
これぐらい観る前の予想を
裏切られた映画もない。
もちろん、いい意味で。
監督は、ロバートアルドリッチ
出てるのが、
リー・マービン、アーネスト・ボーグナイン、チャールズ・ブロンソン、テリー・ サバラス、
ジョン・カサベテス、ジョージ・ケネディ、ドナルド・サザーランド
それで原題は「汚ったねえ奴等」
どう考えたって、
ガンガンばりばりの戦争アクションでしよう。
骨太な男のドラマでしよう・・。
これでまさか、喜劇だとは思わないじゃない。
戦争喜劇だなんて・・。
完璧に邦題に騙されました。
どこが、特攻だよ!!
どこが、大作戦だよ!!
わたしゃ、もう全編、ゲラゲラ笑いながら観たよ。
やっぱりアルドリッチは職人やね。
しっかりと脚本に書かれている世界を理解して
その通りに、がっちり撮る。
自分の得意分野じゃなくても
ちゃんとおもしろく仕上げる。
1944年3月、大陸侵攻を間近に控えたある日、アメリカ軍のジョン・ライスマン少佐(リー・マーヴィン)は「特赦作戦」と呼ばれる奇妙な作戦命令を受けた。特赦作戦というのは、死刑あるいは長期の刑を宣告され服役中の元兵隊12人を選び出し、徹底的に鍛え、ヨーロッパ大陸侵攻直前にノルマンディーの敵前線背後に送りこんで攻撃するというものである。間もなくライスマンは選ばれた12人の極悪人と向かいあったのだが、どれも一筋縄ではいきそうもなく困難が予想された。6月に入り大陸侵攻の矢はまさに放たれようとしたいた。ライスマンのキャンプでは、彼やボウレン軍曹の容赦ない訓練が実を結び、12人の男たちは1団となって考えたり行動するようになっていた。軍首脳部の間には、この「特赦作戦」に対する強い不信と反対があったが、ワーデン将軍(アーネスト・ボーグナイン)は、反対意見をおさえ、その作戦を実行に移した。12人が攻撃する特定目標は、広大な林に囲まれた豪壮なフランス人の館であった。その館には週末になるとドイツ軍上級将校たちが、夫人や愛人をともなって集まったから、彼らを壊滅させれば、ノルマンディーの壁は容易に破れるのだった。闇にまぎれてドーバー海峡を越えたライスマン、ボウレン以下14人は、パラシュートで目ざす館へ降り立った。「特赦作戦」による奇襲は明らかに成功であった。これによってドイツ軍の指揮は乱れ、統一を失い、かくて連合軍はノルマンディーに上陸したのだった。そしてワーデン将軍は、「汚れた12人」と呼ばれる元軍人たちの功績を認め、彼らを以前の階級において任務に戻ることを進言したのだった。
つまり要約すれば
刑務所のどうしようもない屑たちを
鍛えて
ドイツ軍の上級将校たちの別荘を襲って
破壊、殺りくせよ・・
やんなくてもいいけど、
やんなかったら
死刑よ。
逃げてもいいけど
逃げたら
他の人たちが
死刑よ。
最初は
しぶしぶ任務に就いたやつらが、
仲間たちとの奇妙な友情と
上官のリー・マーヴィンに対する奇妙な尊敬によって
団結していく。
やがて任務が決行される。
まだ無名で新人だったサザーランドとサバラスが
異様な存在感を発揮する。
特にテリーサバラスは、
有名になってからは決してやらなかった(と思うが全作品観てないから)
サイコなキャラを喜々として演じている。
カサベテスもうまい。
あのアメリカ・インディーズの父と言われる知性派の彼が、
頭の悪い、チンピラ兵隊を、見事に演じる。
アーネスト・ボーグナインが、
見事な貫録で将軍を演じれば
リーマーヴィンは相変わらず、全編、同じ表情でいい。
ただやはり一番、
輝いていたのは、ブロンソンだ。
役柄から言えば、リーマーヴィンの参謀、七人の侍の加東大介演じる七郎次である。
つまり一番の役得である。
そういう意味で言えば、
ストーリーは明らかに「七人の侍」を意識している。
ただ任務は極悪非道だが・・。
この映画を見る上において、
心から楽しめないひとのネックは
ラストの任務のいいかげんさと、残酷さだうろ。
とにかくあまりにもあっさり敵に潜入できて
やることが、
めっちゃくちゃ残忍である。
地下に閉じ込めて愛人もろとも焼き殺す。
きっと作った側の言い分では
お前らなんか収容所でもっとひどいことしただろ・・
でも、だからって、
同じことをやりかえすって法はないだろう・・
いや、それがあるのがアメリカである。
それを含めて僕は、
喜劇だと理解した。
ブラックユーモアだと解した。
淀川さんが指摘しているが、
12人という人数、
出撃前に、テーブルに並んで食事する所など
もろにキリストと使徒たちである。
薄汚いところまで同じ。
これは作り手たちの完全なパロディによるブラックユーモアだ。
極めて悪趣味な・・。
だから、
そういうのを笑えない、楽しめない人には、
きつい映画だろう。