Believe 28 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

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つながる花2Believe1/27




Believe 28 /Side-S





「なんでしょぉちゃんが泣くの?」




ボヤけた視界の中の雅紀が飛び起きて

肩を掴まれる。




「しょぉちゃん?」




だってさ



だって、雅紀だってキツイだろ?

俺が言えたことじゃねーけど




あぁダメだ、全然前向きになれねェ

マジ
何でこんな事になっちまったんだろう

全部全部、夢だったら良かったのに




信じていて欲しいけど

コトの成り行き次第では最悪のパターンになる可能性も否めないなんてさ


そんなんで雅紀を縛っていいのか?


強く引き留めらんねー自分が情けねェよ

っつーか

さすがにそんな俺には愛想を尽かしたっておかしくねーよな



あぁクソ、考えが纏まんねェ


俺には雅紀しかいないのに

俺には雅紀だけなのに


雅紀は俺に愛想を尽かすのか?

雅紀は俺と別れることを選ぶのか・・・?



だから、それで目を合わせらんねーのか・・・?




「・・・違うよな?考えてないよな?」




俺から諦めてやれねーんだ


情けねーけど、此の期に及んで俺は雅紀を離してやれねーんだよ



雅紀の幸せを願いながら

己の欲望を断ち切れないこの諦めの悪さに


情けなくて

申し訳なくて


涙が零れた。




「なに、を・・・?」




雅紀が眉を潜める。




「悪ィ・・・、

何でも言ってなんてウソだ俺・・・、」




それだけ口をついて出て、

どうしても

雅紀がしたかもしれない覚悟を聞き出すことが怖くてできずに黙り込む。



雅紀も、

察したのかどうか・・・、


言葉を続けようとしない。




長い、沈黙。




ヤベェ気持ち悪くなってきた。


確かめるか?


いや怖ェよ

でもいつまでも逃げてもいらんねーし



雅紀が



自分の気持ちより俺の立場を優先しようとする雅紀が、



万が一、俺との別れを考えていても・・・


やっぱり雅紀と一緒にいたい。



先の分かんねー可能性なんて気にしてたら何もできなくなっちまうだろ


そう、大事なのは今俺がどうしたいか。


そうだろ?俺!




雅紀がどう答えようと引き寄せる覚悟を決めて


禁句のような存在だったソレを聞いてみた。




「雅紀、・・・まさか俺と別れるなんて言わないよな?」



「えっ───、」




雅紀が困惑してる・・・




「身を引こうなんて、思ってないよな・・・?」




あぁ、心が折れそうだ。



カラカラになった喉をクゥと鳴らして、



ない唾を、


飲み込んだ。




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