クレーム対応のワンポイントアドバイス②-プログラムのバグについて | 労働基準法の解説ー休憩時間、労働時間、解雇、退職、残業など

クレーム対応のワンポイントアドバイス②-プログラムのバグについて

 今回はプログラムのバグに関するクレームについてお話しします。


 たとえば、プログラムの開発を請け負って、納品を済ませたが、納品先から、プログラムにバグが発生して、納品先から損害賠償請求を受けたような場合、どのように対応すればよいでしょうか。


 バグが発生したプログラムが納品先の基幹システムに関するものだった場合、システムが使えなかったことによる売り上げの減少について損害賠償請求を受け、請求額が多額になるケースも珍しくありません。


 では、バグが発生した場合、プログラムの開発を請け負ったベンダーは全責任をとらなければならないのでしょうか?


 これについては東京地裁の判例があります。

 

 東京地裁は「バグについては、その存在が検収(納品)後に明らかになったとしても、プログラム納入者が不具合発生の指摘を受けた後、遅滞なく補修を終え、又はユーザーと協議の上相当と認める代替措置を講じたときは、プログラムの欠陥と評価することはできないものであり、その反面、バグといえども、システムの機能に軽微とはいえない支障を生じさせる上、遅滞なく補修することができないものであり、又はその数が著しく多く、しかも順次発現してシステムの稼働に支障が生じるような場合には、プログラムに欠陥があるといえる」としています。


 わかりにくいですが、簡単にまとめると、バグが発生してシステムが一時的に使用できなくなっても、すぐに復旧あるいは代替措置が講じられる場合は、原則として損害賠償の対象とならないということです。

 一方、バグの内容がすぐに補修することができないような重大なものである場合は損害賠償の対象となるとしています。


 納品の段階でバグをゼロにすることは難しく、多くのベンダーではある程度のバグが残っていたりその可能性があってもその範囲で正常に動作する時点で出荷したりしてます。

 裁判例でもそのような現状を踏まえ、バグが発生してユーザー企業に迷惑をかけても、必ずしもそれが損害賠償の対象にはなるわけではないと判断しているのです。


 バグ発生に関するクレームを受けた場合は、それが損害賠償の対象になるものかどうかを慎重に判断して対応する必要があります。


当事務所ホームページ         http://www.sakuyakonohana.co.jp/
事務所概要              http://www.sakuyakonohana.co.jp/overview/
業務内容               http://www.sakuyakonohana.co.jp/practice/  

残業代の請求リスクから会社を守る方法 http://www.sakuyakonohana.co.jp/qa/item_51.html

顧問契約について           http://www.sakuyakonohana.co.jp/contract/
おすすめ書籍紹介           http://www.sakuyakonohana.co.jp/books/
お問い合わせ             http://www.sakuyakonohana.co.jp/contact/