もう一つのマジすか学園 第4章13話 | 指オタクオリティー

もう一つのマジすか学園 第4章13話


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~ルール違反~

「お前、本当にヅカをヤレんのか?」トムは歩きながら上枝に質問した。

「多分、大丈夫だと思いますよ。いざとなったら手もありますし」笑顔で上枝は答え

「でも、まだ指令は受けてないですよ」「ああ~そうなんだけど・・・」

「なら指令が来るまで待ちましょうよ」「でもその間に首里城がデカくなっちゃうぞ」

「それは、あの方も考えているでしょう」「そうかもしれないけど・・・」

トムは首里城とBBQの喧嘩を見て勝者の下に敗者がつく事に対して焦りを感じていた。

「なあ」「はい?なんでしょう」「今日の放課後、2人の後をつけて、もし高柳とヅカが

2人きりになったら襲わないか?どうせ私達は鉄砲玉だろ。あとは何とかしてくれるだろう」

「・・・それって私情挟んでいませんか?」「私情?」「はい。今出舞さんの敵討ちって」

「いやそれはない。・・・正直、少しはあるけど・・・今ヤラないと厳しくなる気がするんだ。

もし首里城と高柳がブツかったら松村達を見ても分かる通り敗者は勝者の下につくだろう。

そうなると私達だけではもう手に負えないだろう。そしてその2人の戦いはいつ起こっても

おかしくないだろ?そう考えるとやっぱり数少ないチャンスをモノにしないといけない気がするよ」

「確かにそうですね。首里城側も落ち着き次第、動き出す可能性もありますし高柳側も大人しく

しているか分かりませんね。そうなると人数的に対等な高柳側を先に攻めるのは間違いじゃないと

私も思います」「だろ」「でも指令は受けていません」頑として譲らない上枝に

「分かった。なら高柳が1人になったら私が1人でヤルよ。それなら問題無いだろ」

「いえ、それも無理です。指令を受けていないのに襲ったらルール違反です」

「そうかも知れないけど、さっきも言ったろ。時間が無いって」「ルールはルールです」

2人は道路の真ん中に立ち止まり、傍から見れば口論しているかのように見えた。



「なら今やろうぜ」トムと上枝はハッとして振り返り、声の主を見た。

「お前等、朝っぱらから人のことヤルだなんだ好き勝手に言ってけどよ、急に来られるコッチの

迷惑を考えたことあんのかよ?楽しい放課後のひと時を何でお前等に邪魔されなきゃいけないんだ?」

ちゅり(高柳明音)はそう言って一歩前に出てきた。

そしてその後ろには優しい笑みを浮かべるヅカも立っていた。

トムは兵隊のいない2対2の状況を望んでいた。今がまさにその状況なのだ。

「はぁ?お前がタイマンから逃げてるから狙わなくちゃならねえんじゃねえか」

トムはちゅりを睨んだ。「逃げてる?それって寝言か?」

ちゅりはトムを笑顔で見て、右手の人差し指でトムにコイコイと挑発した。

「こうなったらヤルしかねえぞ。ヅカの事は頼んだぞ」トムは上枝を見ずに口を開いた。

「分かりました。ヤルしかないですね」そう言って上枝はヅカに向かって走り出した。

先制は上枝だった。ヅカは軽くパンチをもらったようだった。

「ヅカ大丈夫か?」ちゅりはトムとの視線を離さず口を開いた。

ヅカは口の中を切ったのか最初の唾を飲み込み次に赤い液体を地面へと吐き出した。

「お前ヤッてくれるやないけ~死んでもらうぞ」

そう言って上枝に襲い掛かった。

「人の喧嘩見ててもしょうがないだろ。そろそろ私等も始めるか」

トムはそう言ってちゅりに襲い掛かった。



朝の通学路で突如、始まった1年戦争だが同学年では有名な人物達の喧嘩だけあって、

あっという間にギャラリーが増え、その喧嘩を囲むように丸いリングになっていた。

しかし、いくら有名人と言えども、ちゅり・ヅカ対トム・上枝では実力差があり過ぎた。

形勢は徐々に決まっていった。ちゅりと構えるトムもこれだけ殴り合えば自分が勝つのは

無理だと悟っていたが怪我でリタイアした今出の事を思うと根性をみせざるを得なかった。

そんな中、上枝がヅカの蹴りでボコボコにされているのを横目で見たトムは敗北を決心した。

「おい。どうすんだ?まだヤルのか?」先ほど、ちゅりに倒されてから動かないトムは

「分かった。私等の負けだ。もう上枝は勘弁してくれ。代わりに私をボコってくれても構わない」

トムの敗北宣言を聞いたちゅりは「ヅカ!もう止めろ」無抵抗の上枝を蹴り続けるヅカに命令した。

それで我に返ったのかヅカは「はい。もう止めます」と言ってちゅりの横に並んだ。

一連の喧嘩を見ていたギャラリーはちゅりはともかく、ヅカも怒らせてはいけないと恐怖した。

「でよ~お前等の頭は誰なんだよ?」ちゅりはトムの前にしゃがみこみながら質問をした。

「頭?頭なんていないよ。私等が1-Eの頭だ」起き上がりながらトムが答えた。

「しっ調べはついてますよ。あなた達がE組のリーダーじゃない事は」

先ほどとは打って変わって表情は儚げで静かな口調でヅカはトムを見た。

「いや。頭は私達だ」トムはキッパリ言い切った。

これ以上、問い詰めても口は割らないだろうと判断したちゅりは

「分かった。ならお前等E組は全員、私の下についてもらうからな」

「ああ~分かった。私等の頭はちゅりだ。よろしく頼むよ」そう言って右手を出した。

ちゅりはトムに右手を出し笑顔で引き起こした。

「てっ・・・テメエ・・・人の事ボコボコにしやがって」

上枝は顔面血だらけでフラフラになりながら立ち上がった。

「おい!私等は負けたんだ。余計な事はヤメロ」トムが言うも

「テメエが勝手に負けたんだろ。私はコイツだけはヤラなくちゃ気が済まねえんだよ」

そう言う上枝の手にはナイフがどす黒く光っていた。


つづく

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