86 「E.T」  僕はこの映画を劇場で、公開時に12回、観てます | ササポンのブログ

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この映画に出てくるETの写真は
映画公開まで絶対に秘密であった。
いまの時代なら
絶対に
ネットに流れてしまうだろうが、
あの当時はもちろんネットなどなく
秘密は守られていた。
しかし
配給会社の人間が
ETの写っている写真を公開前に入手
喜んで娘にプレゼントした。
しかし
その娘さん、曰く
「こんな気持ち悪いの、いらない」

ただ
この娘さん
映画を観た後に、その写真を欲しがったと言います。

つまりは
これがこの映画の
スピルバーグの持つ力であります。
最初から
かわいいクリチャーではなく
どう見ても
気持ち悪いクリチャーを物語で
かわいいものに
愛おしいものに見せる力が
この映画にはあります。


僕は
この映画を
劇場で
12回見ています。
公開当時です。

これには訳があって、
この映画を観た僕は
感動して
友だちみんなに「観ろ観ろ」と勧めました。
そして
観たいけど、お金がね・・・という友だちを
かたっぱしから
劇場に連れて行きました。
すべて僕がチケット代を払って。

当時
就職したてで
自宅に住んでいた僕は
お金持ちでした。

それにつきあって観ているうちに
なんと
12回となってしまったのです。
ほとんどの友だちは感動して
最低2回は観るわけですから・・。
さすがの僕も
最後のほうは
飽きましたが・・。






と、言うわけで今回
この記事を書くために
再度鑑賞して
細部を思い出す必要はありません。

すべて覚えています。

当初
凶暴なエイリアンが
アメリカの地方都市の一軒家を襲撃するという
物語を考えていたスピルバーグが
トリフォーに「未知との遭遇」の撮影中に
「君は子どものために映画を撮るべきだ」と言われて
コロッと内容改変、未知との生物との心温まる交流の物語となった。


ETとエリオット少年が出会い、
それを兄妹に
そして友だちに見せる過程は
ドタバタ喜劇のテクである。

恐らく
スピルバーグの頭には
死体を巡るドタバタ喜劇
ヒッチコックの「ハリー災難」があったに違いない。

それを
マルクス兄弟やドリフのテンポとセンスでやってみせる。

「1941」でギャグのセンスがないことを痛感した
スピルバーグも
サスペンスを絡めればなかなか笑える。

そして
その存在が
公に暴かれたときから
画面が一気に緊張感にあふれる。

宇宙服を着た男たちが
一列に並んで歩いてくるカット。
どう考えても
リアリティがないし
へたすれば
「Gメン75」である。

ところが
これを緊張感と出来るのが
スピルバーグである。
いかにもいかにもというシーンを
これでもかこれでもか・・と続ける。

言い方は悪いが
ヒッチコックの後継者とも物まね野郎とも言われている
デ・パルマと比べるとこの辺のテクが違う。
僕はデ・パルマが大好きである・・ということを承知の上でいうが
デ・パルマのヒッチコック趣味はただの物まねである。
増幅させるにせよ、
変形させるにせよ
その表現を自分の中に取り込んで
熟成させて
自分の中で
その映画にふさわしい形で
表出させているようには見えない。

それが
本当にできているのは
現代ではスピルバーグだけであろう。




もうあまりにも有名になった日本製の自転車による
チェイス、そして飛翔・・。
このシーンの素晴らしさの80%は
もうジョンウィリアムズの音楽につきる。
画面の出来の良さが
大巨匠の音楽魂を揺り動かし
出来あがったのは、
天上の音楽である。

ジョンウィリアムズの凄さを
ここで書く必要などない。
恐らく劇伴作曲家としてこれほど世界に知られた人物は
過去にも
そして
これからも現れないであろう


僕は
彼がいるから
モーツアルトやベートベンと
同じ時代に生きて新曲を聞けないことを
残念には思わない。
彼の新曲こそが
クラッシックである。





それにしても
今回、画像を検索していて
一番、思ったのは
「ドリュー・バリモア 、かわいい」である。
断じて言うが僕には、ロリコン趣味はない。
でもかわいい


最近、
僕らの世代がリアルに感動した作品を作っていた人たちが
相次いで亡くなった。
シドニーポラック
ポールニューマン
緒方拳
少し前だと
今村昌平や岡本喜八
そして黒澤明

あるひとがいまの黒澤明への称賛を聞いて
「死んでからじゃ遅いんだよ」とつぶやいた。

いまのスピルバーグに対しての
ある種のアンチテーゼは
晩年の黒澤監督などに対する不当な評価に似ている気がする。
これは
デビッドリーンやフェリーニに対してもあり、
彼らはそれに苦しんだ。

いま
スピルバーグを批判している人間は
死んでからもちゃんと批判し続けろ・・と言いたい。

僕は
いまでもスピルバーグを称賛するし
昔も、いまも、そして死んでからも
ルーカスをへたくそという。



おまけ画像です。なかなかいい写真です。ドリュー・バリモア、やっぱりかわいい