柳楽乃梨子の現代自由詩ブログ
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水を飲んでも

鶏を食べても

どこか なにかが満たされない

髪を切っても

服を買っても

なんで なにかが満たされない

それ

欲しかったんじゃなくて

在りすぎたんじゃないのって

この贅沢のせいで

誰かが犠牲になっているなら

なんにも欲しくない

2013年 春

バングラディッシュにて

ラナプラザビルが崩壊した

南アジアの貧困層が

違法建築の工場で服を作っていた

それが崩れ落ち

たくさんの人が死んだ

そして近年

揺れるメイド・イン・イタリー

もはや職人はイタリア人ではなく

長時間 低賃金の違法労働

命がけの告発にも

現状は未だ変わらぬまま

わたしが服を買うために

誰かが泣いてるなら

着るものなんて要らない

「誰かの願いが叶うころ」

あの子が泣いてるなら

いつか風化し

忘れてくれるな

ラナプラザの人々を

※宇多田ヒカルさんの曲のタイトルを引用しました。
興味ないふりで

爪をいじるけど

態度で断って

香りで誘ってる

貴方にわたしは堕ちてゆく


さっきから流れてる音楽

華奢な指輪

「クソなハイセンス」

歯に衣着せず

「嫌いだ」

と吐いたら

貴方は行くの

日の沈む西へ

何かを諦めてまで


安い自尊心

いくつもの無視

貴方が言った言葉

何かを比喩しているかのよう

そのままの意味だと

それだけの意味だと

信じたいけれど

「嘘かもしれないのに」

疑ってかかるには

未だ若すぎた

「話のと途中よ」


恋の渦の中

貴方の腕の中

わたしは堕ちてゆく

恋に堕ちてゆく

冬は終わったと言いましたが



気象予報士が続ける

春はまだ先ですね



女性アナウンサー

天気予報なんてあてにならないけど

たまに見るのもいいものかな

不安定な空模様

乱層雲が

長く弱い雨を降らせる

永遠に終わらなそうな

でも終わるんだけど


雨が降ってくじとじとと

世界が色を増していく

雨の予感、緑の匂い

色を増し 匂いたつ

「わたし雨って嫌いじゃないの」

媚も憂いもないならば

たとえ雨であっても

楽しいピクニックができるでしょう

雨の予感、緑の香り

世界が色を増していく
冬は終わったと言いましたが



気象予報士が続ける

春はまだ先ですね



女性アナウンサー

天気予報なんてあてにならないけど

たまに見るのもいいものかな

不安定な空模様

乱層雲が

長く弱い雨を降らせる

永遠に終わらなそうな

でも終わるんだけど


雨が降ってくじとじとと

世界が色を増していく

雨の予感、緑の匂い

色を増し 匂いたつ

「わたし雨って嫌いじゃないの」

媚も憂いもないならば

たとえ雨であっても

楽しいピクニックができるでしょう

雨の予感、緑の香り

世界が色を増していく
遮るものが何もないこの海には

風が強く吹く

冷たい水に

身を投げた君には船もない


泳ぎ切れるか沈むか

その先に陸が見える保証はない

それでも君は進んでいく

もう若くない身体は

容赦なく体力を奪われていく



風の強く吹くこの海では

雨が降っても傘はさせない


流れゆく波に逆らい

君は進んでいく


「傷の舐めあいは嫌いだ」

塩を振って荒治療

君は働き続ける

命尽きるまで


「進むのに船も傘も要りません」

使えなくなれば この身体さえ要らない

と君は言う


塩を振って荒治療

君は進み続ける

流れゆく波に逆らって


向かう者に風は強く吹く