もう一つのマジすか学園 第4章14話 | 指オタクオリティー

もう一つのマジすか学園 第4章14話


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~月明かり~

「ばっバカ!ヤメロ!」トムは上枝に向かって叫んだ。

しかし怒りで我を忘れている上枝にその声は届かず、ナイフを握り締めヅカに向かって走り出した。

一瞬のことでヅカはもちろん、ちゅりさえも動けずにいた。

しかし上枝のナイフがあと一歩のところまで迫ったが何者かに蹴り飛ばされた。

「危ねえな~喧嘩でこれはいけんやろ」「あきさん!」ちゅりは驚いてバブウを見た。

バブウは蹴り飛ばした上枝を起しトムに向かって「お前等、命令されて喧嘩して楽しいか?」

「いや、それは・・・」「挙句にナイフじゃ笑えないぞ。まあええや、後はお前等で片付けろよ」

バブウがそう言ってその場を立ち去ろうとすると「あきさん!待ってくれ」ちゅりが呼び止めた。

「なんだよ?何か用か」「あきさんはBBQとつるんでいるんだよな?」「ああ~そうや」

「BBQが首里城についたって本当か?」「ああ~そうや」「なら・・・私等、敵同士ってこと?」

「そうやな~ちゅりが首里城の敵になるなら、そういう事やろ」「・・・そうか・・・分かった」

トムは2人の関係性は分からないがちゅりが何となくこのあきさんて人を慕っているのが分かった。

「おい!ちゅり。ヤルなら本気で来いよ。馴染みだからと言って手は抜かないからな」

バブウはそう言って笑顔を見せて歩き出した。



「ほら、ジュース」うなぎはヲタの目の前に冷たいジュースを差し出した。

「ああ~ありがとう」「なっ何だよ~元気無いな。昼間で疲れたか?」

「いや、そう言う訳じゃないよ」「なら、いつものヲタらしくいてくれよ」

チームホルモンの面々が戦争の責任の一環としてボランティアに来て、はや1週間以上経っている。

本来の約束は1週間から10日間なのだがメンバー誰一人帰る事を口にしない。

自分達の力は小さいがそれでも、この被災地を懸命に生きる人達の手助けを

少しでもしたいと思っていたからである。

「なあ、うなぎ」「何だよ?」「ココって何も無いじゃん」

そう言うヲタの眼前は津波の被害より荒れた更地になっていた。

「ああ~自然の力ってスゴイよな」

「ああ~怖いよな。でもさー電気も何も無いのにこんなに明るいのは月の光のおかげだろ」

「急にどうした?」

「いや・・・何て言うか、同じ月を見てるけど場所によってこんなにも違うって何なんだろうな~って思ってさ」

「まあな~で、バンジーに聞いたよ」「バンジー?」

「ああ。将来のことを考えてるんだろ?」「ああ~その話か。うなぎは何か考えがあんのか?」

「う~ん。特にないよ。ヲタもそうなんだろ」

「ああ。特に無いよ。でも来年の今頃は間違いなく高校生じゃないだろ。なんか想像出来なくてな」

「まあな。でもそれってさーミンナ一緒じゃね?おたべだって歌舞伎だって学ランだってさー」

「それは分からないだろ。もしかしたらやりたい事あるかもしれないじゃん」

「そりゃ~そうだけど。少なくとも今は俺とヲタは無い訳だろ?」「そうだな」

「なら、それで良いじゃん」「ん?何でだよ」

「だってその為の高校生活だろ」「意味が分からねえぞ」

「だから高校にいる間、いっぱい悩めばいいんじゃね?そういう時間が高校生活だと思うけどな」

「うん。・・・うん。確かにな。言われてみればそうだよな」「そう言う事だよ」

「考えなくちゃいけないけど、考え過ぎてもしょうがないって事か」「そう。らしくな」

「俺達らしくって事か」「うん。大体ヲタはよ~誰にも相談しないで1人で抱え過ぎなんだよ」

「ああ、悪い」「そう思うなら、これからは思った事を吐き出せよ」「ああ~ありがとうな」

2人は月明かりに照らされたベンチに腰掛けジュースのプルトップをそっと開けた。


つづく

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