マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 | Amazonベスト1000レビュアーの私撰綜のブログ

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メーカー勤務の研究開発マネージャーでワーカーホリックのサムが、書評、ビジネススキル、健康、趣味、時事ネタに対し、徒然なるままに綴った日記です。
モットーは「記憶に残る仕事」「記録に残る仕事」です。

レビュー専門ブログネットワークレビュープラスから、献本を頂きました。
Amazonの商品紹介から引用すると、

本書のテーマは「Minor Genius」。
一見小さな世界で、世界を変えるほどの大きな仕事をした人々の物語です。

昨年のベストセラー『天才! 成功する人々の法則』でおなじみ、“アイデアの魔術師”ことマルコム・グラッドウェル。
『ニューヨーカー』誌掲載の歴史的名コラム6本を収録。
「グラッドウェル×勝間和代」のスーパー・プロジェクト第二弾!


今回の献本では、
第1章 TVショッピングの王様   
アメリカのキッチンを征服した男
第2章 ケチャップの謎 
マスタードは十種類以上、なのにケチャップは、なぜ同じ味?
第3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学
ナシーム・タレブが壊滅的損失の不可避性(ブラックスワン)を投資戦略に転換させるまで
の、ゲラを読むことが出来ました。


この本は、内容を理解するのに、結構、頭使いました。

最初、早いペースで読みましたが内容が頭に入って来ず、、、結局、じっくり腰を落ち着けて読み込みました。そのため、新書サイズでたかだか130ページでしたが、半日掛かりました(汗)

分り難い理由は、書かれている内容、業界、場所(アメリカ)に対する馴染みが少ないため、背景含め理解する必要があること(ケチャップでなくマヨネーズとか味の素、しょう油だと分り易かったかも)、また、この本の前書きにありますが、この本のテーマが「他我問題」であるためです。

他我問題とは、「人間は、他者の心や関心をいかにして知ることができるのか」という問題である。
例えば、1歳の子どもは、ママやパパも、当然自分の好きなお菓子を大好きだと思っている。自分の頭のなか、他人と違っていることが分らない。しかし、ヨチヨチ歩きを始めた2歳くらいの子どもは、周囲の人間には「自分と違う心」があると知り、その発見に夢中になる、ということである。この、他人は何を考えているのか、どう感じているのか、ということに対し、大人になっても関心を失わない。



第1章 TVショッピングの王様   
これは、遊歩道での実演販売の成功のノウハウを、テレビショッピング(インフォコマーシャル)の世界に持ち込んで、先駆者である、ロン・ポピールに関する話です。
それまでは、商品開発とマーケッティングを切り離して考えられていたが、ロン・ポピールは初めて一体として考えた。つまり、実演販売においては商品こそが主役であり、商品を主役に仕立て上げることが全て、ということである。
例として、ベジ・O・マチックという野菜スライサー(モーターのないフードプロセッサー)、ショータイム・ロティスリー(チキンや七面鳥を燻製にする調理器具)が紹介されています。


第2章 ケチャップの謎
かつて、スーパーマーケットの商品棚に並ぶマスタードは、フレンチチーズ・マスタードという黄色いマスタード1種類だった。高級食材のコーナーには、グレイ・プポンというマスタードがあった。ただ、このグレイ・プポンは、一度試食すると、殆どの人がフレンチチーズ・マスタードから切り替えた。今や、マスタードは、10種類以上の商品が陳列されている。

ジム・ウィゴンは、ケチャップが、30年前のマスタードと同じと考えた。というのは、ケチャップは、大メーカーのハインツ製品が市場を押さえていたからである。


第3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学
「ブラックスワン」「まぐれ」などの著書で有名な、ナシーブ・タレブについて書かれている。
株の投機の世界では、専門スキルと言うものが存在する、と考えられていたが、タレブは、ウォーレン・バフェットもジョージ・ソロスも、全くの幸運で成功し、成功したあとで、もっともらしい理由が考え出されただけではないか?と考えていた。

タレブは、「毎日、たった1日で巨額の利益があげられる極わずかだが現実的に起こりうる可能性がある」ということを無視するのではなく、この可能性を活かした「ぶっ飛ばない」投資戦略を実行した。

タレブとは異なり、この極低い可能性を無視して投資戦略を実行していたニーダーホッファーは、1997年のアジア危機、2001年の9.11テロ、2009年のサブプライム問題の時に「ぶっ飛んでいる」。


天才達が、何を考え、その結果としてどういう行動を行ったのか?という「他我問題」を考える良い教材になると思います。



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マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”