能力不足の社員を退職させる際に注意する3つのポイント-不当解雇の訴えに負けない会社を作る | 労働基準法の解説ー休憩時間、労働時間、解雇、退職、残業など

能力不足の社員を退職させる際に注意する3つのポイント-不当解雇の訴えに負けない会社を作る

 従業員の数が増えてくると、どうしても、業務の能力が劣って仕事に時間がかかる社員、取引先とのトラブルが多い社員、営業のノルマを達成できない社員、業務上のミスを頻発させる社員など能力不足が問題となる従業員がでてきます。


 このような能力不足の社員をほうっておくと、職場全体の士気にもかかわってきます。そこで、このような従業員はなるべく早く退職させたいと思われる経営者が多いと思います。


 しかし、このような従業員退職のトラブルが労働基準監督署や裁判所に持ち込まれるケースが急増しています。しかも、これらの役所や裁判所は極めて労働者側に偏った考え方をもっており、このような場にトラブルが持ち込まれると、会社にとってはなかなかやっかいなことになります。


 そこで、能力不足の社員を退職させる際に絶対注意しなければならない3つのポイントをお話ししたいと思います。


 今日はまず、1つ目で、一番大切なことです。


 それは、「解雇しないこと」です。


 能力不足の社員が指導をしてもなかなか改善されない場合、すぐ「解雇」ということを考えがちです。


 しかし、経営者にとって「解雇」という方法は極めてハイリスクな方法です。これを多用すると超ハイリスク経営に突き進みます。


 「解雇」というのは、会社からの意向で従業員を一方的に退職させることです。これをやると「不当解雇」として訴えられるリスクが出てきます。


 「うちの解雇は不当解雇じゃない。ちゃんと解雇予告手当も払っている」とおっしゃる経営者の方もおられます。 
 このような経営者の気持ちは私のような経営者側弁護士には良く理解できるのですが、裁判所では残念ながら全く理解されません。裁判所では解雇予告手当を支払っていたとしても、ほとんどの解雇が合理的な理由がない解雇として不当解雇と言われてしまいます。


 では、どうすればいいのでしょうか?

 「不当解雇」と言われたくなければ、「解雇」しなければいいのです。

 従業員のほうから「退職」してもらえばいいのです。

 これは前にも書いたことなのですが、ものすごく大事なことです。

  

 能力不足の従業員には、このまま勤務を継続しても昇給、昇格の見込はないことを説明し、退職してもらいましょう。

 この場合、きちんと「退職願」を書いてもらうことが重要です。

 「退職願」さえ書いてもらえれば、後にトラブルになる可能性はぐんと減りますし、トラブルになっても会社側に有利な解決ができることがほとんどです。


 なぜ、わざわざ「退職願」なんて文書をかいてもらわなければならないのでしょうか?

 本人がやめると言ってるからいいじゃないか、わざわざ文書を書いてもらうと、また従業員が反発しトラブルになる。とおっしゃる経営者の方もおられます。


 しかし、トラブル含みの退職では「退職願」を書いてもらうことは必須です。


 なにも書類がなかった場合、会社から解雇されたのか、従業員が納得して退職したのかが非常に不明確になります。経営者の側では、「納得して退職してくれた」と思っていても、従業員の側では「会社から解雇された」と思う場合がほとんどです。

 それでは結局、不当解雇の訴訟を招いてしまうのです。


 退職のトラブルでは、「退職願」をもらえるかどうかが、その後を大きく左右する天王山といっても過言ではないのです。


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