このブログを始めるきっかけになった事の一つ・・・H氏について記しておこう。


或る芸能事務所に所属し、ドラマなどの仕事をしながらも
翌月の生活にも汲々としていた12~3年前、
演出家H氏とオレは
アルバイトと割り切って始めた、いわゆる”ベシャリ”の現場で出会った。


基本的には、企業の”広告”のような台本を一週間程度で暗記し、
幕張メッセや東京ビッグサイトなどの展示会でマイク片手にまくしたてる、
『役者たる者』には決しておすすめできないアルバイト・・・

自嘲気味に云えば『金で魂を売った』のだろうし、
正直なところ『背に腹はかえられなかった』のである。


およそクリエイティブとは云いがたい世界にあって
彼の創るステージは、演劇的であり、刺激に満ち、プレーヤーにも
常にハードルの高い挑戦意欲をそそる課題を突きつけてくる。


単なるお仕事ではなく、彼との真剣勝負によって
役者としての自分も成長させていただいた、と思っているし
当然の事ながら業界内で高い評価を獲た彼の演出手腕には、次々とオファーが舞い込み
プレーヤーとしてオレを指名してくれたおかげで
経済的にもかなり救済していただいたのだ。


オレにとって、人生の”師”の一人なのである。



しばらくご無沙汰していたが、
『たまには吞まないか』との突然の電話が一昨年の夏。


その席で、H氏の末期がん・余命半年を告げられる事になろうとは・・・


絶句、だった。
























元々ブログなんてものに何の意味があるのか?
貧しい自己顕示欲を満たすだけのマスターベーションやないか?

などと完全否定派だった頑固オヤジが本日、新たな一歩を踏み出すことにした。


・・・なんて大それた事でもないし、
『普段云うとる事とやっとる事が違うやろ?ブレブレやないか!』
とツッコまれれば確かにその通りなのだが、
その柔軟さがオレ様の数少ない美点の一つなのだ、と言い放ってしまおう。



一念発起と云うほどの覚悟も、たいした心境の変化もないのだが、
筆無精を言い訳に逃げ回っていた自分に、何かを『課してみよう』との目論見なのだ。


先日、と或る芥川賞作家が
『毎朝仕事前に、”オレは書ける、書き上げる”と三回声に出して自らを鼓舞するのが儀式』
と宣っていた。

『おう、それいただき』てな具合の、ホントに軽ーい思いつきなのだ。



歳を重ねる毎に悪化する、吞むと語らずにはいられなくなる悪癖に
最近は飼い猫までもが辟易しているし・・・

自分による、自分のための一人遊びを始めよう。