245 「血と砂」 鑑賞前に読むバージョン 戦争は、くだらねえ | ササポンのブログ

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脚色が
喜八監督と

佐治乾。
「南極物語」「殺人遊戯」などの娯楽映画
「人妻集団暴行到死事件」のにっかつロマンポルノ
そして
「大都会」「探偵物語」などのTVアクションドラマなどの
脚本多数。

極めつけの職人娯楽脚本家と
最高のアルチザン監督、喜八監督が創りだした
魂が震える娯楽戦争映画。


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骨太時代劇「侍」と
狂気のカルト殺戮映画「大菩薩峠」の間
喜八監督が
ノリにノリまくっていた頃の作品。

「いままで『独立愚連隊』や『どぶ鼠作戦』で
底流としておいたテーマを
もう少しはっきり出せると思ってやったわけです」

「独立愚連隊」がヒットした後、
喜八監督には
かなりの数の
極めて感情的な
電話がきた。

つまりは
「戦争をあんなに不真面目に扱うとは
なにごとだ」

あの映画を観れば
あの映画をちゃんとした
頭のいい目で見れば
戦争を不真面目に扱っているとは
絶対に
思わない。



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この「血と砂」、いや、
すべての喜八戦争映画の
底流としていたテーマとは
戦争なんてくだらねえ・・である。

反戦なんていう
これみよがしに
女が戦争で不具になって帰ってきた夫を観て「あんなのとうちゃんやない!!」と叫びながらもんぺ姿で畑をのたうちまわる・・
なんてことはするわけない。
そんな無粋なことはしない。

あくまでも、
見事なハイセンス、ハイテンポで
語るのである

戦争なんてくだらねえ・・を



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戦争中に、
敵の婦人運送部隊の尻に
発情して
後ろから追っかけたり

濡れた衣装がぺったりと張りついた
団令子の尻を観た少年兵たちが
「さあ、立て!」と言われて
「あの・・立てないんです・・いや、もう立ってはいるんですけど」
とつぶやく

そんなシーンを
ふざけていると観るか
楽しいと観るかは
それぞれれだが

映画って
なんでもありだから
映画なんじゃないのか・・。

そして
なんでもありのなかから
心底くだらないものや
心底素晴らしいものを
自分の心で見つけ出すものなんだと・・思う。

そんな映画に対する心を
世間の通り一遍の
常識やイデオロギーなんかで
汚されたくはない。

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喜八映画は
ランディス映画と似ている。

そこには
普通の人と
観客と、
同じ高さの視線がある。

昔の映画監督はみんなエリート。
最高学府を出た知識人だ。
いくら庶民の味方、
左翼を気取っていても
どこか
気どりや高見からモノを教えてやろう・・
このバカな庶民どもが・・という匂いがする。

でも、
喜八映画には
その匂いがない。

あくまでも、
くだらなき庶民を愛情を持って
描いている。

そしてその気持ちの
暖かさが
見事に伝わってくる。

僕は
庶民派といわれ
庶民の普通の日常を描いているといわれている
成瀬映画や小津映画を観ても
そこに
暖かさは微塵も感じられない。

殺し屋やギャングや
性格破綻者が出てくる
喜八映画のほうが
人間味があるのはなぜなのか?


きっと
喜八監督は人間が大好きなんだろう・・と。
生きることが大好きなんだろう・・と。

だからこそ
その人間が死ぬ
戦争が嫌いなんだろう・・と。
心底、嫌いでくだらねえ・・と思っているんだろう・・と。