最近、この映画のサントラを聞いて、驚いた。
そしてやっとわかった気がした。
ジョージロイヒルというひとの凄さが・・。
きっとこの映画を観たことのないひとが、
このサントラを聞いても、
絶対に、
この映画を想像できないだろう。
どう間違っても、
絶対に西部劇だとは思わないだろう。
音楽は、バートバカラック。
ポップスの天才。
音楽家がこのひとの音楽を分析しようとして、
頭がおかしくなりかけたと言われるぐらいの超絶テクニシャン。
彼の資質とはまるで違う西部劇の音楽に、彼を登用した監督の意図は?
この映画の、西部劇らしいところ、
銃撃戦や、
馬での逃亡、
格闘
そして列車強盗のシーンで
音楽は一切、いれていない。
どうしてそうしたのか、
監督自身ではないのでわからないが、
それがゆえにこの映画は、
ニューシネマと呼ばれた。
この映画が、新しいかどうかはわからないが、
けして西部劇の歴史の中に特異な位置を占めているとは思わない。
時にはこの映画を西部劇ではなく
青春映画だとか、
アンチ西部劇だ・・などというひとがいる。
まあ、ジャンルなんて言うのは、
馬鹿みたいに意味のないものだが、
これはまったく正統派の西部劇であります。
ジョージロイヒルが作る真っ当な西部劇なのです。
ファースシーン、古い映画のふたりの姿が、白黒で。
そのままの白黒で、
厳重な銀行の様子を下見しているブッチ。「これじゃ色気も何もなにもねえ・・」とつぶやく。
そして酒場で、ご自慢のガンプレイを披露するサンダンス。
「やっぱりもう峠はこえちまったな」とサンダンスをからかうブッチ。
ふたりが、馬でアジトに帰るところからカラーに。
街に出てきて、下見とお遊び。
このシーンだけで、ふたりの性格、サンダンスの銃の腕前、そして評判。世知がなくなりつつある世情、すべてを見事に表現してしまう。ファーストシーンの見本のようなシナリオを極めて実験的な映像で見せるロイヒル。
まず酒場のシーン。
カメラは、ずっとサンダンスを撮る。
相手がサンダンスのカードにイチャモンをつけて撃ち合いになりそうになって、
まわりが立ち上がるところ
ずっとサンダンスを撮る。
後ろにまわったブッチが話しかけても、
まだサンダンスを撮り続ける。
西部劇ではおなじみのそのシーンが本来、持つスリルを
ロイヒルは、彼なりの方法で表現して見せた。
すでに盛りを過ぎ、マンネリと化していた西部劇に
息吹を与えようとするロイヒルの恐ろしいまでのオリジナリティが
最初からさく裂する。
この後に、上記のファーストシーンの動画を張ります。
これは吹き替え版です。
これが本当の吹き替え版です。
ブッチ・・・羽佐間道夫
サンダンス・・広川太一郎
これが本物です。
DVDのは、偽物です。
それを証明したくて貼りました。
本物の吹き替えを観てください。
さて、何回でこの作品を語り終われるか・・。
よかったら、最後まで付き合ってください。