H×H30巻 微感 | ばんぶーのブログ

H×H30巻 微感

◆HUNTER×HUNTER30巻

ばんぶーのブログ-H×H30巻 表紙

半年近く経って、単行本の感想ってのも変な感じなんですけども諸事情ありまして。

正確には30巻感想その1。その2は気が向いたらいつかやりたい。

でもあたし知ってる。大人のいつかは来ないって。


<もくじ>

◆本誌からの変更・描き直しの有無

◆マーメン?ビーンズ?

◆ジン「四つ…いや八つだな」

◆"それはどっちの" 解答

◆薔薇毒について


本誌からの変更・描き直しの有無

「私」が「あたし」になったり、「―」が「~」になったりと写植で微々たるものはありましたが、描写的にはないかと。


◆マーメン?ビーンズ?
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ハンターズガイドでは「マーメン」とされていた彼が、ついに本編にて名が明かされる。
その名も「ビーンズ」。


まぁ、マーメンという名前に慣れてしまっているので、チードルが"ビーンズ氏"と言っていたことからも、「マーメン=ビーンズ」という氏名(ex.ゴン=フリークス) と緩く採っていいのかも。


ジン「四つ…いや八つだな」

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結論から言えば紙の折り方のことを言っているのだろう。
が、とある事情から32巻まで見守ることとなった。


ジン:(既に書き終えた5つのルールを見て) 四つ…いや八つだな
ビーンズ:??
ジン:読んでくれ
ビーンズ:投票のルール…!?ですね… これは一体…!?
ジン:数日後には“十二支ん”が全員ここに集まるだろう おそらくくじ引きになる
ビーンズ:!? なぜそんな?
ジン:多数決や話し合いで解決しようとしたら死ぬ程長引く なにしろパリストンがいるからな
:パリストンから見れば、1/12でも自分により有利な方法になる可能性があれば上出来なんだ どっちにしろ勝ち戦だからな そして他の練習からすれば6/5になるって寸法だ くじほぼ手打ちさ
:言い出すのは…本命チードル 対抗でサッチョウ 穴がピヨン 大穴でカンザイか
ビーンズ:くじを引くのが私に…なると…?
ジン:このビルの中バイトとパリストン派のヤツばっかじゃん 他にいねーだろ?
:もしそのルールでおめーが納得するなら3つ折りにして当日まで持っててくれ
もしオメーが呼ばれなかったり呼ばれても紙の折り方が違っていたらオレは下を向いてるからその紙は燃やしてくれ 
(以下略)


ジンの読みはばっちり当たり投票のルールは十二支んの考えたものをくじで引くこととなり、くじを引く者としてビーンズが呼ばれることとなった。


そして、"呼ばれても紙の折り方が違っていたらオレは下を向いてる"とジンは言っていたが、

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当日、ジンの顔は上がっていた(ビーンズを見ていた)。


―そうしてビーンズは、ジンの考えたルールが書かれた紙を引いた(出した)のだった。


まずこれには大きな問題がある。
ジンはビーンズに"3つ折りにして当日まで持っててくれ"と言い、ビーンズはその紙を当日引いた(出した)。

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しかし、ビーンズの持っていた紙は"8つ折り"なのだ。


一応確認すると紙の折り方は、折り方次第で若干名称が変わったり折り目の筋も変わるのだが一番基本的な折り方は以下の通りである。

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イメージ図は今回関わってくるものを挙げたが、言葉の意味としては「○つ折り=○つになるように折ること」である。


つまり、このジンの「3つ折り」という指示は履歴書などでよく使われる折り方で、一般的にくじ引きで使われるものでもない。またビーンズの手に隠れるようなものでもないだろう。


さて、ここからである。
ジンがビーンズに指示した「3つ折り」と「四つ…いや八つ」はリンクしているのかどうか。


リンクしていないならば―、

「四つ…いや八つ」は「現時点ではわからないジンが作ったルールに隠された意図」かもしれず、「3つ折り」に関しては「ぎゃはは、冨樫、折り方すらもろくに知らねーんじゃねーのwww」に行きついてしまうのかもしれない(ぶっちゃけるとその勘違いをしていたのが私なんだけども)。


リンクしているならば―、

作者ミスもありうるが、結論は写植ミスに落ち着くかもしれない。


まず「四つ…いや八つ」を"四つ(折り)…いや八つ(折り)"と解釈すると、ジンは紙の折り方を決めかねていたことになり、"いや八つだな"と言う通り、最終的に八つ折りを採用+その旨をビーンズに指示。

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結果的に、ビーンズは"八つ折り"にされた紙を引いた(出した)、とキレイに繋がる。


また、1ページ前でジンに"四つ(折り)…いや八つ(折り) "と、正しい意義で迷わせていたのだから、次のページで作者が"3回折って紙を8つに分けること"を"3つ折り"と勘違いしていたとは考えられない。


つまり、作者の「3」と「8」の書き間違え、もしくは作者の汚く書かれた「8」が、黒鉛の薄れ等と相俟って、「3」に見間違えられたという写植ミスに落ちつく(後者に関しては前科があるので印象的には後者)。


しかして話は戻る。

基本的には一見明らかなものは「作者ミス等」で処理するのも可(それ以外はNG)というスタンスなのだが、今回の「四つ…いや八つ」は「3つ折り」と合わさった結果、どうにもこの30巻時点で断ずるのが難しくなってしまった。


―ということで32巻まで待ってみた。

あくまで結果論としてなのだが、しいてジンに隠れた意図があったとするとならば、

「チードル達がパリストンに勝つには十二支んへの票はとにかくすべてチードルに集めて、遅くとも(有効選挙の)2回目か3回目の選挙に懸けるべきだった(4回目では手遅れ)

というところだろうか。


ここでもし、ごり押し解釈をしてゆくなら、

投票率95%以上だが得票率が過半数に達成しなかった場合、候補者は2回目で上位16名、3回目で8名4回目で4名と絞られてゆく。


つまり、ジンの隠れた意図は4回目(候補者4人)では手遅れで、3回目(候補者8人)までに決めなければいけない="(デッドラインは候補枠が)四つ…いや八つ(の時)"


しかし、どうにも違和感MORIMORIで、それこそ序数詞は「つ」じゃなくて、「人」とか「回(目)」とか別のものが良いのではなかろうか。

キャラの心の動きや言葉に関して入念に検討する作者のことを思うと、どうも採れる答えとは思えない。


◇四つ…いや八つだな 結論

「四つ…いや八つ」は折り目のことを言っており、くじにする紙がどう折られるかを考えていた。

関連して、「"3"つ折り」に関しては、作者の「3」と「8」の書き間違え、もしくは作者の汚く書かれた「8」が、黒鉛の薄れ等と相俟って「3」に見間違えられたのだろうか(写植ミス)。


◆"それはどっちの" 解答

東ゴルドー城にてピトーと相対するその直前、

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ゴンはキルアに"行こう"と言い、キルアはそれを受け、

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"それはどっちの"と疑問を抱いた。


当時私は、

カイトの生を信じた上で、"(カイトを)助けに行こう"(操作状態を解かせる)

なのか、

カイトの死を脳裏でわかっていて、もしくは死んでいるかもしれないという思いを押し込めた上で、

"(ピトーを)倒しに行こう"(殺しに行こう)

のどっちと採りキルアにとって光たるゴンが闇に染まりつつあることへの苦悩を描いているのかと考えていた。


そして、その答えは作中で明かされる(説明される)ことはないと思っていたのだが、30巻にてまさかの正式解答頂きました。
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任務(チーム)としての、行こう

なのか

友達としての、行こう

のどっちの意味なのか、ということでした。


なるほど確かに、そう解答を貰うとキルアの一貫した苦悩に繋がって納得してしまった。

というよりも、思考の方向性が違いましたな。反省。


◆薔薇毒について

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"薔薇には毒があった

開花の瞬間大量に撒き散らされる薔薇の毒が類似する他のものより優れていたのは―

開花地との距離によって「運悪く」爆死を免れた者の体内に効率よく取り込まれ、

迅速に内部を破壊すると同時に被毒者の肉体が毒そのものとなり新たな毒を放出しながらやがて死に至る

―その毒の量と死ぬまでの時間が実に絶妙で大量の連鎖被毒者を生み出せる点にあった


要するにこの上無く非人道的な悪魔兵器だったのである"


気になるのはその毒の威力(感染力・致死率など)だ。

今回の被害者は―

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選別の過程で、人民47万8594名兵士1万2905名

プフ催眠覚醒後24時間以内に体調を崩し死亡した人民4万6613名

―とのこと。


注目すべきは、"プフ催眠覚醒後24時間以内に体調を崩し死亡した人民4万6613名"
ニュースなどでは"特殊な薬品によって心身の自由が奪われた"とされていたのが、"プフの催眠"と述べられていることから、この発表は(読者も含め)事情を知る者へのものだと思われる。

また"最終的にはミニチュアローズ含む破壊兵器によって爆殺される予定だった"とニュースでは言われてた。


果たしてこの"人民4万6613名"は薔薇毒で死んだ者達なのか。


・催眠覚醒後の死亡者=連鎖被毒者?

発表が身内向けだったとしてもネテロ派に属する者から発せられたものならば、武道家たるネテロの名を汚さないために「配慮」されたものかもしれない。

また、ハンターが非人道的兵器を用いたことが世間に知られるのもおいしくないだろから、ネテロに蟻討伐を命じた御偉いさん方が強い根回しをしたのかもしれない。

つまるところ「発表は大嘘」っていう解釈。


ただ、どうにも疑問は大きい。

そもそも、それだけの連鎖被毒者が出て入れば医療機関や避難先での混乱は必至で、いかに強い根回しやら、かん口令を敷いたとしても隠し通せるものなのだろうか。


またこの解釈では、既に毒化が始まっていたユピーやプフそして王と近距離にいたウェルフィンやパーム、王宮敷地内に居た5000人の半人半獣(繭)は感染しなかったにも関わらず―、

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城外にいた人民らには感染した、ということになってしまう。


「プフ経由で感染した」

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ということになるんでしょうけど、やはり人民の密集度合いから見ても"連鎖被毒"したにしてはむしろ4万6613名は少ないように感じられる


・催眠覚醒後の死亡者≠連鎖被毒者?

おおまかに考えてみる。

ゴン・キルアの会話から、東ゴルドーの人口は500万人。

選別の過程での死亡者を引いて450万人程。


東ゴルドーの平均寿命などわかる由もないが、ディーゴの圧政からするにさほど高くないだろうということで適当に60代。

王宮前にいた人民達の様子から老年層は決して少なくない様に見受けられるため、適当だが少なくとも全人口の10%はいるだろうと仮定(計算楽だし)。


すると、王宮前に45万人程度は老年層がいる。

そんな老年層が、

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慣れない長距離移動に加え、

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銃火器を持った兵士からの怒号や、長時間に渡る密着状態での集団行動を強いられ、

極めつけには催眠(操作)で強制的に立たされ続けていたのだから、肉体的・精神的ストレスはその限界をとうに超えてると言っても過言ではないだろう。


老年層だけで考えると

「その約10%が極度のストレスと疲労によって覚醒後に変調・死亡した」

となるのだが、さらにそこに子供や体の弱い者、何らかの疾病を抱えている者達を考慮すれば、その分パーセンテージ下がり、受容できるレベルにあるように思われる。


よって、私の解釈では催眠覚醒後の死亡者は連鎖被毒者ではない、とする。


さて、そうすると薔薇毒による死亡者はユピープフコムギ(死亡順)の計4人になる。

性質を抽出してみると―

("開花の瞬間大量に撒き散らされる薔薇の毒…は―

…体内に効率よく取り込まれ、迅速に内部を破壊すると同時に被毒者の肉体が毒そのものとなり新たな毒を放出しながらやがて死に至る

―その毒の量と死ぬまでの時間が実に絶妙で大量の連鎖被毒者を生み出せる…")
―薔薇は、

1:開花(毒散布)

2:吸収

3:体内破壊+毒化("ミニュチュア"ローズ化)

の三工程で被毒し、

4:"ミニチュア"ローズ開花(毒散布)

5:吸収

と、連鎖被毒するようだ。

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さて、それでは改めて考えたいのだが、どのように感染していくのだろうか。


大元の"貧者の薔薇"の方は、爆煙で成っている上"撒き散らされる"と表現されているので、毒キノコの胞子のように撒き散らせたものを吸ったりしているのだろう、と想像に易いのだが―、"ミニチュア"ローズの方はどうなっているのか。


"被毒者の肉体が毒そのものとなり新たな毒を放出"する、というが被毒者の体がボロボロと崩れている描写もないので、キノコのように胞子をボフっボフっと毒を撒き散らしているわけでもないだろう。

そして、フェルフィンやパーム、そしてプフの死体の周辺に立ち尽くしていた人民達に連鎖被毒しなかったことを考えると、「"接触"感染」なのかもしれない。


厳密に言えば「接触感染」、「飛沫感染」、「飛沫核感染」、「血液感染」など諸々含んでしまいそうなのだが、"毒"に汚染されたものを吸引、あるいは皮膚や粘膜が接触することにより体内へ吸収されていく、とすると大元の"貧者の薔薇"の開花→吸収ともほぼ一致するのかも。


プフの周囲に居た人民らに連鎖被毒しなかったのは、

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プフと人民の位置と風向き、そして風力。

さらには催眠状態にあったがために呼吸が浅かったことに起因するのだろうか。

―あるいは、大元に比べ"ミニチュア"ローズは毒性(?)が弱く「飛沫核感染」は起きないのかもしれない。



また、これまで被毒の順番を

1:王→2or3:ユピーorプフ→4:コムギ(連鎖被毒)

と思っていたんですが、本当は

1or2:ユピーorプフ3:王→4:コムギ(連鎖被毒)

なのかもしれない。


というのも、
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薔薇の真下の爆心地の中に居た王には、どうも毒が届かないように思われる。

上昇気流で舞い上がってしまうだろうし、岩が赤黒く溶けてるということは800~1000度前後はあろう。

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薔薇毒の詳しい成分はわからないが、どうも燃えるか毒性を失いそうな気がする。


―少なくとも爆心地脱出以降、それも上昇気流の関係で爆心地付近には舞い落ちて来ないだろうから、毒入りの"お食事"もしくは移動(飛行)により既に毒が飛散されたところに行ったことが被毒の原因だろう。印象的には前者のような気がしている。


最後にまとめると、薔薇の毒は大元もミニチュアの方も感染経路は"接触"。

しかし、ミニチュアの方はその母体となる人間の性質上範囲が著しく狭くなり、寝食を共にする者だとか、変調をきたした被毒者に親身になるものを殺してゆく、正に「悪意の進化」とも言える悪魔兵器に変貌を遂げたのだろう。



30巻感想以上。