<がんヘルスリテラシー #8>

 

最初にお断りしておきます。

久々のがんヘルスリテラシーに係ることで、長くなります。

 

そして、身もふたもない話になっている可能性もありますので、ご注意を。

 

なお、後述する文章については、

・代替医療を否定しているわけではありません。

・”信じる”ことも否定しておりません。

なお、小生の治療に関する考え方は、プロフィールに記載しております(コチラ

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治療の選択。

 

これは本当に大切なことだ。

最終的には、その人=当事者が決めて、納得すればいいのだが・・・


まがい物(に近い)情報を拠り所に、それを決めていくのを見たり・聞いたりするのはやはり忍びない。

特に治療初期の段階は大切。

 

何がまがいモノではないのか??

 

一つの基準は、信頼性(信用)だろう。

この観点で言えば、がん治療の総本山的なところを入り口にすることは妥当だ。

 

特に、突然がんが振ってきて、程度の差こそあれ冷静さが欠けている最初の時は、(以前も触れた通り)まずは「国立がんセンターのWeb」を情報源にすることを勧める(コチラ)。

信頼性もわかりやすさもダントツです。

 

ちなみに、信頼できる情報をどう得るかについては、以前に記しました。

・信頼できる情報とは がんヘルスリテラシーを上げるために (コチラ

 

さらにつっこみたい方用(笑)

・信頼できる情報とは2 学術情報利用のコツ (コチラ

 

そして、さらに情報を得ようとする場合には、その”信頼”を支えている科学的根拠とは何かについて(大筋で)理解しておくことが望ましい。 まがい物に引っかからないために・・・

 

この言葉=科学的根拠が出ると、退いてしまうサバイバーもいるだろう。 もうその段階で、薬会社の陰謀と言ってハナから選択枝から外す人もいるかもしれない。

 

ちょっと待って欲しい。

 

では、何を基準に選択してるのですか? 

勘? それはそれでいいですが・・・・

 

 

質問1

アタナは頻繁に隕石が降り注ぐ惑星に住んでいます。

下は、隕石が降り注ぐ時に、隠れるシェルターの違いを表したものです。 

居住地を選ばなければならない時、

どちらの地区を選びますか?(人口密度は同一)

 

 

質問2

10,000万円が当たりの宝くじ。

どちらの箱を選びますか?

 

Aの箱: 1000枚のうち、当たりが1枚

Bの箱: 1000枚のうち、当たりが10枚

 

 

どっちを選ぶかは、個人の問題ですが・・・

 

おそらくいずれもBを選びますよね? 

 

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質問1、2は、すでにお気づきの通り、確率の問題です。学で言えば”統計学”や”推計学”、医療系なら”疫学”など(の基礎)に位置するものです。

 

でも、そんなことを知らなくてもBを選ぶわけです。

そういう危険を察知する能力に長けた人たちが適者生存してきたのかもしれません・・・

 

上記の問題は、いろいろな事を教えてくれます。

 

1.比較的簡単な事例では、”学”に依拠しなくとも、より生存に適した方を選択できる(本能的といって良いほど)。

 

2.質問1と2は、確率問題として同様に見えて、実は異なるところもある。

 

リスクを負うか負わないか、の違いです。がん(代替)治療で言えば次のような事柄に繋がります。

 

①効果はあるかどうかはイマイチわからないが、健康を害する可能性が低く、効果が少しでもあれば御の字!のケース(リスク無~極小)

 

②効果はあるかどうかわからないが、ある方法のみにココロをとらわれ、標準治療などまだまだbetterな選択肢があるにもかからずそれを選択しないケース(ただし、体調などの理由で選択できない場合を除く)。(リスク大)

 

3. 質問1、Bを選んだ場合でも、”100%隕石を回避できるとは限らない”。

 

そりゃそうだ!とこの事例では納得するかもしれませんが、これが治療選択、当事者になってしまうと落とし穴にはまる事があるわけです。

 

お一人お一人の経験を共有することは大変重要です。ただし、特定の方に起こった、標準治療以外のよい結果、例えば”完治”は、その方と同じ様に振る舞ったとしても、他の人に同様にそれが起こる事を保証しません。また、大体それが起こる頻度や見込みに類する事柄については記載がほとんどありません逆に、それが示されているものがあるとしたら、かなり良心的と言えます。

 

ですから、情報の発信の仕方、情報の解釈・利用の仕方が大変重要です。

 

起こった事は事実だとしても、将来それが起こる確からしさについては不明です(万に一つか、10万に一つか、100万に一つか・・・)。

 

こういう事柄について、

治る!、良くなる!、ダメ!、避ける! 暗に必然を示唆

などの断言調の言葉を使っているものに関しては、うさんくさい情報ばかりだと小生は考えています。

 

標準治療と言えども、現状では100%奏功することを保証してません。これはがん治療限ったことではありませんが。

標準治療にも限界がありますが、だからと言って、他のモノがそれよりもbetterであることもまた保証しません。

 

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長くなりましたので、本スレッドの締めを・・・・

 

”標準治療というネーミング”が誤解を招いているという指摘があります。

 

標準治療というのは、平均的、並の治療という意味ではありません。その時点で最良の治療と考えて差し支えありません。

注意: 最良というのは、その対象患者全体に対してです。

 

他方、推奨される治療はマストではありません。どういう事かと言うと・・・・

 

標準治療を始めたとしても、続ける義務はありません。

副作用が強すぎたり、自身の人生とQOLを考慮して、いつでも”やめる”ことができます。

 

合わなければ、やめればいいのです。

 

 

ですから、

 

変な横やりや、まがいものに左右されず、まずは標準治療に乗っかってみては如何でしょうか?

 

(加筆、修正を行う可能性アリ)