湿った夏を好きになる理由
部屋とYシャツと佐藤光留です。
いよいよ今年も開催が発表されました、真夏の風物詩・ニコプロpresents佐藤光留自主興行「変態の逆襲」富士通スタジアム川崎大会。略して「川崎」。
何を間違ったか5回目の開催になってしまいました本大会。元々はコロナ禍でプロレスが開催できず、さらに声を出しての観戦が出来ないというのを覆したくて開催したのが2020年。屋外で椅子も並べず各々が距離を取ってプロレス見れば良いじゃないという事で、川村に「プロレスさせてくれる草野球場ないかね」と言ったところ富士通スタジアム川崎を持ってきた…というもの。
自身の20周年とハードヒットのトーナメントを同時に開催したりした結果、富士通スタジアム川崎側がえらい「佐藤光留のプロレス」を受け入れて頂けましてね。なんやかんやで今回5回目ですよ奥さん。ちなみに日本プロレス史上、同日スタジアム興行決戦になったのは2020年の富士通スタジアム川崎VS新日本プロレスの神宮大会。インディーを超えてマイナー村代表・佐藤光留として、自分の20周年興行がこのようなアレになったのは何よりの記念でございました。
団体ではないので、この年に1度のビッグマッチを目指してプロレスをしている訳ではないです。が、やはり川崎大会がひとつの頂点である事は間違いありません。電流爆破を誘致したり、鈴木さんにメインを託したり。昨年は新日本プロレスよりエル・デスペラード選手を呼んで、スタジアム全体でプロレス出来たのは「我々にしか許されない遊び」だったんだなと6月のデスペラード興行を引用して自分の大きく見せました大変申し訳ありません。でも、川崎球場にプロレスを通じて「夢」というものを見にきてくれた1戦は今でも忘れる事は出来ません。
やった本人が忘れられないのだから、見ていた方はさらに忘れられません。昨年9月は100万回ぐらい「来年の川崎、絶対見に行きます」と言われたもんです。まだやるかどうか(やれるかどうか)も不明なのに、あの雰囲気を感じようとしてくれるのは本当に有り難い事。かといって、どんどんとゲストを豪快にして巨大イベントにはしないぞ。でも儲けるにはゲスト呼んだ方がいいんだよな。あんだけ「週刊誌の評価なんか捨てた」とか言っても、載るとちょっと嬉しいんだよな…。様々な欲望とも脳内会議を続けながら、今年も伝統の川崎大会の準備を続けました。
しかし。
しかしである。
今年は開催のピンチと言ってもいいほど、選手が集まりません。プロレスで選手が集まらないという事はどういう事か。それはもう「絶望」です。選手いねぇんだから。牛丼作るのに牛肉ねぇのと同じよ。ミスター味っ子の虎寿司回か。
誰が出れないとは言いません。なのでヒントで。プロ◯ス王出れません。長渕剛好きな坊主出れません。柔道が強い女子選手(100kg)出れません。北海道函館市観光大使出れません。他にも佐藤光留興行を彩ってくれたレギュラーメンバー、全然出れません。極めつけは川村です。
あのチ◯コ野郎、パンクラスの興行があるので出れませんときたもんだ。別に試合する訳じゃないんだよね??でもパンクラスの人間なので…という事で、伝統の1戦は「川村が仕事を優先せざるを得なかったため」という必要以上にインディー臭ぇ理由で立花の不戦勝となりました。
とはいえ思いました。川村はともかく、プロレスラーが試合があるので出れませんというのは良い事です。自分自身も食えない時間も長かったですし、将来の保証も一切無い現在。とにかくプロレスラーが試合があるのは歓迎される事です。自分の興行的に困ったなと思う反面、プロレスはまだまだ続いていくんだなと思いました。
そして今回の川崎大会は、ハッキリ言って飛躍のチャンスです。
これだけ佐藤光留が「人がいねぇ」と困っています。今回の川崎大会で活躍してくれたら、地下プロレス界隈で評価爆上がりです。いろんな大会の控え室で佐藤光留ってうるさいですからね。「こないだ◯◯って選手がね」という話し、全日本プロレスの専務相手に直接言いますからね。
ファンの人も、常に新しいニューヒーローを探しています。名のある選手がいない川崎大会では、期待値横一線。より濃く「今日は誰が飛び出るのか」を期待しています。なんなら来年から川崎球場といえば佐藤光留ではなく◯◯だと呼ばれる選手が出てきても、それは佐藤光留の本望です。
今は亡き川村に代わって、川崎球場で立花誠吾とダークマッチで闘える権利を得るための興行を行います。7月12日、場所は東京ZOO。この日は「立花誠吾との対戦出来る権利争奪ランブル」のワンマッチ興行。佐藤光留はダークマッチでXと対戦。現在、このランブルに出場する選手を絶賛募集中でございます。どうにかして佐藤光留まで連絡をしてきてください。現在、出場が決定しているのは斎藤拓海と塚本竜馬のみ。「夢を掴む」なんて生やさしい表現では表せないのが、プロレス界の夢です。どうせ怒られるのなら、お客さんのために出過ぎて怒られろ。自分の夢を他人に任せるな。
明日のプロレス界を作るプロレスラーからのご応募、お待ちしております。あ、川崎大会に出て良いよというプロレスラーからのご連絡も超お待ちしております(切実)。
ニコプロpresents「ロード2川崎」東京ZOO大会
日時・2024年7月12日19時開場19時半開始
料金・3500円(当日券のみ)
決定カード
ダークマッチ(開場中に開催)
佐藤光留VS「X」
メインイベント
8月25日の富士通スタジアム川崎、ダークマッチで立花誠吾との対戦権利争奪時間差ランブル時間無制限1本勝負
参戦決定選手
・斉藤拓海(花鳥風月)
・塚本竜馬(フリー)
参戦選手募集中。佐藤光留まで連絡されたし。
恩人を殴るには拳が必要か
12ヶ月連続興行を遂行中の2024年も6月で折り返し。「歳をとると時間が過ぎるのを早く感じる」と言われたら、それは体感時間が影響しているんですよと説明したくなる43歳になってしまっていた2024年の折り返しです。
なんとか1月から6月までは興行が決まりました。7月はロードto川崎、8月は川崎、9月はハードヒットを大きな場所でやりたい。10月はインディージュニアかな。11月は名古屋で、いよいよ12月に何をやるか考えるようになりました。
「幸せ」とは何かを考えるようになったなんて書きましたが、それは考えれる場所があるからです。屋根と壁があって雨風が凌げる。食事が出来てスマホで文章がかける。当たり前のようですが、これはとても幸運な事です。
20代の頃、風呂無しアパートに住んでいて、とにかく金が無かった事は書きました。植田まさしの漫画を読み過ぎていたので苦しくはありませんでしたが、ふとした瞬間に自分の将来を案じるには十分過ぎる環境でした。
そんな中やってきたパンクラスの契約更改。とはいえ自分の契約は選手としてというより、道場で格闘技を教えるインストラクターとしての契約がほとんどでした。ただその年は、パンクラスの人に「プロレスがやりたい」と口走ったのです。
その数日後、道場に来た鈴木さんから「お前、プロレスやりてぇとか言ったらしいな」と言われ真冬の屋外階段に呼び出されました。
それはそれは怒られました。怒鳴ったり殴られたりするなら、まだそっちの方がマシです。鈴木さんから理詰めで行動の矛盾を指摘され、ただただ項垂れるだけの1時間。そして「はい」「すみません」と言うと、それが何に対しての返事なのか、そして謝罪なのかを詰められ1時間。合計2時間、半袖短パンで怒られました。ちなみに鈴木さんも同じ服装でした。
それでも翌週の月曜日から、鈴木さんは「練習行くぞ」と言ってくれました。当時は馬車道にあるゴールドジムに2人で行って、蕎麦屋で昼飯を食うのがルーティンでした。ただその日は、蕎麦屋の後に鈴木さんの車に乗って先週の続きを話さなければなりませんでした。
が、意外にも鈴木さんから怒りは感じませんでした。だからといって許された雰囲気も皆無でしたが、少なくとも鈴木さんから話された言葉は自分にとって意外なものでした。
「DDT、大日本、KAIENTAIなら話しする事なら出来るかも」
それは紹介して試合をさせたい…ではなく、そういう人間がいるよと話すという意味である事は口調からわかりました。が、それでも自分には有り難い話しでした。何より鈴木さんに怒られなかった事が、当時の自分には意外でした。
そして奇妙な出来事はここから始まります。
その話しをしていた時、鈴木さんの携帯電話が鳴りました。ガラゲーの小窓には「高木三四郎」の文字。
DDTがUWFに近いスポーツライクな新ブランド「ハードヒット」を立ち上げる。そこで鈴木さんのとこにいる、メイド服を着た子は試合出たりしませんかね?
という内容の電話だった。
電話を切った後、鈴木さんがひとこと「こういうタイミングなんだろうな」と言ったのを今でも覚えています。
鈴木さんからプロレス転向を許可されるかどうか曖昧な最中、プロレスの試合をオファーしてきてくれた人がいる。こんなドラマのような話しは、DDTの社長(当時)だった高木三四郎さんがいてくれたからこそ起きた奇跡だった。
それからハードヒットに出場した佐藤光留は、いつの間にかDDTに潜り込んでプロレスに染まっていった。いつしかDDTは離れたが、試合用のタイツに「旅」と入れているのは、今の佐藤光留はDDTから旅に出ているという事を示し続けているからだ。
そんな高木さんが休養に入るらしい。理由はわからないが、もしかしたら2度と対戦出来ないかもしれない。引退したら必ず戻ってくるのに、休養したら戻って来ない気がする。プロレスラーとは不思議な生き物だ。
そんな高木さんと、休養前に闘いたい。じゃあどこで闘う?と考えた時、このインディー界で生き続けた佐藤光留のホームを見せたいと思った。
決して華々しくは無かったが、どうやら佐藤光留は妙な事をして生き延びているらしい。それが出来たのは、当時のDDTにいたからだ。ビアガーデン、オールナイトプロレス、そして路上。ありとあらゆる「マジかよ」を実現させてきたDDTにいた佐藤光留の、ホームで高木さんを迎え撃ちたいと思った。
ホーム。ホーム…ってどこやろ。ハードヒット?いやそれなんか違うな。インディージュニア?コレもしっくり来ないな。JEEEP?そもそも高木さんて長渕聴くのかな?
ホーム?ホーム…?ホーム……って、家って意味か。
そうか!家でプロレスやりゃ良いんだ!
新幹線でまでプロレスをやった高木三四郎を、ケツから火が出るぐらいビビらせたい。早速岡山の実家に「家でプロレスやりたいんだけど」と言うと「何日?」とスケジュールから聞き返してきやがった。可否の選択すら無いなんて、これはもうこういうタイミングなんだろうな。
かくしてプロレス界初の「実家プロレス」は開催が決定した。以下、参加要項なので穴に目が開くぐらい繰り返し読め。
☆ニコプロpresents「実家プロレス」
日時・2024年6月21日(金)12時〜13時開始
場所・佐藤光留実家
チケット料金・33,000円(5人限定)※食事付き
対戦カード
(株)新太平洋運輸
RYSKパートナーズ
デッドリフ太郎
presents
時間無制限1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)
VS
高木三四郎(DDT)
・試合開始は昼頃(来場者に通知)
・集合場所は来場者に通知
・チケットは5名以上の応募で抽選。観戦希望者は佐藤光留まで「氏名」「電話番号」「希望人数」を明記のうえ f5r6i5d1a3x1y0@ezweb.ne.jp までメールしてください
・締切は5月31日23時59分
・試合の模様はニコプロで後日PPV放送予定
・「普通に買える」DVD化も予定
また今大会では個人スポンサーを募集しております。お礼として、佐藤光留から直接お手紙を送らせていただきます。今回はたまたま家に便箋がありましたので普通のお手紙です。右手で書いた手紙が11,000円、左手で書いた手紙が16,500円となる予定です。詳しくは佐藤光留のSNSを監視し続けてください。
高木三四郎は、どんな場所でプロレスをしても「夢」と「現実=収益」を勝ち取ってきた。現時点では、高木三四郎は新幹線(自由席)で岡山入り。佐藤光留はレフリーを乗せて自家用車で夜走りである。
チケットが5枚売れ、個人スポンサーが良い感じでつけば高木さんはグリーン車に。佐藤光留はレフリー乗せて自家用車で昼走りに。助っ人も呼べるかもしれない。利益はPPVとDVDで出す作戦でいこうじゃないか。
休業が決まっても精力的にリング…じゃないところで試合している高木三四郎を、岡山の用水路に突っ込んでやる。
それが佐藤光留の恩返しである。嘘です。本当です。嘘です。
コンプライアンスの素揚げ(得)
しかるべき佐藤光留です。
2024年は毎月興行やったるんやと息巻いてからというもの、忙しさは例年をグンと超えてきました。今年に入って5000回ほど「そんなに無理してやらなくてもいい」と言われる妄想をして逃げようとしました。
実際、特に12ヶ月連続で興行やんなくたって誰に怒られるものでもないと思います。じゃあ何でやるのかって、やはり自分自身が「やりたい」と思ったから。
そんなもんかと思われますが、最近は「幸せ」というものについてよく考えるようになりました。
以前はお金をたくさん稼いでいる事が幸せだと思っていました。大きな団体で大きなタイトルを取って大きく雑誌に載って。外車に載って高い服を着る事は、少なくとも悪には思いませんでした。
が、最近は全く別の価値観が生まれてきました。もちろんお金は大事です。が、だいたい金持ちってのは他人と自分を比べて優越感にビタビタ浸る訳です。そして自分より収入や財産の少ない人を見下し幸せを感じるのです。自分もそれが普通だと思っていました。
でも考えてみてください。その理論でいくと、世界で1番のお金持ち以外は全員不幸です。で、だいたい世界で◯番目の金持ちなんて人々は、躍起になって自分より金持ちな人を引き摺り下ろそうとしたりはしません。
お金の価値は毎日変わります。今は円が非常に安く、原宿なんて外国人観光客ばかりです。その中で日本人が日本人を相手に「俺の方が金持ち」と言い続けています。他人の財産をニュースにして自分の収入にしています。
お金は大切です。でも、それだけで「幸せ」かどうかはわかりません。
というか、そもそも「幸せ」とはなんなのか。43歳で、なかなか気持ち悪い事を考えるようになりました。そんな時に見たのが漫才協会の映画です。
佐藤光留が大好きナイツの塙さんが監督を務めたアレです。
芸人の中で「面白い」「面白くない」を、ずっとテレビに出ている芸人さんの中で決めていました。が、そもそもテレビに出ない芸人さんもいるのです。もちろんテレビに出れない芸人さんもいますが、主戦場がテレビでない芸人さんというのは非常に多いのです。その芸人さんの尖った芸風は、本当に心を撃ち抜くレベルでした。
もうお亡くなりになってしまいましたが、ナンセンスのエピソードは自分のプロレス観に大きな影響を与えてくれました。
「赤上げて、白上げない」でお馴染みの旗揚げゲームの創造主であったナンセンス。大ベテランでしたが、ツッコミの原田さんは認知症が進んでしまい、「俺のセリフなんだっけな」と舞台上で聞くのです。しかしボケの岸野さんは耳が遠く、直立不動のまま前を向いていたそうです。
この話しを聞いた時は、本当に立てなくなるぐらい笑いました。同時に「人の病気を笑うんじゃない」という人もいましたが、よくよく考えていただきたい。
なんでそんな年齢にもなって、ナンセンスは舞台に立っていたのか。それはもう「舞台に立ちたかったから」です。作り上げたネタを披露して笑いをとった訳ではないかもしれませんし、きっとテレビにも出せない笑いだったと思います。それでも舞台に立つ事は「幸せ」だったと思います。
プロレスラーにとっても、リングの上は日常であり目標であり仕事場です。そこに立てなくなった時の事を考えたら、それはとても幸せとは思えませんでした。
もちろんたくさん稼げたら嬉しいですが、そこにプロレスのない人生が自分に送れるとは思いません。やりたい事が出来るのも幸せですが、そのための困難が訪れる事もまた幸せ。プロレスに携われなければ、それはもう幸せではないのです。
12ヶ月連続興行は、すぐにすぐ達成出来る目標ではありません。何億円あっても、誰かに任せて「佐藤光留自主興行」とは言いたくない。自分で会場を取り、自分でチケットを発注する事でしか快楽を得れない。それを12ヶ月、1年続ける事でしか達成出来ないのです。
煌めく86を車屋で見た時、それに自分が乗る姿を想像した時の期待と興奮。それが困難と同時にやってくるのです。1日2日、たった1時間根詰まっただけで「もうやめた」なんて言ってなるものかという話しです。
4月は「NO COMPLIANCE PRO-WRESTLINGプレ旗揚げ戦」です。
ただでさえ専門誌に取材もされない佐藤光留興行ですが、さらにコンプライアンスだらけで表立って出来なくなったプロレスをギリギリのラインでやってみようという悪ふ…革新的な興行です。
今回はプレ旗揚げなので、PPVがあります。もちろん本格的にダメな時は「しばらくお待ちください」です。テーマ曲含め、会場でしか全貌は見れません。
他人にどう思われたって良いです。佐藤光留は自分のプロレスを誰とも比べません。自分自身は1人だけなのです。怖さはあります。常に収支が神経をすり減らしてきます。
その全てを手に持って、リングでばら撒いて火を付けてコンプライアンスを香ばしく調理したやります。恨みは忘れねぇからな。それとこれとは話しが別だからな。覚悟しろコンプライアンス。
クロダイの餌にしてやる。
ニコプロpresents「NO COMPLIANCE PRO-WRESTLINGプレ旗揚げ戦」
ベースメントモンスター王子大会
2024年4月27日
開場 0時00分
開始 3時00分
チケット料金
当日券のみ5500円
参戦選手
佐藤光留
「2」
佐野直
阿部史典
岡田剛史
若松大樹
チチャリート翔暉
斎藤拓海
塚本竜馬