残業代の請求リスクから会社を守る方法⑤-専門型裁量労働制を導入する場合の注意点 | 労働基準法の解説ー休憩時間、労働時間、解雇、退職、残業など

残業代の請求リスクから会社を守る方法⑤-専門型裁量労働制を導入する場合の注意点

 システム会社やデザイン会社、広告代理店などの業界で残業代のリスクを減らすために利用できる可能性があるのが専門型裁量労働制」という制度です。


 この制度は専門性の高い一定の職種について、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるとして、実際の労働時間の長短にかかわらず、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。


 この制度を利用すれば、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間勤務したものとみなすことができ、残業代を発生させないことができます。

 

 ただし、適用できる職種が法律で決められています。

 たとえば、システム会社では「情報システムの分析や設計の業務」を担当する従業員について適用できます。広告代理店ではコピーライターの業務に従事する従業員に適用できます。


  このように、適用できる職種は限られているものの、その職種の従業員については残業代の心配をしなくてよくなるので、非常に有効な制度ではあります(ただし、休日労働や深夜労働の際は、割り増し賃金を支払う必要があります)。


 この制度の採用にあたっては、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが必要です。


 注意したいのは、この届出は各事業所ごとに必要だという点です。


 たとえば、大阪本社と東京支社がある場合、東京支社でもこの制度を利用するためには、大阪本社とは別に東京の労働基準監督署にも届けを出す必要があります。


 事業所が複数ある会社は、本社以外の事業所で専門型裁量労働制の届けを出し忘れて、この制度の適用を受けられないということがないように注意が必要です。


 実際に会社が本社で専門型裁量労働制の届けを出して、残業代を支払わない処理をしていたところ、支社の従業員から残業代請求の訴訟が提起され、過去にさかのぼって残業代の支払いを余儀なくされたという例があります。

 

 事業所が複数ある会社で、専門型裁量労働制を採用されている場合には、対象の従業員がいるすべての事業所で届けが出ているか一度確認してみられることをお勧めします。


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