「美晴さんランナウェイ」 山本幸久 2007-083
氏の最新作「美晴さんランナウェイ」読了しました。
amazonリンク |
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出版元 |
集英社 |
初版刊行年月 |
2007/04 |
著者/編者 |
山本幸久 |
総評 |
18点/30点満点中 |
採点の詳細 |
ストーリ性:3点 読了感:2点 ぐいぐい:4点 キャラ立ち:3点 意外性:3点 装丁:3点 |
あらすじ |
破天荒だけど憎めない、“美晴叔母さん”登場!美晴さんは「適齢期」の美女ながら、何かと家を飛び出すトラブルメーカー。そんな彼女が追いかけているものとは? 彼女が巻き起こすドタバタを姪の目線で描いた、ハートウォーミングストーリー。 <<Amazonより抜粋>> |
ちょっとマッチしませんでした。
唐突に厳しい評価ですが、これは氏の過去の作品「凸凹デイズ」「はなうた日和」の好印象があったからであり、近頃の作風が私個人にマッチしないという意味です。
ですので、ここからは極めて個人的な感想です(ま、どの作品もそうですが、今回は強調します)
マッチしない最大の理由は、主人公「美晴」のキャラクター設定。
ちょっと中途半端、というよりは、なんだか普通。
破天荒なら、徹底的に破天荒であって欲しかったと、正直思います。
ダメキャラなら、とことんダメキャラであるべきではと思います。
なんだか真正面ではない。
これが27歳の家事手伝いの姿なのだと言ってしまえばそのとおりなのですが、ならば物語はいらない。
そんな感じです。
語り手でもある姪の世宇子も文中でも語るように、美晴は、「やりたい放題なのに、いざという時に逃げ出す(でも憎めない)」キャラクターであり、読み手が十分にそこを許容しなければならないわけですね。
そういう意味では、私自身の了見の狭さのようなものを露呈しているのですが、30半ばの私から見ると、純粋に「甘い」と思ってしまったということですね。
もちろん感情移入できないわけです。
正しい意味での主人公である世宇子に対しても、「許して良いものか」と思ってしまい、イマイチ感情移入できない。
いかんいかん、自分がものすごく小さい人間になってしまったような感じがします。
唯一の救いは、家族小説としてとらまえた場合の、美晴をとりまく登場人物の普通さだったりします。
ストーリは面白かったので、たとえば「東京バンドワゴン」みたく、中心を美晴ではなく、家族を中心に添えれば良かったのにと思ったりもします。
・・・いかんいかん、最後まで批判してしまった。