「世界でいちばん醜い子供」 浦賀和宏 2007-063
八木剛士シリーズの6作目です。
前作で、主人公の八木剛士がとんでもないことになってしまった後だけに、どんなストーリ展開になるものかと、ドキドキしていたのですが、(そう来ましたか)という感じです。
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出版元 |
講談社ノベルズ |
初版刊行年月 |
2007/04 |
著者/編者 |
浦賀和宏 |
総評 |
22点/30点満点中 |
採点の詳細 |
ストーリ性:3点 読了感:4点 ぐいぐい:4点 キャラ立ち:4点 意外性:4点 装丁:3点 |
あらすじ |
幸せだった純菜を、孤独な日々へと突き落とした“彼”との別れ。繋がりを失い、塞ぎ込んでいた彼女のもとへ一通の手紙が届けられる。その差出人こそ、2年前に巻き込まれた呪わしき轢き逃げ事件の関係者だった!恨み続けた犯人への手掛かりを掴んだ純菜は復讐を誓うが、同時に彼女の命は何者かの存在によって脅かされる。松浦純菜、絶体絶命の大ピンチ。<<紀伊国屋Bookwebより抜粋>> |
もう一人の主人公格である松浦純菜目線の物語でございました。
とはいっても、時系列的にはちゃんと順序をふまえていますので、その後の八木剛士も健在です。
ただ、恋違い(?)してしまった後なので、登場はほとんどなく(といいつつ、ちゃんとありますが)、サブキャラたる雨男の南部との話が中心です。
それにしてもちょっと意外だったのは、松浦純菜自身のキャラクターでした。
こんな普通の女の子だったのだろうかと、手元に過去の作品がないだけに歯がゆい思いがしますが、印象としてはもっと「ちゃんとしていた」(正しくは「陰のある」)ような気がしました。
にもかかわらず、本作の松浦純菜は、やれ南部にはハニートラップな態度(でもないけど)をとってみたり、やれお気に入りのバンドのメンバーに誘われれば、のこのことついていったり、やれ大トロのおいしさに普通以上のリアクションをしたりします。
この辺りのギャップを感じた方も多かったと思いますが、一方で、勝手に思い込んでいないかとドキドキしたります。
結局のところ、松浦純菜目線である以上、(実は心の中ではそう思っている)ということであり、妄想に妄想を重ねる八木目線からみ松浦純菜像とは違うのは当たり前だったりもするのですね。
ということは、シリーズがここまできて、改めて私が八木剛士の思いと見事にシンクロしてしまっていたという結末なのでした。
物語としてはちゃんと進行していますし、次作もちゃんとあるようなので、ちゃんと追ってみたいと思います。