子供のいるひと、必見の映画。
親がなくとも子は、育つ。そして、親が邪魔しては、子は委縮する。
チェスの才能を持つ主人公のジョシュ少年に、ふたつのタイプの教師がつく。
ひとりは、ベンキングズレー演じる往年の名プレーヤー。
もうひとりは、ローレンスフィッシュバーン演じる街の賭けチェスの才人。
ふたりが、まったく違うタイプのチェスを、ジョシュ少年に教える。この違いはなかなか面白いというか、人生哲学にも通ずるところがある。どんなものかは観ての楽しみ。
子供は、チェスという競技を通じて、学ぶ。
ふたりの教師、そして親を観て学ぶ。
そして勝ち進んでいく過程からも学ぶ。
教えなくたって、子は学ぶ。
勝つことの喜びと、負けることの悔しさ。勝つ人がいれば、負ける人がいるという厳然たる事実。
映画は、ジョシュ少年が学ぶことを、観客も学んでいく。
どう育てたいじゃなくて、どう育っていくか、見守るのが親であって、間違ったときに、悲しいときに、手を差し伸べてやればいいのだ。見守りながら、ほかっておく。しかしこれがどれほど難しいことか。
子供を育てることで、大人たちも学んでいく。
かっては誰も、子供だったんだという・・当たり前だけど忘れている事実・・。
ベンキングスレーが、ボードのうえの駒を、全部、床に落としていう。
「分かるまで動くな」