むぅびぃ・とりっぷ-カルロス

映画「カルロス」が面白そうだ。
1970年代から80年代にかけて、ヨーロッパで相次いだテロ事件に関与
したとされる、ベネズエラ出身の大物テロリスト、カルロスを描いている。
彼の足跡をたどる、オリヴィエ・アサイヤス監督による劇映画。今月1日より
渋谷・シアター・イメージフォーラムなどで上映している。


週刊文春9月13日号の「Cinema Chart」で紹介していた。
5人の評論家や作家が評価するぺージなのだが、おすぎはまだみていない

から別として、4人のうち、3人が5個の星印のうち4個つけていた。
つまり、ほとんどの人がたぶん70~80点以上の面白さを感じるという
ことになる。


その3人はこのように映画にコメントを寄せている。


品田雄吉(映画評論家):現代の革命家の生き方が丸ごと浮かび上がる力作。
    個人的には第一部の日本赤軍の活躍ぶりを興味深く見た。主役も
    好演。


芝山幹出(翻訳家):犯罪者、傭兵、究極のフリーランサー。多面体のテロ
    リストをこわばらずに描く。5時間半の映画fだが再見したくなる。


斎藤綾子(作家):何があっても近づきたくない男の全てが思い通りになると

    信じている傲慢な色気を、5時間30分たっぷり楽しめた。


読売新聞の映画評にて、恩田泰子は、このように書いている。

ラミレスが演じるカルロスは当初、恐ろしく魅力的に見える。ストイックに絞り

込んだ体ではないが、そのぜい肉には色気がある。そもそも彼自身、理想

だけのために生きる聖人君子でない。余分な欲望を抱いてぎらり輝く男。


ただ、いつしかカルロスは、そのぜい肉や欲望に対するコントロールを失う。
輝きは消え、最後には彼という人間が存在する意味すらわからなくなってい
く。何という空虚。

世界の複雑さ、そして、それを構成する人間のややこしさ。アサイヤス監督

は、それを同時に、しかも、疾走感をもって一気に描ききった。傑作だ。


上映時間は5時間30分の大作ということで、3部にわけている。全部鑑賞
するには、1部が1300円で、セット価格で3300円かかる。三つにも分け
なくてよかった気がする。せめて2部分けでも良かったのでは?


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                  ニューヨーク映画批評家協会賞、他多数)