人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない―。午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった…。記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。現在と過去を交錯させながら、出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、透明感あふれる文体で繊細に綴った、至高のロングセラー青春小説。吉川英治文学新人賞受賞作。 <<Amazonより抜粋>> |
刊行順に読んでいないのでアレですが、「アジアンタムブルー」と脇を固める登場人物や組織なんてのが一緒で、ちょっとびっくりしました。
厳密にこちらが先で「アジアンタム・・・」が後の作品なわけですが、ま~同じといってもストーリが連結しているわけでもないのであまり気になりません。
前提知識がないから、びっくりしたくらいです。
ただ、同じようなシチュエーションだっていうのが少なくとも本の印象に変化を与えているのも事実です。
その変化というのは、どうしても「アジアンタム・・・」と比較したくなっちゃうという点です。
ということで、あらすじにあるとおりの物語展開なのですが、後発の「アジアンタムブルー」と比較すると「普通の小説」なのでした。
確かに物語構成や文体などは、とても綺麗なのですね。
テーマは「孤独」。
もしくは「人の交差」。
人間の泥臭さというか悪の部分も見せてくれます(例えば、ほとんど登場することのない伊都子の存在など)が、それは象徴として必要なパーツの一つとして物語を装飾しています。
際立った部分がない分、意外とすんなり読めてしまったりもします。
ただ、ですね、やっぱり「アジアンタム・・・」と比較しちゃうと、ストーリとしての押しがイマイチ弱いんです。
たぶん、こちらを読んで、「ふむふむ、結構雰囲気良いね~」と思った後、「アジアンタムブルー」を読んで、ちょっと感動すればよかったのでしょうけど、なんせ逆の順番で読んでしまったことが仇となりました。
ということで、やっぱり刊行順で読むのが良いのです。ということを再認識しました(何回目かの)