「シャドウ」 道尾秀介 2007-085 | 流石奇屋~書評の間

「シャドウ」 道尾秀介 2007-085

続けざまに東京創元社ミステリフロンティアレーベル第27回配本「シャドウ」読了しました。
HPにいって気がつきましたが、

この作品って
*第7回 本格ミステリ大賞小説部門受賞(2007年)
*第3位『このミステリーがすごい!2007年版』国内編ベスト10
*第6位『2007 本格ミステリ・ベスト10』/国内ランキング
*第10位『週刊文春』「2006ミステリーベスト10」/国内部門
とのことです。
すごいな。

で、どうだったでしょうか?

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道尾 秀介
シャドウ
出版元
東京創元社
初版刊行年月
2006/09
著者/編者
道尾秀介
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
人間は、死んだらどうなるの?―いなくなるのよ―いなくなって、どうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? <<Amazonより抜粋>>



5章に区分けされ、かつそれぞれの章内で、登場人物目線入れ替わりの3人称で語られていきます。

前にも別の書評で述べましたが、東京創元社ミステリフロンティアレーベルって、「あらすじ」が細かいんです。
なので、あらすじまったく上記記載のとおりでいうことありません。

まず、最初に登場する鳳介の艶かしいフラッシュバック映像が、この物語の今後の陰湿さを印象付けます。
(あ~、なんか嫌な展開になりそうだよね~)と思いつつ、本読みとしてはワクワクして、読み進めていきます。
とはいえ、記事冒頭にもあるとおり、○○ミステリー第○位ってくらいですから、そんな単純な話ではありません

物語序盤から中盤辺りに見られる、亜紀の告白に、水城家のこれまた救われない事実のようなものを読まされ、一層、(たぶん、この話って、いいことないよな~)と思わされますが、これまたちゃんと収束するところに収束します。

そしてラストでは、(おぉこう来たか、ふんふん)と、ミステリ好きご満悦になるといった作品です。

登場人物があまり多くないので、ある程度の予測もできたりしちゃいますが、総じて、久々にちゃんとミスリードしたという印象を受けました。

ただ、なんだか「じと~」っとしたストーリなのですが、にもかかわらず文体は、さほど陰湿感がはないところに若干違和感がありました。
いっそのこと、とことん「じめじめ」していて良いような気がします。

どうやら著者の「向日葵の咲かない夏」も、良いらしいので、そちらも早速借り出したいと思います。