AKB48妄想小説 あの日の出来事 | 指オタクオリティー

AKB48妄想小説 あの日の出来事


夏休み前で昼間はすごく蒸し暑かったけど夜になり一気に気温が下がった日がありました。

「お疲れ様です~ありがとうございました」

りえちゃん(北原里英)が顔見知りのスタッフに挨拶していたのを見て、私(指原莉乃)と

みゃお(宮崎美穂)と萌乃ちゃん(仁藤萌乃)も一緒に頭をさげてラジオ局を出ました。

4人でレギュラーを務めているラジオ番組も今日で最後になりました。

そんな事もあり名残惜しいのかみゃおが「そうだ!あの店にご飯食べに行こうよ」と

提案してきました。番組自体は深夜に終るので、その帰りによくラーメン屋さんに寄って

夕食をとって将来の自分達がAKB48でこうなりたいと語り明かしたものです。

その流れなのですが今日は最後なのでいつもと違う店にしようと提案したのだと思います。

みゃおが提案したそのお店と言うのは以前ロケでその店の前を通り掛かり気になっていて

何かと言えば私達の間で話題になっていたお店なのです。

ただそのお店に行くのにも問題があったのです。

お店の場所は東京と言うにはあまりにも田舎の場所にあり

電車で動く今の私達では行けない場所にあったのです。

普段なら私とりえちゃんを受け持つマネージャーさんとは、ここで解散なのですが

最後と言う事もありダメ元でお願いしてみるとマネージャーさんの車で一緒に

行ってくれる事を承諾してくれました。

私達は今日でレギュラー番組が最後と言う事でテンションがおかしく

喜んでいるのか泣いているのか自分達も分からないぐらいでしたが、

まだ4人でいれると言う事に束の間の安堵を感じていました。



車で高速に乗り1時間も掛からずに目的のインターを降りました。

当時のマネージャーさんの車はナビなんてモノは無く、

助手席に乗るりえちゃんが見る地図頼みでしたが意外にもスムーズに進みました。

ところが暗くて看板を見逃したのか、りえちゃんが間違えたのか分かりませんが、

どうやら違う道に出てしまったようです。

車を駐車エリアに停めルームランプをつけてマネージャーさんが

地図を確認するとこの先で目的の道路と合流するのが分かりました。

「りえちゃん、この先の合流地点は細い道と細い道の合流だから絶対見逃さないでね」

「うん。分かった。もう道路しか見ないね」「頼むわよ」

車の中でそのやり取りを聞いていた私達は全員で爆笑しました。

「ところで、その店ってこんな時間にやってるの?」

その店を知らないマネージャーさんが今さらそんな事を聞いてきたので

「大丈夫ですよ。看板に24時間って書いてありました」

みゃおがドヤ顔で答えたところで、また爆笑しました。

車の中はまるでラジオ番組の続きかのようにず~とミンナで話していました。

車は相変わらず暗い道路を走り続けていましたが先の信号が赤になり停止しました。

「こんな所に信号の意味なんてあるのかな?」

萌乃ちゃんが呟く通り辺りには民家らしいものは何も見当たりません。

数メートル先は真っ暗で何も見えませんが、もしかしたら生活道路のようなものなのでしょうか。

私がふと前を向くと愕然としました。

それは先ほど辺りを見回したときには誰もいなかったはずなのに車の運転手席側の前の方に

白い浴衣?らしきものを着た女性がコチラを向いて立っていたのです。

私は乗用車の後部座席真ん中に座り助手席側が萌乃ちゃんで運転手席後ろがみゃおでした。

みゃおはマネージャーさんで見えなかったようですが、萌乃ちゃんも気付き

「何?この人・・・」そう言って私の手を握りました。

「ちょっと危ない人かな?」りえちゃんがマネージャーさんに言うと

「後ろの鍵閉めてね。窓も開けちゃダメだよ」振り返らずにそう言いました。

私が鍵を見ると両方してあったのでホッとしたのですがみゃおの方の窓が少し開いていました。

あっ!と思ったのですが外にいる女性が運転手席に近寄ってきました。

その間に信号が青に変わったのですが外の女性がどう動くか分かりませんので車を出すのは

危ないと判断したマネージャーさんはほんの少しだけ窓を開け「危ないですよ」と声を掛けました。

女性は運転手席の窓に顔を寄せて中にいる私達をジーと見ていました。

マネージャーさんがもう1度、「危ないですよ」と声を掛けるとその女性は

「いいのよ轢いても」と答えました。

辺りは真っ暗で深夜です。

色々考えてもおかしい状況に耐え切れず私達が悲鳴を上げると

マネージャーさんは車を急発進させました。

怖くて後ろを見れない私達ですが、しばらく車を走らせたところで

「一体、何だったんだろね?」マネージャーさんが口を開きました。

その一言で堰を切ったように私達は思い思いの恐怖を話しました。



やっと落ち着きかけたところで、りえちゃんが「これって今、ドコに向かって走ってるんだろ?」

「う~ん。場所は分からないけどさっきの道を真っ直ぐで道なりの場所だと思うよ」

マネージャーさんが答えました。

そうです先ほどのパニックでおそらく合流しなければいけない場所を当に過ぎてしまったのです。

それでもルームランプの僅かな光で地図を一生懸命見るりえちゃんが「この先に郵便局があるかも」

「うん。分かった。みんな私だけだと見落とすかもしれないから、ちゃんと見ててね」

マネージャーさんがそう言うと、もう食事どころじゃない私達は懸命に窓の外を見ました。

しばらく車が走るとようやく村っぽい場所に出たみたいで古そうな民家がポツポツ建っていました。

私達もそれを見て一安心したのか急に喉が乾きました。

前方に灯りと言うかまるで舞台の照明ぐらいに光っている自販機コーナーを見つけたので

停止して全員でジュースを買いました。

時間は深夜なので村を出歩く人はいませんでしたが家によっては

電気も点いていたのでそれを見て本当に安心しました。

おなかも空いていたのでジュースがいつも以上に美味しく感じました。

このまま来た道は戻りたくないと全員一致で遠回りになりますが帰る事になりました。

車に乗り込み一本道を先に進み出すと先ほど、りえちゃんが言っていた郵便局がありました。

これで地図上で自分達が居る場所をようやく確認出来た訳です。



「しかしさっきの人、何だんたんだろう」みゃおが思い出したように口を開きました。

私は怖かったので早く忘れたかったのですが顔色が悪く痩せ細った女性、老婆じゃなく中年の

女性でした。白っぽい浴衣も白一色ではなく紺の柄が入っていましたので心霊体験等でよく聞く

白装束ではなかったです。またみんなは気付いたかどうか分かりませんがその女性は裸足でした。

もしかしたらあの近所に住む女性で酔っ払っていたのでは?という結論に至りミンナはそれで

安心するかのように少しずつ笑顔を見せ始めました。

周りの景色を見ると村を抜けたようで、また真っ暗の中を走り続けていましたが

次に曲がる所の看板も出ていましたし何より止まることなく順調に走っているのをどこか安全だと

考えホッとしていたのかもしれません。ところが・・・マネージャーさんが小さい声で悲鳴を上げ

「みっミンナ!下向いて!」と突然言い出しました。私達は訳も分からず下を向きましたが

「どうしたの?」「・・・」「どうしたんですか?」「もう顔を上げていいわよ」

時間にしたら数秒の出来事でしたが何十分も下を向いていた感覚でした。

「一体どうしたんですか?」りえちゃんが話しかけるとマネージャーさんは顔を真っ青にして

「さっきの人がコッチを向いて立ってたの・・・」「そっそんなバカな。さっきの場所から何キロ

離れているんですか?徒歩でココまで来るのは不可能でしょ。違う人と見間違えたんじゃない」

「うっうん。うん。きっとそうだね。見間違えたかも・・・」

マネージャーさんが唇を震わせて答えたのを聞いて私達は見間違いじゃないと確信しました。

よく考えれば街灯も無く真っ暗な田舎道、付近に建物や灯りも見えない。車だってさっきから

1台もすれ違わない場所に深夜、浴衣を着た女性が1人で出歩くなんて不自然すぎる。

ミンナは声こそ出さないけど一つの答えを出していると思うし、それは全員一致しているだろう。

(何でこんな事に)私は不安な気持ちを払拭するかのように「もうそろそろ曲がるトコだよね?」

少し大きめに声を出しました。その声に反応したかのようにりえちゃんは地図を見て

「うん。あともう少し」と振り向き精一杯の作り笑顔をしました。

ミンナも不安だったのか、先ほどの事は一切、触れず東京に帰ってラーメンを食べようなんて

話をしていました。さすがにマネージャーさんは笑いはしませんでしたが会話に参加してきました。

しばらくすると曲がる予定の道路に出ました。

あとは曲がって道なりに進めば帰れるらしいので少し安心しました。

それからは何事も無く車は順調に走りました。マネージャーさんがふと

「さっきの場所って墓地があった所かもね」そう言って前方を指差しました。

私達は全員で前方の古い木の看板に書かれたOX墓地と言う字を見て心の中で納得しました。

もちろん、それが答えだとしても今の状況では話せる気にはなりませんが

何故か先ほど不安に思ったものの答えが導き出されホッとしていました。

「あれ?このまま行けば、目的のお店につけるよ」

りえちゃんが急に弾むような声で言ったのを聞いて

「そうなの?それなら行こうよ!」みゃおが答え「そう言えばお腹空いちゃったね」萌乃ちゃんも

店に行く事に同意しました。私はマネージャーさんに「大丈夫?」と聞くと。

「うん。大丈夫だよ。お腹空いたね~」笑顔で答えてくれました。

ミンナが心配していたマネージャーさんの笑顔を見て更に安心したのか

私達はラジオ番組の続きかのように話していました。

しばらくすると遠くですが目的のお店のような感じの灯りが見えました。

「やっとご飯食べれる!」りえちゃんが嬉しそうに言うと車が急停車しました。

私達は何事かと思い「どうしたの?」とマネージャーさんに聞くと

「分からない、急にエンジンが止まっちゃった・・・」「エンジンが?」「うん。急に」

マネージャーさんは、そう言いながら車のカギを回しエンジンを掛けようとしていましたが

一向に掛からず「あれ?おかしいな」そう呟いていました。

私は急に不安になりましたが先ほどとは違い道路の前方も後方も街灯でハッキリ見えているし

何よりトンネルの中なので明るいのです。よく聞くトンネルの心霊体験のような場所とは違い

道も出来たばかりなのか新しいですしルームライトが無くても地図が見れるくらい明るいので

エンジンが掛からない不安はありましたが、先ほどのような事はないだろうと思っていました。

そのうちりえちゃんが「もう少しであのお店だから車をここに置いて歩く?」

「それで車屋さん呼んでもらえば良いか」みゃおが提案しました。

「うん。そうだね。でもココだとマズイからもう少し端に車を寄せないと」

マネージャーさんが言うので「じゃ~私達が車を押すから端に寄せて」と言い車から降りました。

ミンナは先ほどの不安を拭い去った訳じゃなく恐る恐る車から降りましたが何事もなく

後ろや前を確認しながら車の後方に移動しました。

「じゃ~行くよ!せっーの」みゃおはいつもと変わらない感じで声を出しました。

車は最初こそ重かったですが動き出してしまえば軽くなり問題なく端に寄せて停車出来ました。

「よし、あそこまで歩こう!」みゃおがそう言うと私達も

不安はありましたが笑顔で「おお!」と答えました。

ところがマネージャーさんは一向に車を降りてきません。

どうしたのかと思い「早く行こうよ」と声を掛けましたが1人真っ青な顔をしていた

マネージャーさんにミンナ同時に気付き「どうしたの?」と

言いながら道路の前方や後方を見ました。

もしかしたら先ほどの人が見えていたら怖いと思っての行動です。

でもそれらしき人影も見当たりません。私達は車に近付き窓の開いている運転手席に近付きました。

「何もないよ」私がそう言いマネージャーさんに近寄ると唇を震わせて

「み、み、みんな頼みがあるの・・・」「頼み?」

とにかくその表情が尋常じゃない事だけを物語っていましたが

何に対して怯えているのか私達は全く分かりませんでした。

「う、う、うん。頼み・・・みんな絶対に逃げないで・・・」「逃げない?何のこと」

4人でマネージャーさんに近寄ると「し、下にいるの・・・」「下?何が?」

そう言ってマネージャーさんの足元を見ると先ほどの女性がマネージャーさんの足を掴んでいました。

私達は誰かが上げた悲鳴と共にあのお店に向かって逃げ出してしまったのです。

そうマネージャーさんをその場所に置いて。

私達は怖くて必死になって走りました。

今、思えばあんな距離をよく全力疾走出来たな~と思えるほどです。

私達は灯りを元に目的のお店の中に入り助けを求めました。

幸いにもお店の中には数人の男性客がいましたので一緒に車まで行ってもらい

マネージャーさんを助け出し、その日は萌乃ちゃんのマネージャーさんと私達の

事務所の人が迎えに来てくれて帰れました。



数日後、何事も無かったように過ごしていた私達ですが

急に新しいマネージャーさんが付きました。

不思議に思ったりえちゃんが「前のマネージャーさんは?」と聞くと、

どうやら体調を崩したようで入院したとの事でした。

私達はあの場に置いてきてしまった事を心のドコかに引っ掛かっていて

申し訳ない気持ちがありました。

それをりえちゃんに言うと「なら、お見舞い行こうよ」と言ったので2人で病院に行きました。

病室に入る前にちょうどご家族がいらっしゃったので挨拶すると

記憶障害なのか原因はハッキリ分からないらしいのですが

自分が誰だか分からないらしく、言葉もままならないとの事でした。

それでもせっかく来たので、せめて顔だけでも見ようとご家族と病室に入りました。

マネージャーさんは私達が入ってきた事も意にとめずベットの上で正座していて

ヘラヘラ笑っているように見えました。

「ゴメンね。こんなんだから・・・」

ご家族がそう言ったので持ってきた花束を渡し次の仕事もあるので

挨拶だけをして病室を出ようとするとマネージャーさんは急にコチラを向いて





「お前等、絶対許さないからな」





そう言って元のヘラヘラした顔に戻ってしまいました。





この話は一部事実な部分があります。

信じるも信じないも貴方次第です。

おわり



後記

夏と言えば定番なんですが急に思い立って書いてみました。

色々文句もあるでしょうが、ご勘弁ください。

終わり方はあえてこうしました。

少しでも怖いと感じてくれたら嬉しい限りです←