2017年3月6日と7日、予算特別委員会も終盤ですが、「全款補充質疑」という日が2日間ありました。

予算特別委員会では予算の内容を「保健福祉費」「教育費」といった「款」ごとに見てきたのですが、最後に、すべての款にわたって、今までの質疑を補足する形で質問してもかまわない日があります。(ただ、すべてにわたるとかなり幅広くなってしまうので、前もってこのテーマで質問します、という通告をするのですが。)

3月6日に質問した中で今回のブログではまず、「自立支援住宅改修給付」についてご紹介します。

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(かとうぎ桜子)

高齢者生活支援経費の自立支援住宅改修給付費について伺います。

自立支援住宅改修給付は、大きく分けて二つの種類に分けられるかと思います。

要介護認定では「非該当」(※要介護認定するほど介護が必要な状態ではない)だったものの、要支援・要介護状態になることを予防する観点から、手すりの取りつけや段差の解消等に給付をするものが一つ。

もう一つには、要介護認定は受けているが、介護保険制度上の住宅改修にはない浴槽、流しの取りかえ、昇降機やエレベーターの設置などに給付をするものです。

 

まず、この制度の意義をお聞かせください。

 

(介護保険課長)

この事業は、高齢者の在宅生活維持のための利便、また安全の確保などのため、住宅改修に対する助成金を給付するものです。

介護保険法による介護給付に上乗せして、区独自の法外事業として、平成12年4月から実施しています。

多くの利用により給付実績が伸びていまして、高齢者の在宅生活の質向上につながっていると認識しています。

 

(かとうぎ桜子)

要綱によりますと、昇降機とホームエレベーターの設置については、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設をこれから退所し、区内の自宅に居住することが確実な場合、あるいは、退所してから3か月を経過していないときに限定しての給付ということですが、施設や病院から在宅に戻るための支援という意味合いのものかと思います。

 

区は、「医療・介護等が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築」という考えの中で、回復期リハビリテーション病床の整備を進めるという方針を出して、練馬の駅前、そして来年度には大泉学園町に病院を開院します。

これらの病院から退所された方には、昇降機、エレベーターの給付は対象にならないと聞きました。病気やけがにより療養を必要とする方がリハビリを経てご自宅に戻り、自分らしい生活を取り戻していくための支援という給付の趣旨を考えると、整合性がないのではないかと思います。

制度の趣旨を踏まえ、見直しが必要かと考えますが、区はどのように認識しているかを伺います。

 

(介護保険課長)

昇降機、エレベーターの設置です。

この助成は、平成27年度4月からスタートしたメニューです。課題でございました要介護度が一定程度重い方が入所している介護施設から、在宅生活に移る際の支援を想定しているものです。

医療施設に入院される方は、必ずしも介護認定等を受けているわけではないことを踏まえまして、当時の助成対象を整理したものです。

現在、地域包括ケアシステムにより、高齢者の在宅支援を拡充するとともに、第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の検討とあわせ、医療と介護の連携を踏まえた本事業の枠組みについて、自己負担割合や給付額の設定も含め、検討しています。

区民サービスの向上と持続可能性を確保するために、適時に事業内容を精査していく考えです。

 

(かとうぎ桜子)

在宅生活をされる方に必要なものは何なのか。公平に支援が届く仕組みづくりをしていただきたいと思います。

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例えば高齢になって病気をする、骨折をする。

もちろん、まずは病院で治療をするわけですが、高齢になってからの病気やけがから回復するためには、急性期の治療をするだけでは十分ではなく、そのあとに時間をかけたリハビリをして在宅に戻る準備をする必要が出てきます。

そのためにあるのが回復期リハビリ病院です。

病気やけがをする前と後では、どうしても体の状態は変わってしまう部分もあります。たとえば今までは元気に階段を上がれていたけれど、それができなくなる、など。

「住み慣れた家で、住み慣れた地域で暮らす」ということはよく言われるけれど、案外見逃しがちなのは「住み慣れた部屋で暮らし続ける」というではないかと、当事者と話す中で感じることがありました。

介護が必要になった後でも、昔と変わらない自分らしさを大切にしていくために、自分が暮らしてきた部屋で暮らし続けられることはとても大切なことだと思います。そのために、今回テーマとしてとりあげた、ホームエレベーターや昇降機の設置が必要となる場合があると思います。

しかし、この制度ができた頃、回復期リハビリ病院の存在を考慮に入れていなかったのか、対象外となっています。

介護施設から在宅に戻った時に利用できる制度が回復期リハビリ病院からの退院では使えないという正当な理由があるとは思えません。

第7期介護保険事業計画に向けて精査していくという答弁でしたので、制度の趣旨を踏まえた見直しをしていただきたいと思っています。