◆9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻を切っ掛けとする金融危機が全世界に波及し、日本もその例外ではなく、全業種に経営難が及んでいる。勿論新聞業界も、新聞社、販売店を問わず、青息吐息の状況にある。その一番の原因は広告、折込収入の激減にあり、これほどの急減は予測以上のものであったにせよ、現状は情けないものであると言わざるをえない。その上、打つ手も無く、行動もせず、ただ嵐の過ぎ去るのを待つという多くの経営者の姿勢を見るにつけ、彼等を非難する声は今後も大きくなっていくだろう。改めて確認したい。「全ての非は無能な経営者にあるのだ!と」。

◆年が変わり、3月の決算期が近づくにつれ、2008年度の決算予測が見えてきた。日本を代表する大企業トヨタまでもが、予測を赤字へと修正している。そして多くの企業が、その対策として単細胞の如く「リストラ」を実施、社会問題化している。”

止むを得ず”という真顔会見を観るにつけ、本当に”止むを得ない”のか?経営者が危機予測を誤っただけではないのか。リストラの話が全面にでるばかりで、経営者が責任を取り交代(トヨタは社長を創業一族に戻した)、役員並びに幹部の賃金大幅カット実施の報はごくわずかしかない。「年間で赤字なら、経営者がその責任をとるという原則」が全く守られていないということになる。

◆会社の規模は関係ない。小なりといえども会社。販売店であっても会社組織になっている以上、その経営の責任は社長=所長にある。規模が小さいなら小さいで、大きな組織より、もっと身軽に迅速な動きをし易いはずである。年末、ある友人から、社員大会への出席案内があった。私は役員でもなんでもなかったが、「出席をお断り」した。その理由は「人づてに、今期は赤字になると聞く。赤字決算予測の社員大会に出ても、社員に申し訳なく、喋る言葉が無い」というものであった。暑い中、この寒空のもと、懸命に働いている社員に何を話していいのかわからない。

◆業界には、隣の店を見て、本社を見て、と横並びで、出来れば後からついていくという悪い風習がある。このやり方では今回のような急激な収入減には対処出来ない。大体折込収入がこんなに多いのは、自分の努力の成果ではなく、タナボタでしかない。根本からチェンジとは言わないまでも、マイナーではない、サブメインぐらいのチェンジ思考、行動が必要である。それは現所長でも十分出来ることだ。全区域アルバイトの確保(最低完全配達体制)、完全ノー団、長年の専拡排除、産直による物品販売収入確保(小額でも)等、いくらでもある。一番ダメなのは、今赤字を出すと、景気は危機的で、来期も回復できないことだ。「赤字を出したら、経営者失格の原則」を肝に銘じて欲しい。

<付記> 『現今の人は知と行とを2つに分け、まずはじめに知るということがなければ、行うことはできないなどと考える。そして当面は講習や討論によって知を磨き、真に知り得たのちに初めて行いを磨くことにしよう、などと言う。とどのつまりは、死ぬまで何も行なわず、また死ぬまで何も知らぬまま終わる。真の知とは行いとなってこそのものであり、行わなければ知というに値しない』。 (吉田松蔭)