189  「野獣死すべし」  なにいってやがんだ・・ガキが・・ | ササポンのブログ

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映画、音楽、アニメにドラマ
そしてサントラなブログ
ひとを観ていないものを観ます

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あの頃
松田優作は
僕にとって神でした。
すべての映画どころか
「探偵物語」をカセットに録音して
何度も
何度も聴いていた。

この映画のサントラも
何度も、
何度も聞いた。

特に
この映画は神だった。

この映画の頃が
僕の松田優作の神化状態は
頂点でした。

ちょうど
高校生の頃だった。



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やがて
アクションを嫌って
森田芳光とかと組むようになって
僕自身が冷めていった。

だから
「ブラックレイン」で再びアクションに戻り
亡くなったときもショックはなかった。

「ブラックレイン」の悪役ぶりも
冷めてみていた。

結局
アクションじゃん・・・と。

やがて
恐ろしいほど月日がたって
この映画を観ても、
やっぱり冷めていた。

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冷めた目で観たこの映画、
それはそれでおもしろかった。

「蘇る金狼」が漫画なら
この映画は
オタク映画だな・・・と。

この当時に
優作と脚本家の丸山昇一が思い描いた野獣・・

それは
オタク青年だった。

それは
アキバで暴れたやつだった。

そういう意味では
とても
予見的な映画だったんだ・・と。


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自らの世界に閉じこもり
自らの論理だけで
ひとを裁く。

自らの論理をひとと戦わせることで
成熟させることもなく、
ただ
自らの理論を発展させていく。

結局
出たのは人殺し・・・。

人を殺すことで
自らの存在を高めていくという
自己勝手な理論・・。

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ただアキバのやつとは違っていたのは
この映画の伊達という名の主人公のほうが
少し頭がよかったので
人に同意など求めなかった。

ただ
自らの論理を
ただ
自分だけで完成させて・・・
行きつく先は
殺戮である。


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これとよく似ているが
殺戮に至らなかったオタク映画がある。

「アメリ」である。

あれも
完全なるオタク論理の映画だ。

アメリが行う行為は、
人を幸せにさせる・・・と思っているのは
本人だけである。

実際に
幸せになったように見えても、
それは
主人公が思っているだけである。

つまりは
しあわせのテロである。

そこに
人との本来の交流はない。

ただ
アメリが思っているのが
幸せ、であるので
観客は感動する。

伊達が思っているのが
殺戮、であるので
観客は嫌悪する。

ただ
根底をなすのは
同じである。

オタクの勝手な論理だ。

そこに
他人の思惑は深く関与しない。



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高校時代の僕は
この映画が、
神だった。

「タクシードライバー」がそうであったように

しかし
歳を取ると、
そうではなくなる。

なぜかと言えば
僕は、
この映画の主人公よりも
これを作った当時の松田優作よりも
歳上になったからだ・・。

つまり
ガキがなに言ってやがんだ・・・と
言えるんだよね。

いまの僕は・・・
なんせ45歳だから・・

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