正直、言うと
韓国映画は
僕にとって
未知の世界です
弱点です。
フランス映画
特にトリフォー
そして
韓国映画は
完全に観ていない。
だからと言って
興味がないというわけではない。
キム・キドクなんて
絶対に
おもしろいと思うのだが
いかんせん
最近は
腰が重い。
動きが鈍い。
この映画も、
キリマコトさんのブログで
予告編を見なければ
観ることはなかったと思う。
ありがとう、キリマコトさん。
キム・キドクもおっつけ観ます。
ただすいませんが
やっぱり軽く
ネタバレというか
内容が推測できるようなことを書きます。
そうじゃないと
ちょっと手に負えるような映画じゃないので・・。
と、いうわけで
決定的なネタバレはしませんが
わかるひとには
内容がわかってしまうような映画評です。
これから観る人は
ここからは
観た後に読んでください。
どの映画評を観ても
指摘していないので驚いたが
この映画は
あきらかに
「ダーティハリー」を下敷きにしている。
最近の僕が
イーストウッドのことしか頭にないので
そう思っているのかと思ったが
ある場面で
あからさまなオマージュ・シーンがあることで確信した。
基本的な
物語の構造としては
元刑事のデリヘル店の経営者が、
疾走した自分の店の女たちを
追いかけるうちに、
地獄に堕ち込んでいくという話です。
この元刑事のジュンホはくずです。
店の女性の携帯にも、
「くず」という名前で登録されています。
消えた女を
追いかける理由も、
この犯人が女たちを売り飛ばしたと思って
追いかけます。
一方の犯人のヨンミン
もう完全にダーティハリーの「サソリ」です。
完全なる
「サソリ」です。
頭の悪いレビューに
「犯人側の人間が描かれていない」というのがあったが
バカか・・。
サソリに人間性などない。
ただの殺人マシーンである。
母親の腹に良心を置いてきた
生きる迷惑である。
この映画
冒頭の映像を観ているうちに
僕は
あるデジャヴに襲われた。
それは
昔、若いころに見た
にっかつロマンポルノ
そして
東映プログラムピクチューだ。
あの頃にそっくりな街並と
けして涼しげじゃない
モデルじゃない
ジャニーズじゃない
そこに生きているという感じの
俳優たち。
それ以上に
僕を過去のそれらの日本映画の記憶に
引き戻したのは
けして
流暢ではない語り口である。
最近のアメリカ映画や
日本映画にある
よく出来ているのだが
どこか
うわべだけの
語り口とは違う鈍重さ・・・
それが僕をたまらなく
懐かしい気分にさせる。
この犯人役を演じたハ・ジョンウが
韓国において
どういうキャリアのひとか
どういうカテゴリーのひとかは
知らない。
アイドルなのか
それとも実力派なのか・・。
この男が
サソリである。
どこでもいそうな
この青年が、サソリである。
女をぶち殺して
切り刻むことにしか
快楽を得られない男である。
それだけで
この映画の
恐ろしさがわかるだろう。
この男が
実際に殺人を犯すシーンがあるが
これがこの映画の
最初の恐ろしき鈍重である。
はっきり言って
このシーンを見ただけで
神経過敏なひとは
劇場を出たくなるだろう。
血がドロドロでるとか
そういう気持ち悪さではない。
そんなもんは
僕は
見慣れている。
とにかく
本当に
劇場を這って逃げたくなるような
鈍重な殺戮なのだ。
さらに
この映画は
けっして
痛快な疾走感など無縁な鈍重さで
進んでいく・・が
それはまた次に書きます。