ドーピング疑惑にかけられているツール・ド・フランス7連覇を果たした

自転車界の偉人ランス・アームストロングが

自身にかけられている疑惑についての声明を発表しました

lancearmstrong.com

全文英語ですので、こちらが日本語の記事です

スポニチの日本語記事

アメリカ反ドーピング機関(USADA)からドーピングの疑いをかけられているアームストロング。

これまでも頑なにドーピングの事実を否定してきましたが、

この度の声明で、

「過去3年に渡り魔女狩りにあってきて、家族や基金の仕事に支障がもたらされ、もう充分だ。

これ以上このくだらないことと争わないことにした。

連邦裁判所がUSADAの行動を止めると願ってきた、裁判所は僕の主張に理解を示したが、

このことに介在できないと判断した。

USADAの行動は一方的で不公平である。

私がドーピングをした証拠は何一つなく、ある証拠は、

私が通過してきた数百のドーピングコントロールのみである。

今日以降このことには一切関わらないことを決め、

5人の子供を育てることと15年を迎えた基金のために尽力する決意をした」

このUSADAの申し立てが私生活を含め多くのことに支障をきたしていて、

そんなくだらないことに関わっているくらいなら、結果がどうであれ、今のことに全力をそそぐ・・・

というのがランスの思いのようです。


ルールを違反した選手は失格になるべき

このことに異論がある方はいないと思います。

ではルール違反とはなんなのか?

僕自身はドーピング違反をしたら失格になるのが当然だと思います。

ではドーピング違反とはなんなのか?

こういった問題は必ずイタチごっこなわけで、

協会が(この場合UCI)がルールを作り、その網の目をくぐって新しい薬なりやり方が登場する。

そしてルールは更に厳しくなる。

こういったことの繰り返しである。

そしてこういったルールは毎年のように変更される。

ルール違反がOKだったことなど一度もない。でもルールは刻々と変わる。

選手やチームは早く走るためにあらゆる努力をする。

それは練習もそうだし、環境づくり、そしてサプリメントなどもそうであろう。

もしランス・アームストロングが明確にドーピング違反をしているなら罰せられるべき。

でも彼が最後にツールを勝ったのは2005年、今から7年も前。初優勝にいたっては13年前。

いくら調査に時間を要したとしても、なぜ2012年のいまなのか?

そして過去の他の偉大なるライダーはなぜ嫌疑の対象とならないのか?

例えば1995年以前は時効という明確な規定がないのなら、このことは1ファンとして理解し難い。

そして過去の違反を現在のルールに照らしあわせて断罪してるとしたらそれもちょっと違うと思う。

(1980年代の選手がヘルメットをかぶってないから失格、といったらただのナンセンス)

明確なルールのもと白と黒ははっきりさせるべきだし、

推定無罪に従うならグレーであっても感情にそって断罪するのは賛成できない。


それと、感覚的な話をすれば、

あれだけ興奮して、嫌われるほど強かったランス・アームストロングの7連覇という

歴史的な出来事を、今更なかったことにされても素直に受け入れられない。

気分が白けるし、あれはなんだったんだ?という気持ちだけが残ってしまう。

もちろん何年たってもルール違反はルール違反だし、正しいことにはならないが、

でもファンあってのスポーツだということを考えるなら、

ルールを裁く側にも基本的には裁定を下すまでの時間的な制約があるべきではないのか?


今自転車界は過渡期にあり、どのスポーツよりも率先してクリーンになろうとしている。

このことは本当に素晴らしいことで、

時には命にも関わるような危険なドーピングを排除し、

公平な戦いを選手たちがすることはファンなら誰もが望んでいることだし

そのために痛みを伴うことはしかたのないことだとも思う。


ただ、今回の裁定でUCIがもしランス・アームストロングのすべてのタイトルを剥奪して

僕の母国のスター、ヤン・ウルリッヒが結果ツール4勝となっても

(彼もドーピング問題があるのでそうなるかもよくわかりませんが)

なんだか全然すっきり喜べないのが事実だし

なんだか後出しじゃんけんされた気がして気分が滅入る。


とはいえ、今年のツール、そして今ヴエルタを戦っている選手たちの素晴らしい戦いに

ケチがついてはいけないし、

もし万が一ルール違反しているものがいればその選手は失格になるだろう。

なんだかすごく悲しい気持ちになった一日だが、

逆に未来に向けて今まで以上にサイクルロードレースを応援していこうと

決意を新たにする一日にしたいと思います。

土曜日と日曜日はJ Sportsでブエルタ・ア・エスパーニャの実況です!

今まで通り、いや以上に、このスポーツの素晴らしさと感動を伝えたいと思います。
Sascha