昨晩は荷物に入れていたワインでテント内で一人で乾杯。
翌日は、レーススタートして初めての晴天の朝。鳥の声で目がさめる。
キャンプ場にはシャワーもあったので、昨日は3日ぶりに身体もスッキリさせたことだし
顔でも洗おう、と洗面所に行って、ここで久しぶりに鏡を見た。
一瞬、別人が映ったのかと思った。
顔はパンパンにむくんでいるし、目の下に「くまどりか?」くらいのしわは出ているし
エステの体験コースで「これがアナタの10年後の顔です」と見せられた時のような衝撃的な顔だった。
そういや、そのエステで見せられた10年後の顔ですが、15年近くたった今でも全然そんな顔にはなっていませんねえ。なんだったんだろう、あの体験は。
そりゃ、3日間お手入れなんて全然しとらん。しかも、細かい羽虫に刺される。
昨晩ゴール祝いにひとりカップワインを開けてテントで寝ながら飲んでいたし(乙女のすることではありません)。
まあ、すぐに直るだろう、きっと。と結構気軽に考えて、いざ、ゴール会場へとみんなのゴールする雄姿を見るために移動する。
「ウォレスとグルミット」に出てきそうなキャラです。
しかし、、、、雲が出ると寒い。本当に8月なんでしょか。
ゴール会場には焚き火まであるし。
みんなが予定していた宿泊地を朝出発するとしても、到着するのは10時は過ぎるかなあ。
それまでは、葉書を書きながらチップスを食べたり、ヨーグルトを飲んだりとだらだら、まったりと過ごす。
そうしている間にも、続々とゴールに人が到着してきます。
昨日、自分がしてもらったように、最後のコーナーを回って姿が見えるレース参加者を拍手で出迎える。
ゴールでキスする熟年の夫婦
ゴールで抱きあう男同士(結構マッチョな人でもやっている)
110キロ歩いても全然疲れていないみたいです。さすが。
いいなー、ウチの犬も連れてきたい。
冒頭の写真は、レース出発時にしばらく一緒に歩いていたチーム参加者の人たち。
背中につけたのぼりで(どこかの国旗?→ネパールの国旗でした。エベレスト制覇組か??)、つり橋のワイヤーにひっかかったりと結構苦労していましたが(笑)、のぼりも一緒にゴールしたのを見て、こっちがほっとした。
チーム全員、ゴールで喜び合っていました。学生さんらしきパワーにあふれていてまぶしかったです。
誰もがレースに参加して、ゴールまでたどり着けた感動を素直に表現するので
見ているとじんわりとした気分になってきます。
11時過ぎごろ、ミホリンが最後のコーナーを曲がって現れた!
「アレ?あんなジャケット着ていたっけ?」と人違いじゃなかろか、と思ったんですが、やっぱり間違いない。
周囲の拍手に包まれて、ミホリン、66時間台で無事、青空の下ゴール。
3日ぶりに再会できた喜びに浸るはずが、お互い顔をまじまじと見つめ合って
「顔、すごいことになっているよ!」というのが双方のコメントでした。
そのミホリン、ゴール時に来ていた青いジャケットは、スウェーデン国旗の青にあわせてゴールする前に着替えたとのこと。
その企画力がすばらしい。
私は、なんか「血の汗流せ!涙を拭くな!」な、ちゃぶ台をかかえた星一徹に追いかけられているかのようなヘロヘロ状態でゴールしたからなあ。写真に撮られなくて良かった。
以降、続々と日本人参加者がゴールしてくる。
Aさん夫婦が67時間
ハペさん、ゆきえさんカップルが68時間。
九州より参戦のTさん70時間
カメラ撮影にいそしんでいたSさん、71時間。(写真とっていなければもっと早かった?)
Tさん、Kさん、ツアーアテンドの北欧のお父さん、S氏も無事ゴール!
リタイヤなし、の全員ゴールにその日はワイワイといつまでににぎやかに、といきたいところでしたが、くたびれきって、夕飯時に部屋に引き上げてしまった。S氏と、TKコンビはゴール地点の野外テントで深夜までバンド演奏にノリノリだったとのこと。強い。
サワー&チーズ系クリームがたっぷりのっていて、それでいてしつこくない。(byミスター味っ子)
これが激ウマでした。
歩いている途中は
「クソー、その登山靴、捨ててやる!アビスコの大地に埋めてやる!」と散々思っていましたが、捨てるといっても、エコの国でそんなことしちゃってもいいんだか分からない。
しぶしぶ持ち帰りましたが、やっぱり捨てないでおいてよかったかも。
110キロの長い旅をこの靴が支えてくれたんだもんね。
今回、一日の走行距離(走るのも含めて)、ではじめて40キロ以上歩けたことだし、2日で90キロも歩けたので、「意外と丈夫だなあ」と思うと感慨深いです。
しかし、昨年参加したシェルパさんは、46時間でゴールしています。
しかも、2日目のあの苦しいチャチュカまでの道のりを、その先のアウスヤウレまで行っていたんですね。(一日の歩行距離、56キロ!!)
バックパッキングの旅で仕事しているとはいえ、すごい。
うーむ、S氏に「シェルパさんにもうTさんのこと言っておかなくちゃ」と言っていただいたんですが、はて、ぜひぜひシェルパさんに付いて山歩きしてみたいです。あー、でも置いていかれるな。きっと。そして、ヘロヘロになったところでたどり着いたらコーヒー淹れて差し出してくれるかも。(理想)
メンバーの中でも道中すっかり現地の人と仲良しになって
いろいろと交流もあったとか。
ミホリンは、脚の痛みをこらえながら、1日15時間近く歩いているところを、巡回スタッフに「君は大丈夫か?」と尋ねられて、その後スタッフが先に行って会った日本人に「あの女の子は大丈夫か?君の仲間だったら彼女のことよろしく」と結構日本人の間で有名人だったとか。
Tさんはまさしく「休憩箇所でコーヒーを淹れて待っててくれた」があったんだそうです。
私は、例のチェックポイントで書き残した伝言板(落書き入り)が、スタッフの人に「前に行った日本人がこんなメッセージ書き残してくれているぜ!」と示されたそうで、「コイツはいったいどういう行動をとっているんだ?」と話題だったそうです。私の時は全然他の伝言欄見ていなかった。(日本語以外の言葉だから、読みようもないのだが)
たかが伝言板。されど伝言板。
でも、もっと交流したりおしゃべりしたり、そういうのを大事にすればよかった。
今回のルートは高低差も少ないので、積雪期はスノーモービル、バックカントリースキーのルートとしても人気のよう。
雪景色も見てみたいなあ。今回天候がイマイチだった場所もあったので、そういうところは、また訪れて
今度はマットを敷いて一日中流れる雲をボーっと眺めながら俳句をひねる、なんて風雅に過ごしてみたいです。
今回、ひょんなことから参加したスウェーデントレッキングですが
日本の山に比べれば、まったくもってラクチンコース。ノープロブレム。
散々な思いをしたのは、走行距離を伸ばしたことで無理して足が痛くなったので、登山靴って1日30キロ以上歩くようにはなっていないだな、というのが勉強になった。次回、長距離で歩く時は、トレラン用のシューズも一緒に持って行こうと思います。
日本だったら、このルートに車道とか引いてしまいそうだけど、それをやらないのがここの方たちの自然に対する愛情と、畏敬の念なんでしょうか。それとも、自然との共存を追求したら「観光地として有名になってほしいけど、あくまでも自分ら少数人数で管理できるくらいの規模で十分」というのに行きついた結果なのかな。
単に国中で自然が身近だし、山の規模に対する山人口が少ないってことなんだろうけど。
そういえば、使い終わったトイレットペーパーは、「燃やして埋めてしまうこと」とあったんですが、
使用後のペーパーは、燃えないです。燃える人いるの?
結局、日本と同じく、ごみとして持ち歩いた。(ゴール地点で捨てたけどさ。)
結構みんな使用後ペーパーをその場に捨てたままになっていたよ。この先、これを処理しきれないレベルになった時が来たらどうなるのかな。ちと気になった。
自分の力でしかたどり着けない場所があって
一歩一歩の積み重ねで目的に近づいていくという工程がとてつもなく楽しい。(やっている間はそれどころじゃない思いをしていますが)
だから、山とか、川とか、空とか、言ってしまえば写真で見たのを確認するくらいの場所なのに
いろんな気持ちを抱えながら見ることで、とてつもない、すばらしいものに見えてくる。思い出の中でますます美しくなっていく。
だから山歩きはやめられない。